世界で活躍する鍵となるエンジニアリングデザイン

瀧野川女子学園中学高等学校
2021年の大学入試改革以後、理工系学部も含めて、驚異的な合格実績から注目を集めている瀧野川女子学園中学高等学校(以下、瀧野川女子)は、その新しい教育手腕から「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣表彰を受賞しています。東京外国語大など難関国立大をはじめ、東京理科大や明治大、さらには医学部への合格など、近年目覚ましい実績を積み上げている瀧野川女子が先導する最新の教育トレンドをご紹介します。

世界のトップ大学が目指しているもの

東京工業大学の博士課程でロボット創造学の研究をしていた副校長の山口龍介先生。ロボット工学の分野で世界屈指の研究室だったことから、世界のトップ大学の留学生と共に研究していたそうで、加えて文科省のプログラムで旧帝国大と東工大の教育改革プログラムの運営にも関わっていました。瀧野川女子が先導する最新の教育トレンドについてお話しをうかがいました。

創造性と起業家精神を育む「エンジニアリングデザイン」

世界と日本のトップ大学の違いを教えてください。

山口副校長 「日本の大学は、世界から遅れている」と言われ、海外のトップ大学に進学する生徒が現れ始めた2010年頃、世界のトップ大学に返り咲くための大学の大改革が始まりました。
ちょうどこの時期、私は東京工業大学の博士課程でロボット創造学の研究をしていました。幸いなことに、大学改革に深く関わる機会があり、世界中から集まった仲間や大学の先生、企業の方と話す中で、研究開発で、日本の若者は、欧米のエリートと互角以上の実力を持っており、遅れをとっているのは、習っていない、トレーニングされていない能力の部分だけ、つまり、大学を含めて学校が用意しているトレーニングプログラムの違いのみである、と言うことがわかりました。当時からすでにアメリカを中心に先端大学では、「実社会に有用なものを創る」というエンジニアリングデザインの考え方に、移行していたのです。

山口龍介 理事・副校長
山口龍介 理事・副校長

中高教育に関わる課題についても発見されたそうですね。

山口副校長 どうしたら日本の大学をもう一度、世界トップに持っていけるだろうか、と大学の先生たちと議論する中で、もう一つの解決すべき課題が明らかになりました。その大学教育と中高の教育との繋がりが薄く、多くの優秀な中高生たちに、日本が国際社会に対して強い競争力を持っている分野、何より、実社会に直結した、ものすごく面白いエンジニアリングの魅力、存在が伝わっていないということです。特に実社会がその分野の能力を持った女性を求めているにも関わらず、伝わっていないのです。

ぜひ体験してほしい新世代の学び

エンジニアにならなかったとしても、「実社会に有用なものを創る」という、エンジニアリングデザインの能力と考え方は、どのような仕事に就いても、強力な力になります。チャンスを手に入れたい、起業したい社会人が、スタンフォード大学のd.school等への入学を希望しているのも、そのような理由なのです。

他校に先駆けて導入された新世代の教育手法

中高教育での課題に対し、瀧野川女子で行う取り組みについて教えてください。

山口副校長 これを解決するには中高の教育を変えた方が良いと考えていた2010年に、私は瀧野川女子学園に加わり、全ての教育活動を、実社会につながる実践的な学びへと変えました。鍵となるのは、創造性と起業家精神、そして「欲しいものは自分たちで自由に創る」という先端的なエンジニアリングデザインです。
2010年から、理想の教育を実現するための時間を作ることと、先端技術の力を使って、教育の形を変えるために、教育のICT化を進めました。代表的な教育のICT化では、2014年からiPadを導入し、2019年に「黒板の無い教室」で、全ての普通教室から黒板を無くし、完全ICT化を全授業で達成しました。並行して、2015年には、エンジニアリングデザインの考え方を全面的に導入して、創造性と起業家精神を育む、中高6年間の独自授業「創造性教育」を立ち上げ、2023年1月には、キャリア教育優良学校として、文部科学大臣表彰をいただくことができました。

中学生からプログラミングを必修で学び、2年生で大道芸ロボットを作ります
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大学入試の結果にも顕著に表れたそうですね。

山口副校長 その効果もあり、2021年度の大学入試改革初年度には、総合型選抜で前年までのAO入試に対して4倍の合格実績を記録することができ、直近の2024年度大学入試でも、新型入試での「驚異的」と言われる強さは続き、受験生の87%が12月までの年内に難関国立大学を含めて合格、進路を決めることができています。何より嬉しいのは、これが毎年約90%の生徒の授業満足度と、日々、楽しそうに笑顔で過ごしている学校生活と両立できていることです。

高校2年生では15人一組で会社を立ち上げ、起業を体験します
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大学生や社会人になってからも影響があったとお聞きしました。

山口副校長 こうした教育を受けた卒業生が、「創る」という意識と能力を持って挑んだ結果、大学での学びも豊かにし、その後の就職活動を経て、やりたい仕事を手にできていると知らせを受けています。中には大学教員を目指すと明言する卒業生もいて、私たちの教育を受けた生徒たちが、日本をより元気にしてくれる日も近いと感じています。

中高6年間に渡って、独自の教育プログラムが新しい価値を作れる女性を育みます
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受験生や保護者の皆さんに注目していただきたいポイントを教えてください。

山口副校長 「好きなことに思い切り挑戦しよう」を合言葉に、全校生徒が自分たちのキャリアを創り上げようと、日々前向きに挑戦している姿をぜひ説明会でご覧になっていただきたいです。
独自の取り組みが多く、誌面だけでその特長や魅力をお伝えするには限りがあるので、ぜひ来校して体験していただきたいと考えています。
昨年ご好評いただいた授業体験を大幅に拡充するなど、実際に本校が行なっている教育活動を体験していただける機会を多くご用意しましたので、ぜひご来校ください。それではみなさま、ごきげんよう。

編集後記

情熱を込めて女子教育の未来を語る山口副校長のご様子からは、瀧野川女子におけるカリキュラムや指導への姿勢に対する絶対的な自信と共に、本気で社会変革を求める気持ちが感じられました。一方で、私学独自の魅力や他校との差別化につながる特色は、来校イベントに参加してみないと伝わらないものがあります。学校説明会やオープンスクールが実施される際には、都内・埼玉からも通いやすい最寄駅「上中里」周辺の環境をチェックしながら、校内全体の活気や授業に向かう生徒たちの姿勢など、言葉には表せない様子を確かめてはいかがでしょうか。

イベント日程

イベント名 日時
学校説明会(対象:小学4年生〜6年生) 2024年6月22日(土) 13:30〜16:00
授業体験・デッサン教室 2024年7月20日(土)
夏期講習 2024年7月27日(土)・28日(日)
オープンスクール 2024年8月3日(土)・4日(日)
学校説明会 2024年8月24日(土)・25日(日)