GILの目的とは
GILは中学1年生の2学期から3年生・3学期まで土曜日の午後、合計30回の講義が実施されます。アナログとデジタルのものづくり、SDGs、プログラミング、などのほか、東京理科大や企業と連携し、生徒の思考力を育むさまざまなワークショップ(※)が実施されています。
※直近の実施例:「アニメーションを制作しよう」をテーマにした2日間のワークショップ
1日目は、ゾートロープを作成しながらアニメーションの原理をアナログで理解。
2日目は、iPadで撮影した写真を編集してクレイアニメを制作した。
技術革新や多様化が進み、これが正解というものが見いだしにくくなっている現代。そうした社会で生きていくためには、自らの手を使って共につくり、学ぶという姿勢に意味や価値があるのではないか。GILではこうした思いをもとに、ワークショップを通じて、社会的・世界的な課題を自分事として捉え、答えがない中でも、ものづくりを通して社会に貢献する、新たな視点や価値を見せる授業として展開しています。
プログラミングでクッキーの焼き加減を調整!?GILのユニークなワークショップ
実際にGILに参加している中学3年生と昨年まで参加していた高校1年生にお話をうかがいました。
K.Y.さん(高校1年生・写真左)グローバルイノベーションクラス(以下、GIC)在籍。GILのような探究活動がしたくて聖学院に入学。レゴを使った授業にも興味があった。クラブは旅と鉄道部に所属。
K.T.さん(中学3年生・写真右)鉄道研究部のある男子校を志望して聖学院へ。学校体験イベントのレゴキング選手権にも参加し楽しかったことから聖学院に入学。
これまで参加したワークショップで一番楽しかったテーマはなんでしょう。
K.Y.さん
中学2年と3年の時に取り組んだ「クッキーの焼き加減をプログラミングで制御する」というテーマです。
まず、チームでどんな人に食べてほしいクッキーなのかを話し合います。そして、その相手にぴったりなクッキーはどんなものがいいか、クッキーの形や厚みを検討したり、どんな焼き加減だったら美味しくできるかなどを実験と検証を繰り返しました。実験は、Scratchを使ってプログラミングを行い、トースターの温度や焼き時間などを制御しました。結局、なかなかうまく調整できず理想通りのクッキーはできませんでしたが、とても面白いテーマでした。
K.T.さん
昨年のクッキーを作る回では、K.Y.先輩と一緒のチームだったんです。そのときは、「長距離ドライバーが眠くなったときに食べたら目が覚めるくらい硬いクッキーをつくろう」というテーマを設定しました。いろいろ試行錯誤しましたが、クッキーの生地が厚すぎて生焼けのようになってしまいました。でも楽しい実験でした。
そのほかでは、今年の夏に取り組んだ「未来のキャンプ場をつくる(※2)」というテーマが印象に残っています。VIVIWARE Cellというプロトタイピングツールを使って制作するのですが、僕は未来のテントをイメージした作品を構想しました。クーラーボックスに収まるくらい小さいテントで、テントが空を飛んだりするのも面白いなと思っていろいろ考えました。
※2 2学期から参加する中学1年生向けにGILを楽しんでもらおうと企画したもの。たき火やランタンなど未来のキャンプ場ならこんな場所、こんな物があるという発想で制作
GILに参加したからこそ見つけたものとは?
GILに入ったことで、自分自身成長できたと感じることはありますか。
K.Y.さん 中学1年生の時は、否定されることが嫌いで、割と頑固な性格でした。でもGILで、グループで活動する中で、自分の意見だけがすべてではない、みんなで意見を出し合ったほうがより良いものがつくれる、逆に人の意見を聞くのは面白いと思うようになりました。そうしたことで実際によい結果が出たこともあります。
K.T.さん 小さい頃からものづくりが大好きで、聖学院はそんな僕に向いていると思い、何度も説明会に来ていました。念願のGILに参加できて、やはりプログラミングって楽しいなと改めて思いました。これから創立記念祭(文化祭)があります。所属する鉄道研究部ではNゲージの乗車体験ができるのですが、これまではお客さまを結構待たせることがあったので、今年は予約システムをつくりたいです。
K.Y.さんはGICでも取り組んでいることはありますか。
K.Y.さん GICのSTEAM授業の中で、電気を通すものにコードをつなげると、それに触るだけでスイッチのように操作できるMakeyMakeyというツールを使った取り組みがあります。僕は中学3年まで吹奏楽部に入っていた経験を活かして、MakeyMakeyを使って音楽と美術を融合させた仕組みを考えているところです。
GILで学んだ事がいろいろと活かしていけそうですね。
K.Y.さん 僕はGILで学んだことを学校内に還元したいという思いがあります。今、鉄道研究部の中で電車の運転ゲームをつくる班を立ち上げようと思っているんです。音響とかハンドルを握るとちゃんと振動が伝わるような仕組みをつくりたいです。引退した車両の運転台を3Dプリンターで作るなど、ロストテクノロジーを復活させたいです。
K.T.さん テーマに沿って自分たちで考えて何かを作るということはやっていきたいし、もっといいものを作れるようになりたいと思っています。僕は将来、ゲームのマスコンハンドルを作ってみたくて、そのためにはプログラミングの知識がもっと必要になります。高校ではGICに進んでその知識を培っていこうと考えています。
ものづくりを通して社会に貢献できる人材を
GIL指導にあたる諸橋陸先生(担当教科・理科)に、実施目的や生徒の様子についてうかがいました。諸橋先生はGICの授業(STEAM)も担当しています。
ワークショップでは外部の企業や機関と連携されていますね。
諸橋先生 学校の中だけですと、その中だけで社会が構築されてしまうと思うのです。学校の人ではない、外部の人だからこその視点に触れるということも大切にしたいので、外部の大学、団体などにもご協力いただき取り組んでいます。
GILでの取り組みを通して生徒にどのような成長が見られますか。
諸橋先生 GICで授業をしていると、生徒から「これGILでやったことある」と授業の場面でも活かされるということがよくあります。うまくいったこと、いかなかったことも含め、GILでの学びが本物の知識となっているのだと感じます。ゆくゆくはそうした知識を応用し、学校全体の取り組みにも活用していければと考えています。
今後の展望を教えてください。
諸橋先生 これからも生徒たちの興味・関心を引き出すようなテーマを提示できるよう、どんどんブラッシュアップしていきたいです。GILのテーマは我々教員だけでなく、本校の卒業生や教育に関心のある大学生がチームとなって制作しています。ワークショップではチューターとして指導してくれているので、彼らが自走していけるような仕組みができたら、柔軟でもっと活気にあふれたGILになると思います。
ものづくりが好きなお子さんは、貴校でのびのびとした学校生活を送ることができそうです。
諸橋先生 本校は自分の興味に突き抜けた子、とことん追求する子にはぴったりな学校だと思います。新しく好きなことを見つけられるかもしれません。6年間の学校生活できっと新たな視点を見つけられるでしょう。
編集後記
今回インタビューしたK.Y.さん、K.T.さんは二人とも思考力入試で入学しました。ものづくりが大好きでGILでの活動が楽しくてたまらないという様子。同じ鉄道研究部ということもあり、運転体験の予約システムの話では「ぜひ作ってほしい!」とインタビュー中でも大盛り上がりでした。
聖学院では自分の興味・関心を大切に、さらにそれを引き出すさまざまな体験が用意されています。11月の記念祭(文化祭)では、ぜひ、そうした彼らの作品や取り組みを体験して欲しいと思います。
イベント紹介
イベント名 | 実施日 |
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学校説明会・体験会(来校型) | 10月26日(土) |
創立118周年記念祭(文化祭) | 11月2日(土)・4日(月) |
校内見学会(来校型) | 11月9日(土) |
学校説明会(オンライン) | 11月13日(水) |
入試対策説明会(来校型) | 11月30日、12月21日、1月11日(いずれも土曜日) |