「自学自習」の土台を作る「総合的な学習の時間」
狭山ヶ丘で展開されている「総合的な学習の時間」について、付属中学校の美尾涼平先生と、高等学校の須田昇先生に話をうかがいました。
「総合的な学習の時間」の特色を教えてください。
美尾先生 普段の座学以外の学びです。中学1、2年生では農作業を行うのですが、自ら体験したり、正解がない問いに向き合ったりする時間を通して、知的好奇心や教養を育みます。1年次には「食」をテーマに、2年次には「SDGs」をテーマに調べ学習をして発表する機会もあります。中学3年次には各自がテーマを選び、4,000文字以上の研究レポートをまとめます。
須田先生 高校では1年次のみ総合的な探究の時間を設けており、調べ学習と発表はグループワークとセットになっている場合が多いので、積極的に協力して学び合う力は高校でも役立っています。本校は高校から入学する生徒もいますが、グループワークでは内部進学生が中心となる場面が多いように思います。
実体験や課題に向き合う時間、あるいは研究レポートの執筆は、御校が重視する「自学自習」と重なります。
美尾先生 総合的な学習の時間では、自ら学ぶ場所を提供しているイメージです。農業やSDGsについて何か「知りたい!」と思って、その関心事を探究しながら、自学自習の土台を作ります。中学3年次では各々が興味のある題材を取り上げるので、主体的に考えたり取り組んだりする姿勢がより強まります。
須田先生 今の高校1年生は総合的な探究の時間で、特に学校のある入間市における課題に目を向けています。クラスの垣根を超えたグループで動いていることもあり、コミュニケーション能力や協働力も育まれていると感じます。
約一年をかけて前のめりに研究を進めていく
総合的な学習の時間を含む狭山ヶ丘の学校生活に関して、高校1年生のH.E.さんとS.H.さん、それから美尾先生と須田先生の4名に語り合っていただきました。
高校生のお二人は、中学校時代の総合的な学習の時間では何が印象深いですか。
H.E.さん 私はやっぱり研究レポートです。以前から興味があった沖縄県を取り上げ、観光地という点に焦点を当てて6,000文字ほどの論文をまとめました。
S.H.さん 私も研究レポートです。「幽霊画にはなぜ女性が多いのか」をテーマにし、「幽霊画は美人画の一つである」という結論を出しました。最初は「4,000文字も書けるかな」と不安でしたが、結局、8,000文字くらいになりました。
美尾先生 沖縄県も幽霊画もそうですが、それぞれが好きなものや興味があるものを扱うので、約一年をかけて前のめりに研究を進めていく生徒がほとんどです。だいたいの生徒が4,000文字を超えますし、1万字以上の論文もあります。
須田先生 中学3年生の3学期には論文をもとにしたポスターセッションを行います。論文執筆という点では、高校から先、大学での勉強を見据えているような部分もある取り組みです。
H.E.さん 周りの論文だと、時代によって音楽の周波数が変わるという結論が面白かったです。世の中が不安定だったり景気が悪かったりすると周波数が低くなって暗い曲が多くなり、元気がある時代には周波数が高くなって明るい曲が増えるそうです。
S.H.さん 研究レポートは中学時代の集大成という感じです。1年次には「食」を、2年次には「SDGs」を題材に発表をするので、その際にいかに分かりやすい文章を書くかが鍛えられます。
H.E.さん 1、2年次の農作業では畝作りや種まきから始まって、収穫を経て自分たちで調理して食べるという行為を一貫して体験できるので貴重な時間だと思います。
美尾先生 農作業にもSDGsの調べ学習にも、グループで課題解決に向き合う面があり、広い視野を持てるようになる傾向が強いですね。例えばSDGsの17の目標は各々が重なり合う部分があります。一つの課題を考えていると、別の問題に直面する。そんなふうにして物事を多面的に見るようになります。
H.E.さん 私がまさにそんな感じでした。中学2年生のときにSDGsの「ジェンダー平等を実現しよう」という観点から、電車の女性専用車両などについて考えました。すると、女性専用車両は痴漢や痴漢の冤罪をなくす狙いもあって、男性の安全を守る意図もあるという結論に達しました。ジェンダーについて考えることは「人や国の不平等をなくそう」という目標に重なることも分かりました。
S.H.さん 私もSDGsの調べ学習から得たものは大きいです。私は「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」という目標に焦点を当てたのですが、ほかの16の目標も同じように持続可能な世界作りに関わっていますし、今はSDGsの活動に注目する機会が増えました。
須田先生 総合的な探究の時間では、通常の授業ではなかなか接しないテーマに向き合うので、そこで考える力などを養い、高校を出た後の学びに役立ててほしいです。
受験生やその保護者に伝えたい狭山ヶ丘の魅力
最後に、受験生やその保護者に向けて、狭山ヶ丘の魅力を語っていただきました。
美尾先生 座学以外の学びが多い学校生活を楽しめます。JAXAを訪れる理科実習や東京国立博物館に足を運ぶ校外学習などを通じて本物に触れ、知的好奇心が刺激されるはずです。
須田先生 「面倒見のよい学校」だと思います。個別面談の機会を多く設けており、高校生になると一人ひとりに対して丁寧に進路指導を行っています。
H.E.さん 勉強も行事も部活も全力で取り組める環境が気に入っています。授業外の朝ゼミや放課後ゼミはとてもためになっています。体育祭も毎年大盛り上がりですし、充実した学校生活が送れると思います。
S.H.さん 研究レポートを含む総合的な学習の時間を通して、特に文章を書く力が伸びると思います。私自身、中学校の3年間で、どうやったら深く伝わるか、論理的に考えて文章を書く能力がつきました。
編集後記
狭山ヶ丘は2024年度、東京大学を含め45名が国公立大学に合格する進学実績を残しています。中学3年間で農業やSDGsに向き合い、自分の選んだテーマを探究する研究レポートで培われる「主体的思考力」に加え、授業外の朝ゼミや放課後ゼミが、大学進学に少なからず影響しているのは間違いないでしょう。総合的な学習の時間で育まれた自学自習の姿勢は、大学という学びの場でも大きく役立っていくはずです。
イベント紹介
高等学校では平日の放課後に個別相談会を行っています。
イベント名 | 実施日時 | 備考 |
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高等学校 第5回学校説明会 | 11月23日(土・祝)10:00~11:30 | 11月2日(土)9:00に予約開始 |
付属中学校 第5回学校説明会 | 11月30日(土)14:00~15:30 | 11月9日(土)9:00に予約開始 |
高等学校 第1回個別説明会 | 12月14日(土)9:00~12:00 | 予約不要です |
高等学校 第2回個別説明会 | 12月21日(土)9:00~12:00 | |
高等学校 第3回個別説明会 | 12月26日(木)9:00~12:00 |