塾なしで最難関大に現役合格!全寮制の進学校

海陽学園海陽中等教育学校
中部電力やJR東海、さらにはトヨタ自動車など日本を代表する大企業によって設立された経緯を持つ海陽中等教育学校(以下、海陽)。難関の特別給費生入試は有名ですが、一般入学者も顕著な進学実績を上げています。今回、一般生として海陽に入学して、見事に最難関大(東工大)へ進学した卒業生とキャリアデザイン部(進路指導部)へのインタビューが実現。学校生活や寮の過ごし方、受験期をサポートしてくれた指導内容などについてご紹介します。

新潟県から単身で海陽に入学した卒業生

一般的に中学1年生といえば、まだ親離れできずにいるイメージを持ってしまいますが、地元新潟県から単身で海陽の寮生活に身を投じた卒業生からお話を聞かせていただく機会に恵まれました。

東京工業大学建築学部に現役合格した卒業生
東京工業大学建築学部に現役合格した小坂天心さん

新潟県から海陽に入学しようと決意した背景を教えてください。

小坂さん まずは高校入学をきっかけに寮生活を始めた姉のアドバイスが後押ししてくれました。さらに、プログラミングに関心があった小学6年生の頃にロボット部の存在を知ったことで、海陽に強い憧れを抱くようになりました。小中一貫校だったので同じ中学へエスカレーター方式で入学する環境にも違和感を覚え、中学受験のために通塾するようになりました。

親元を離れて同年代と暮らすことになった寮生活の思い出を教えてください。

小坂さん 両親は心配する素振りを見せず、むしろ応援してくれました。寮生活はプライベートと学校生活の切り替えがポイントで、授業時間が始まったら勉強モードに入ります。みんな一緒に食堂で食事をとっていたのが今では懐かしい思い出です。集団でいる時間が長いのですが、自室では趣味に没頭することができますし、ラウンジスペースで膝を突き合わせて話し合うこともできます。周囲に迷惑をかけないという暗黙のルールがしっかり守られていると感じました。

寮内でも先生が特別講義を行います
寮内でも先生が特別講義を行います
朝日と共に始まる自由参加型の早朝学習です
朝日と共に始まる自由参加型の早朝学習です

自分なりの学習習慣や成績を上げるコツはありますか。

小坂さん 夜間学習として毎日決められた時間の学習は定められていましたが、何を勉強するかは自分で決めるところです。テスト期間が近づいたら、出題範囲を全て復習しながら、課題としての問題集にも取り組んでいました。
高1からは志望校を絞り込み、校外模試を受けながらモチベーションを上げてきました。一番の目標校だった東工大は、初めての模試でD判定。不安になったと同時に、勉強に対するやる気が湧いてきたのを覚えています。
先生が寮で指導してくださることもあり、特に最終学年では私が尊敬する数学の先生から親身になって熱心に指導していただき、一緒に受験を戦ってくれているという気になりました。
何年も残る建物を作り上げる建築家の仕事に憧れて東工大を目指してからは、親友といつも一緒に勉強時間を過ごしてきました。休日でも出かけるついでに過去問を解き、お互いの得意分野で正解数を争っているうちに、いつの間にか学力にも自信がついてきたという感覚です。

気心の知れた仲間と出かけた京都小旅行の様子
気心の知れた仲間と出かけた京都小旅行の様子

保護者と中学受験生に向けた応援メッセージをお願いします。

小坂さん 寮生活があったからこそ、海陽に入って良かったと考えています。全国から集まりそれぞれ考え方が異なる仲間がいる環境なので、人との付き合い方を学ぶことができました。東大や早慶に通う友人とも頻繁に会っており、これから一生付き合っていける仲間との関係は今後の財産になると考えています。
海陽には他校にない魅力が詰まっています。何事も自分で決めていく大変さはありますが、早く自立したいのならば、海陽への入学をおすすめしますよ。

東大・京大に卒業生を送り出した2024年度の進学実績

キャリアデザイン部(進路指導部)を担当されている前田嘉則先生から、2024年度大学入試の総括をお話しいただきました。

大学受験における状況概要、注目すべきトピックスを教えてください。

前田先生 当たり前にやるべきことを当たり前にやったかどうか、そのことを感じた一年でした。また、防衛医科大学校や早慶の合格者が多く出たことは、受験科目において最大科目数を課す東京大学や京都大学を受験しようと準備した生徒たちによるところが大きいというのは例年通りの感想です。特筆すべきは学校推薦型選抜(指定校)を希望する生徒が例年に比べて少なかったことで、自分の力を試したいという生徒の思いが強かったからでしょう。
特別給費生は過半数が現役で東京大学に進学しましたが、その他の生徒も彼らから良い影響を受け、多くが難関大に進学していきました。
こちらに2023年度に卒業した一般生(入試I等で入学した生徒)70名の現役合格実績を一部抜粋しました。

大学名 合格者数
東京大学 2名
京都大学 2名
東京工業大学 1名
国公立医学部医学科 2名
防衛医科大学校医学部 1名
早稲田大学 13名
慶應義塾大学 9名

キャリアデザイン部の取り組みについて教えてください。

前田先生 入学時点から卒業するまで、英数国については学力目標と学習習慣を年度ごとに定量的に決め、各学年のキャリアデザイン部の部員が定期的に進捗状況を確認しています。最終的な学力の伸長は、「大学で何をやりたいか」にかかっています。それを疎かにして「ただ勉強すればよい」という方針では伸び悩んでしまう生徒が出るため、動機づけの部分は担任やハウススタッフが面談等を通じて確認し、より明瞭になるように促しています。学習行動と動機づけは学力伸長の両輪であるので、どちらも強く意識しながら持続的な支援を行っています。

夜学習は自分自身と向き合う大切な自習の時間です
夜間学習は自分自身と向き合う大切な自習の時間です

進学指導における今後の展望をご教示ください。

前田先生 有名大学への進学だけが本校の教育目標ではありません。基礎学力と人間力を鍛えることを目標にしていますが、そのために「体験」=「生活」を重視しています。家でゲームを楽しみながら、時間が来れば塾で勉強して、その繰り返しを通じて器用に立ち回る人たちが作る未来には限界があります。
体験力=非認知能力=人間力を身につけた若者こそ求められているのではないでしょうか。本校では進路指導と言わず「キャリアデザイン」と呼称するのは、そうした力を自ら身につけた主体者を育成したいという思いがあるからです。学習習慣を主体的に身につけ学力を伸ばしていくという過程は、仕事や人間関係、さらには社会貢献の「モデル」になると考えています。
教員やハウススタッフの、生徒に対する学習支援の在り方は、そのまま彼らの人生への支援につながっていると私どもは考えております。

編集後記

小坂さんは海陽のカリキュラムと寮生活の学習環境によって、通塾することなく東工大への現役合格を果たしました。入学直後の意識からその後の6年間が大きく変わるという貴重なアドバイスもいただきました。皆さんも、ポジティブで向上心の高い生徒たちと一緒に過ごす寮生活にチャレンジしてみませんか。

イベント情報

イベント名 日時 備考
宿泊体験入学(小6・小5対象) 2024年7月20日(土)~21日(日) 小6生・小5生の男子児童およびその保護者が対象(保護者宿泊は希望者のみ)
宿泊体験入学(小6・小5対象) 2024年7月27日(土)~28日(日) 小6生・小5生の男子児童およびその保護者が対象(保護者宿泊は希望者のみ)
宿泊体験入学(小6・小5対象) 2024年8月3日(土)~4日(日) 小6生・小5生の男子児童およびその保護者が対象(保護者宿泊は希望者のみ)