武南中の英語教育3つの特徴とは
貴校の英語教育の特徴について教えてください。
神殿先生
大きく分けて3点の特徴があると言えます。
まず一つ目は「量」です。本校の英語教育時間数は、夏休みの夏期講習なども含めると公立の1.5倍、年間210時間ほどあります。また英会話の授業自体は10人程度の少人数で行いますので、一人ひとり発言する場が多くあります。
二つ目は「練習と実践のバランス」。多聴多読を実践する学校は多いと思いますが、学んだことを発揮してこそ語学は向上します。本校では英語の4技能(ライティング・リーディング・スピーキング・リスニング)をバランス良く学ぶことはもちろん、思考力・判断力・表現力を大切に、そして実践的に活かせる場を設けています。
三つ目が「ICTの活用」です。本校の生徒は全員、一人一台、iPadを所有しています。課題の提出や授業以外でも普段の練習や発表活動などに活用しています。ただし会話に関しては、オンライン英会話よりも、同じ空間で相手の表情を読み取りながら習得していくことを重視しています。
中高6年間での英語教育はどのように進められていますか。
神殿先生
授業時間数を多く確保することにより進度にとらわれない進め方ができています。まず中学生のうちは運用レベルを持ち上げることが大事だと考えています。
中学生はフォニックスからスタートしますが、基本的には「音」を中心にした学び方です。
授業ではリズムに合わせて軽く体を動かしながら、また、物語の人物になりきって読むことで感情を入れながら発話する練習をしています。よくありがちなのが、みんなの前で発話する際、恥ずかしいからなのか、感情を込めず淡々と読んでしまうことです。しかし、感情を込めた発話ができるようになることは、これからグローバルな場で活躍していく上で大事なことだと思うのです。
このように中学ではまず英語を話す土台をきちんとつくり、高校では大学受験指導も含めたカリキュラムを設計しています。また高校3年生までに英検準1級を取得できる力をつけさせたいと考えています。
先生が英語教育で重視されていることはなんでしょうか。
神殿先生 お話したように「音」を大切にした学習をしていきたいと思っています。もう一つは比較する視点です。日本語と英語ではモノの考え方、捉え方が違います。日本語でこう表現するなら英語ではどうか、そのような視点で表現の違いを学ぶことは、国際理解のためにも英語を学ぶ上でも重要な視点です。加えて、比べてみることで自国について再度見つめ直す機会にもなります。生徒たちには違う視点を持つ重要性を学んで欲しいと思っています。
グローバル社会を生きる生徒たちに必要な英語教育を
23年度より新たな英語プログラム「BUNAN INNOVATION」をスタートされました。これまでの英語プログラムとの違いを教えてください。
神殿先生
これまでの英語プログラムは海外大学進学に必要なスキルを習得するような設計でした。しかし、新プログラム「BUNAN INNOVATION」では海外大学進学レベルという到達点も重視しつつ、総合的に力を伸ばし、先に述べた国際理解という観点にも重点を置いたプログラムと言えます。また生徒のレベルに応じてフレキシブルにカリキュラムを組むことで、生徒に寄りそった内容にしました。
それに合わせて、今年度はネイティブの英語教師が2名常駐しています。
そのうちの一人はトリニダード・トバゴから来日した先生で、音を重視した授業は独特のものがあり、生徒たちは楽しく授業を受けています。
カリキュラムについて特徴を教えてください。
神殿先生
本校では中学2年でベトナム・カンボジアでのアジア研修、高校1年ではアメリカ研修(ボストン)を行います。そうしたフィールドワークと連動するようなカリキュラムをつくっています。
例えば8月初旬、中学1年・2年を対象に校内で開催する「English Camp」です。毎年開催していますが、今年はさらに外部のネイティブ教師をお招きし、3日間の特別プログラムで開催しました。ここで培ったコミュニケーション能力を、アジア研修で発揮してもらいたいと思います。
また校外にも目を向け、模擬国連に本校の中学生2名が参加しました。議題はウクライナとロシアの戦争についてで、会議はもちろん英語。さらに、ウクライナ国民の視点で発言をすることが求められたのです。そのため生徒たちは、両国の歴史や文化を徹底的に調べた上で会議に臨みました。日本人として外から見た視点ではなく、当事者視点で考えを述べルという経験をして、これまでの世界観が変わったと感想を述べていました。国際理解という点では大きな刺激になったようです。
英語を学ぶことで視野が広がる
新プログラムの導入は生徒たちにどんな変化がありましたか。
神殿先生 少人数で発話を中心としたカリキュラムなので、当事者意識が出てきたように思います。またネイティブ教師が常駐しているので、職員室前であいさつを交わす(※)など、話しかけようとする意識が昨年と比べると圧倒的に出てきました。また短期でもいいので海外留学に行ってみたいという生徒も増えてきました。
※同校の職員室は壁がなく、室内の様子が廊下から分かるようになっています。
生徒たちに期待することはなんでしょうか。
神殿先生
物事を見るときに一面だけを見るのではなく、複数の視点を持つ、物事を相対的に考えられるようになって欲しいと思います。本校では海外研修の締めくくりとして高校2年に京都・奈良を訪問する「古都研修」があります。海外の文化や歴史を学んだ新たな視点で日本を見つめ直して欲しいです。
また社会問題に対しても個人の意見をしっかり持てるようになって欲しい。英語を学ぶことで、視点を広げていって欲しいと思います。
AIが発達した今だからこそ語学を学ぶ意義
受験生および受験生保護者へのメッセージをお願いします。
神殿先生
本校では単に英語知識を蓄積するだけでなく、その後の運用力を大事にしたいと考えています。
また、AIが発達した現在、語学を学ばなくてもよくなるという考えもあるようですが、私自身はどんな状況でも語学を学ぶことは必要だと考えています。言葉を覚え、現地の方と交流する、文化を体験することはすごい経験です。語学を勉強しながら、自分たちはどうやって海外の人と関わるか、語学を学ぶのか、そういうことを考えられる環境をつくっていきたいと思っています。皆さんも本校で一緒に学び、考えていきましょう。
編集後記
親世代の中高時代の英語は、よく「受験英語」と言われていたと思います。しかし今や英語は、国際理解のために必要な言語として重要なツールとなっていると感じました。武南で取り組む国際理解のための英語という考えに、これまでの英語教育とは異なる新鮮さを感じました。
イベント紹介
※予約必須。以下のイベントはすべて保護者・児童対象です。
イベント名 | 開催日時 | 備考 |
---|---|---|
第5回学校説明会 | 10月29日(日) 10:00~12:00 | 各教科から入試問題の解説を行います。 |
第1回イブニング説明会 | 11月10日(金) 18:30~20:00 | |
第1回入試体験会 | 11月26日(日) 8:30~12:30 | ※入試本番と同じ体験ができます。 ※2科(国・算)か適性検査型試験のどちらかを申込時に選択してください。 ※入試体験の後に各教科30分程度の解説授業があります。 ※入試体験の間には、保護者の方対象の説明会を行います。 |
第2回イブニング説明会 | 12月8日(金) 18:30~20:00 |