“好き”を形にする喜び!大人気講座「美術のひろば」とは?

女子美術大学付属高等学校・中学校
女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、毎年夏休みの2日間にわたり、ワークショップ「美術のひろば」を開催しています。4年ぶりに従来の規模で開催された今年度は、700名以上もの小中学生が参加。そこで、担当の中村幸喜先生にお話をうかがい、開催の目的や当日の様子などについて教えていただきました。

中高大の教員による、多彩な美術体験プログラム!

女子美が2013年から開催している「美術のひろば」の目的や、その内容についてうかがいました。

中村先生の画像
中村先生は美術科・工芸立体コースを担当されています

「美術のひろば」の目的を教えてください。

中村先生 美術に興味関心のある小中学生とその保護者、さらには図画・工作や美術科の教員を対象として、創造の喜びを実感していただきながら、美術教育の一層の発展を図るのが目的です。2013年の初回から規模は年々拡大しており、2020年以降はコロナの影響で開催見送りや規模を縮小しての開催となりましたが、今年度は従来の規模に戻して開催しました。

どのようなプログラムが用意されていますか。

中村先生 今年度は、本校の美術科教員と女子美術大学の教員計19名による、延べ58もの講座を開催しました。たとえば、本格的な油絵での静物の描き方や、プロの漫画家が教える漫画の描き方、樹脂を使ったコースターや器づくり、2メートルの紙に親子で描く自画像などの講座があります。また、顔料から作る日本画やインド刺繍など、大学教員による専門性の高いプログラムもあります。小学生向けには親子で楽しく参加できる内容を、中学生向けにはちょっと背伸びした実技を中心に、多彩なプログラムをご用意しています。

講座「土で絵の具を作って絵を描いてみよう!」では、身近な土を顔料として使い、自由に絵を描きました
「土で絵の具を作って絵を描いてみよう!」では、身近な土を顔料として使い、自由に絵を描きました
好きな静物を選んで油絵を描く講座「油絵にチャレンジ―静物画を描こう―」。油絵具の特質を味わえます
好きな静物を選んで油絵を描く講座「油絵にチャレンジ―静物画を描こう―」。油絵具の特質を味わえます
講座「インド刺繍で作る小さな敷物」では、インドの刺繍技法でコースターに使える敷物を作りました
「インド刺繍で作る小さな敷物」では、インドの刺繍技法でコースターに使える敷物を作りました

“つくる喜び”を実感!夏の思い出としても好評

今年度の「美術のひろば」は、8月4日から5日にかけて開催。大盛況となった当日の様子をうかがいました。

今回の参加人数と、その内訳を教えてください。

中村先生 今年度は申込総数788名、欠席者を除いた実質参加人数は730名にのぼり、描くことや作ることが好きな小中学生が多く参加してくれました。もちろん本校の受験を考えてくださっている方も多いですが、受験する、しないに関わらず美術が好きなお子さんが参加してくださり、男の子の受講生もいました。東京都だけでなく近県からの参加も多く、沖縄から受講しに来られた親子さんもいらっしゃいました。

参加した方々は、どのような様子でワークショップに取り組んでいましたか。

中村先生 とにかく楽しんで受講されている様子で、私たちも嬉しかったです。小中学生の皆さんも講師の話をじっくりと聞いてくれて、理解力が高いと感じました。お手伝いで参加した本校生徒ともよくコミュニケーションをとり、笑顔が絶えなかったです。親子参加の講座では、お父さんが娘さんのために不慣れな作業に一生懸命取り組んでいる姿もあり、協力して一つの作品を仕上げる喜びにあふれた空間でした。

講師陣のレクチャーを真剣に聞く受講生たち。小学校にはない道具もあり、皆さん興味津々です
講師のレクチャーを真剣に聞く受講生たち。小学校にはない道具もあり、皆さん興味津々です
親子参加の講座も多数あり、人と作品を作り上げる楽しさを実感できます
親子参加の講座も多数あり、人と作品を作り上げる楽しさを実感できます

出来上がった作品からは、どのような印象を受けましたか。

中村先生 どれも力作ばかりで感動しました。静物の油絵では、画面いっぱいに色とりどりのモチーフを配置し、背景までしっかりと描かれていて、完成度の高さに驚きました。カード作りやランプシェード作りでは、カッターやハサミを上手に使いこなして繊細な作品を生み出していました。最近の子どもは刃物を使う機会が少ないと言われていますが、使ってみれば、短い時間でも器用な作業ができるようになるのだと感心しました。どの講座でも作品を作るには集中力が必要ですが、自分が「好き」なことを知っている人は、たとえ小学校の低学年でも表現力にあふれているなと思います。

カッターやハサミを使って作った、立体的なメッセージカード
カッターやハサミを使って作った、立体的なメッセージカード
樹脂粘土で作った和菓子は、本物のようにおいしそうな仕上がり
樹脂粘土で作った和菓子は、本物のようにおいしそうな仕上がり
木炭で描いた打ち上げ花火。鉛筆とはまた違った表情になりました
木炭で描いた打ち上げ花火。鉛筆とはまた違った表情になりました

参加した方々の感想をご紹介

お子さまとともに「美術のひろば」に参加した、保護者の声をご紹介します。

保護者A 子どもは受講した講座を存分に楽しんでいました。2時間では物足りなかったようで、「もっとお絵描きしていたかった!」と言っていました。

保護者B 教室に入った瞬間から子どもの目が変わりました! 先生や生徒さんのお話、お人柄にも惹かれました。作品作りの際は親子で夢中になれて、私も楽しかったです。

保護者C 最初は子どもも緊張していましたが、生徒の皆さんが優しく声をかけてくださり、安心して楽しめたようです。

保護者D 同じ机で教えてくれた生徒さんたちの作品が素晴らしかったと嬉しそうに語っていました。学校での図工の授業とはひと味違った内容で、刺激を受けたようです。

保護者E 子どもいわく、作品作りの際に先生からもらったアドバイスがとても勉強になったようです。生徒さんからも学校の様子を聞くことができ、夏休みの素敵な思い出になりました!

お手伝いとして女子美生も参加。作業をサポートしたりコツを教えてくれたりと、楽しく交流できます
お手伝いとして女子美生も参加。作業をサポートしたりコツを教えてくれたりと、楽しく交流できます

女子美で学びながら、「好き」を通して大きく成長!

最後に、女子美に関心のある受験生へメッセージをいただきました。

中村先生 本校では、自分の「好き」を通して成長できる教育があります。独自の視点で問題を発見する「智の美」、皆に届ける言葉を紡ぐ「心の美」、自分の考えを形にして表現する「芸の美」。この3本柱を磨くことで、好きを形にすることができるようになるのです。
オンラインの普及で非接触の日常が増えてきたことや、デジタルでなんでも表現できるようになってきたことは、とても便利な気がします。しかし女子美では、筆を使って手で描くこと、鉛筆と紙を使って考えを表現すること、手で道具を使い作ることを大切にしています。パソコンの何十倍もの色を表現し、考えを深め、素材を解釈し、手の力の強弱による表現の差を体感する――。どれも時間がかかる作業ですが、体験した人にしか分からない細やかな視点を持つことができるのです。
私たちと一緒に、「好き」を楽しく学びませんか。女子美でお待ちしています!

「美術のひろば」に参加して、女子美生になった自分を想像してみてはいかがでしょうか
「美術のひろば」に参加して、女子美生になった自分を想像してみてはいかがでしょうか

編集後記

小中学生が目を輝かせながら創作を楽しんだ様子をうかがい、「美術のひろば」は、まさに「好きこそものの上手なれ」ということわざを体現したワークショップだと感じました。受験生に限らず、広く門戸を開いているイベントですので、美術に興味関心がある人はぜひ参加してみてください。

イベント名 日時
中学3年生対象 秋の実技講習会  
水彩画・鉛筆デッサン 実技(美術)試験対策の講習会
2023年11月3日(祝・金) 8:15 受付、8:35 講習開始 ※受講料(材料費のみ)1,000円。要予約
女子美なんでも質問会 2023年11月4日(土) 13:30~ ※要予約
公開授業(中高共通) 2023年11月18日(土) 
①8:35~10:30 ②10:40~12:40 入替制 ※要予約