新たな針路の可能性を見出すチャンス「キャリアデザイン」最前線

佼成学園女子中学高等学校
複雑化した社会状況により、大学の学部学科や入試の多様化が激しく変わりつつある現代において、高大連携の要素を盛り込みながら生徒自らが「人生をデザインする力」を養うオリジナル科目がスタートした佼成学園女子中学高等学校(以下、佼成女子)。大学選びにおける新たな視点を得られるだけでなく、外部協力大学との連携などから生き方の選択肢が大きく広がる取り組みの最前線をご紹介します。

キャリアデザインの授業風景を密着取材

2022年度から導入された「キャリアデザイン」は特進クラスの必修科目となっており、週1回午後の授業を使って連携大学・協力大学・探究コンテストへの参加など、佼成女子オリジナルの学習を進めていきます。
その初期段階として取り組む「未来年表」の授業を見学した後、進路指導部長と学園統括進路指導部長を兼任されている西村準吉先生からお話をうかがいました。

1年間の大まかな流れ(※2023年度実施内容の一部抜粋)

高校2年次の各学期 実施内容
1学期 キャリアデザイン基礎(ガイダンス、未来年表、ディスカバ)・大学キャンパスツアー・研究計画書作成
2学期 キャリアデザイン演習(大学講義受講、出張講義聴講、大学スクーリング)
3学期 まとめ・プレゼンテーション(プレゼン準備、プレゼンテーション、個別研究)
キャリアデザインを強力に推し進めてきた西村準吉先生
キャリアデザインを強力に推し進めてきた西村準吉先生

キャリアデザイン基礎の授業として見学させていただいた「未来年表」について教えてください。

西村先生 通常であれば、進路設定とは進学や就職といった短期的な目標を決めると思われがちですが、本校の場合は異なります。人生百年と言われるこの時代、今ある視点からまだ見ぬ未来を予測するのは不可能ですから、もっと先を見通すセンスが求められています。
本校が手がける「未来年表」は博報堂生活総合研究所などが発表している未来予測を用いて、10年単位で人生を先取りしてみるという内容です。今年からはグループを組み、生徒間で意見発表を始めたことで、大いに刺激を受けたという声が集まっています。

未来年表は現実世界を深くリンクした想定がされています
未来年表は現実世界と深くリンクした内容を想定しています
率直な意見の交換こそが新たな視点に気づかせてくれます
率直な意見の交換こそが新たな視点に気づかせてくれます

キャリアデザインにどのような手応えを感じていますか。

西村先生 生徒間でも偏差値で進路(大学)を選ぶのではなく、今の自分自身と向き合いながら針路(生きる方向)を修正することが当たり前のプロセスとして定着しました。まだ試行錯誤が続きますが、教員だけでなく生徒側からも声を上げてもらい、意義の活動としてパフォーマンス向上に努めています。生徒個人の特性や強みを自覚して、さらに鍛えることが幸せに近づく手段となることを知ってもらいたいという願いがあります。そのためには仲間の意見がきっかけとなり、仮にしても打ち立てた目標がマイルストーンとして役に立つことでしょう。
すべてのカリキュラムは生徒の将来にとって一番良い結果をもたらす内容を選び抜いており、学校の実績を意識したものでは決してありません。また、従来の教科教育で学ぶことができない内容にも取り組んでいます。

タブレットをはじめとするICT機器の活用は常識となりました
タブレットをはじめとするICT機器の活用は常識となりました
これからの人生を真剣に考える授業です
これからの人生を真剣に考える授業です

高2特進コースの課題研究ゼミではどのような取り組みが行われていますか。

西村先生 ITとメディアを掛け合わせて新しいアートを作り上げるゼミ、核エネルギーの平和利用と危険性を考えるゼミなど、大学のような題材を扱うゼミが多数あります。共通のアプローチとして、グループ単位で活動した結果をプレゼンテーションとして発表しますが、教員・保護者・生徒に対してアンケート調査を実施するというアプローチを取る場合もあります。アンケートは数値が結果なので、既成概念が覆されたり、立場によって評価が異なる相対性に気づくことができました。

生徒を取り巻く世界が変わったキャリアデザインの成果

未来年表の授業に参加した生徒の皆さんから、今まで体験してきたキャリアデザインの振り返りをしてもらいました。

右から順にY.T.さん、H.M.さん、H.H.さん
右から順にY.T.さん、H.M.さん、H.H.さん

キャリアデザインの中で、一番印象に残っている授業内容を教えてください。

Y.T.さん 他校の生徒との学術交流を目的とした、成城大学主催のサポーターズフォーラムに参加しました。有名な進学校の同年代と活動しながら、大学生の研究手法を学べました。視野が広がったことで、大学ではどんな研究をしたいのかイメージすることができました。文学部に進み、芸術について学びたいと思うようになったのは、自分で行動を起こして研究するフィールドワークや企画の奥深さを、サポーターズフォーラムで知ったからです。

Y.T.さんの夢は「会社重役」になることだそうです
Y.T.さんの夢は「会社重役」になることだそうです

H.M.さん 大学生になったばかりの卒業生チューターから入試方式について話を聞く機会があり、私自身は総合型選抜(旧AO入試)を強く意識していましたが、実際の話を聞いたことで入試への考え方が変わってきました。
また、一般的な教科よりも資料作成の方が向いていると気づいていましたが、キャリアデザインの授業を進める中で得意なことを活かせる道があることを知り、ポジティブな気持ちで授業に臨むようになりました。
平和教育に興味を持ったことがきっかけで地方の国際系の大学が気になっており、見知らぬ土地でも挑戦してみたい気持ちが湧いています。

H.M.さんの夢は「ノーベル平和賞受賞」だそうです!
H.M.さんの夢は「ノーベル平和賞受賞」だそうです!

H.H.さん 教育学部に行こうと思っていましたが、他の仕事も見ておくべきだと考え、共立女子大学の被服学部で授業見学をしました。そこで知ったのは、着物と洋服の文化的な違いや、素材となる繊維自体を学ぶ面白さでした。
見学時は紙で書かれた卒業制作のラフデザインだったものが、最終的にはファッションショーで着ている本物の服飾を見て、ゼロから何かを作り上げる一連のストーリーに感動しました。
研究に没頭してきた大学生の話を聞いて、進学後に何をしたいのかを決めることが大切だと教えられましたが、高校時代でも勉強だけでなく探究学習コンテストにも打ち込めるはずだと思い直しました。

H.H.さんの夢は「教職に就くこと」だそうです
H.H.さんの夢は「教職に就くこと」だそうです

時代を超えて役に立つ真の学び

最後に、西村先生からキャリアデザインの展望についてうかがいました。

今後の展望や抱負をお聞かせください。

西村先生 近年の探求学習は課題解決型の研究が主流になっていますが、今後はそれだけでなく人文科学系などのテーマで考察を重ねた結果を検証できる活動にも積極的に取り組んでもらいたいと思っています。
大学入試そのものが、従来の一般選抜とは異なる形式に変わりつつある今、生徒が自分をデザインする授業はより一層重要性を増していくはずです。今後も他校とのネットワークを活用して、現代にふさわしい学びを実践していきます。

編集後記

まだまだ紹介しきれないほどのコメントを聞かせてもらいましたが、生徒さんからは進路について「今の好き嫌いや得意不得意を、将来の夢に当てはめなくてもいい。」「進学第一ではなく、みんなで一緒にじっくり話しあってほしい。」という話がありました。これは中学受験にも通じるのではないでしょうか。出願直前まで家族みんなで受験校を選び抜いてください。

イベント情報

イベント名 日時 備考
※すべてのイベントで予約が必要です。
第4回中学校説明会 2024年7月28日(日) 10:00~11:00 夢への第一歩!~充実の英語教育~
夏休み学校見学会 2024年8月3日(土)・4日(日) 9:00/10:00/11:00 ミニ説明+施設見学(+個別相談)
第5回中学校説明会(OG主体) 2024年8月25日(日) 10:00~11:00 【OG運営】卒業生が語る6年間の成長ストーリー
中学校ミニ説明会(平日) 2024年9月10日(火) 10:00~11:00 ミニ説明(+授業見学)
第6回中学校説明会(生徒主体) 2024年9月23日(祝・月) 10:00~11:00 【生徒運営】在校生が語る佼成女子のすべて!