4教科から選べる自由研究は、自宅で気軽にチャレンジできる内容ばかり
小学4~6年生を対象とした同イベントは2時間ほど。昨年までは1~2教科でしたが、好評につき今年は国語・理科・算数・家庭科の4教科が用意されました。保冷材を使ったオリジナル芳香剤作りや葉脈標本によるしおり作りなど、子どもの好奇心をくすぐる内容がそろっています。広報担当の小尾先生は「子どもたちが楽しめるイベントなので、学校に興味を持つきっかけになることが多いです。実際、イベントを楽しんだ子たちが秋以降の説明会に来ることも多いです」と話します。
使い捨てアイテムを再利用した芳香剤作りでSDGsを実践
朝から続々と集まった子どもたちと保護者は、受付を済ませて事前に選んだテーマの教室へと移動します。最初にのぞいた教室では、4~5人のグループに分かれた子どもたちが、カップに入ったカラフルなゼリー状のものを混ぜています。
家庭科のオリジナル芳香剤作りです。使うのは冷蔵庫で余りがちな保冷剤。中身はオムツにも使われる高吸水性ポリマーで、消臭効果があります。水性ペンで色付けした高吸水性ポリマーに数種類のアロマオイルから好きな香りを選んで垂らし、ビー玉などで飾り付けをして完成させます。
担当する関野先生は、SDGsの観点からこの企画を思い付いたといいます。「使い捨ての保冷剤がもったいないという気持ちから、リサイクルして何かを作れないものかと考えました」と話し、作業前にはゴミを減らすために大切な「Reduce」「Reuse」「Recycle」の3Rについても伝えました。
当たり前のことを指導する姿勢から、子どもを想う気持ちが伝わる
次にうかがったのは国語の教室。テーマは、ひらがなやカタカナの元になった「万葉仮名」です。漢字の成り立ちや日本への伝来について学び、自分の名前を万葉仮名で表現。オリジナルスタンプに加え、和紙を貼ったうちわを作りました。
中学では古文の授業が始まり、和語や漢語の違いも学びます。楽しい時間の中で文字の歴史にふれた経験は、国語への興味や親しみや興味につながるのではないでしょうか。
子どもがスタンプを完成させて「できた!」と言うと、そのたびに先生方が「どれどれ、見せて」「できた、できた。すごいね!」と盛り上げていました。一方で、使い終わったあとも出しっぱなしになっているインクなどを片づけるように伝え、きちんと自分たちで片付けるように指導していたのも印象的でした。
学習レベルが上がっても学びの楽しさは変わらない
理科実験室では、スケルトンリーフ(葉脈標本)によるしおり作りが行われていました。葉をアルカリ性の薬品で煮て、水で薬品をよく洗い流し、歯ブラシで溶けた葉肉を取り除き、葉脈だけを取り出すというもの。葉全体を薬品に浸しても葉脈だけが残るので、子どもたちも葉脈と葉肉の成分が違うことを理屈抜きに理解できたでしょう。
2つ作っている子が何人もいて、心から楽しんでいることが伝わってきました。「きれいに作るコツは水分を丁寧に取ること」という先生の言葉を聞き、ペーパーで挟んだ葉に体重をかけている子もいました。
他の教室では保護者は教室の端で子どもたちを見守っていましたが、薬品を使う実験とあって、多くの方が子どものすぐ横で様子を見ていらっしゃいました。先生が最後に子どもたちに伝えた、「葉脈についての詳しい説明は中学でやります。勉強は中学・高校とだんだん難しくなっていくけど、分かると面白いです」というメッセージが印象に残りました。
正多面体がつくりだす幾何学的な美しさにふれる
最後に足を運んだ算数の教室で行われていたのは、ヒンメリ作り。ヒンメリとは、美しい多面体が特徴のフィンランドの伝統的なモビールです。必要な材料を準備するためには、面の数や辺の数を考える必要があります。
針を使い、糸に5センチほどのストローを3本通して三角形を作り、それをつないで立体にしていきます。担当の五十嵐先生が「絡まらないように気を付けてやるんだよー!」と声をかけますが、多くの子が慣れない作業に悪戦苦闘。そんな中でも懸命に形にした子どもたちは、大事そうにヒンメリを持って帰っていました。パズルのような工作を通して、正多面体がつくる幾何学的な美しさにふれた子どもたち。中学で多面体を学ぶとき、この体験を思い出す子がたくさんいることでしょう。
サポートする在校生の姿に、保護者は数年後の子どもの姿を重ねる
各教室にはサポート役として、中学1・2年生が数人ずつ配置されていました。教室によっては、見回りを行いつつ一緒に参加して楽しむ様子も見られ、子どもたちに優しく声をかける様子には誇らしさが感じられました。
在校生は、参加者の小学生にとって年齢が近いため親しみやすく、保護者にとっては子どもの数年後の姿を思い描くことができる存在です。話を聞いた中1の女子生徒は先生に選ばれてサポート役になったらしく、「選ばれてうれしい」と顔をほころばせていました。
先生からは、子どもたち一人ひとりの様子をよく見て必要な声かけをするよう言われたそう。「口を動かさないで手を動かして!」と先生のような声かけをしていた中2の男子生徒は、小学生のときに自分も同校のイベントに参加したことがあると話してくれました。
2025年度の中学入試は?
入試説明会も行われました。武蔵野は2025年度も、教科以外の得意分野を活かせる「アクティブ入試」を実施。国語と算数の「2科」に加え、国語もしくは算数の1教科と小学校時代に力を入れて取り組んだことを記述する「アクティブ」の2種類が用意されています。
これら一般入試のほかに適性検査型入試(都立中高一貫校と併願)もあり、試験結果に応じた特待制度「武蔵野入試特別制度」も用意されています。
入試説明の前には生徒による行事紹介がありました。登壇後、代表として行事紹介をした中3のお二人に、個人的に好きな行事を聞いてみました。女子生徒は「文化祭」と回答。「来れば学校のよさがわかると思います」。男子生徒は「林間学校は、縦割り班で学年に関係なくみんなでレクリエーションを楽しめて、職業体験もできます。生徒と先生の距離が近いのも武蔵野の魅力です」と誇らしげに話してくれました。
個別相談が行われていた部屋では、鉄道研究会の顧問を務める蔵元先生に、最近多いご相談内容を尋ねてみました。
蔵元先生 ここ2~3年の傾向としては、偏差値などではなく、子どもと校風の相性を重視するご家庭が多い印象です。授業についてだけでなくクラブ活動や行事についてもよく聞かれます。
編集後記
夢中になっている子どもたちの表情が、充実した時間だったことを物語っていました。おもしろくて家で気軽に楽しめる自由研究の内容に、先生方の熱意を感じました。体験できる教科数も増え、武蔵野の魅力が伝わるイベントとしてグレードアップしています。武蔵野では今後もさまざまなイベントが開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。
イベント情報
日時 | イベント名 |
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2024年9月14日(土) 13:30~ | 学校説明会 |
2024年10月19日(土) 10:30~ | 学校説明会 |
2024年11月2日(土)・3日(日・祝) 10:00~15:00 | 文化祭 |
2024年11月9日(土) 13:30~ | 学校説明会 |
2024年12月14日(土) 10:30~ |
入試模擬体験(2科型・適性検査型)
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