「学ぶ楽しさ」を掘り起こす授業
Sさんの高校生活について、在校時に担任を務めた芝辻憲子先生にうかがいます。そして、現在進路指導ご担当の明石俊哉先生にもご登場いただきます。
Sさんの入学時のことを教えてください。
芝辻先生 勉強が大好きな生徒でした。学びに没頭しがちだった彼女に影響を与えたのは一貫生です。一貫生は中学でグループワークを数多く行うので、周りの人と協力し、他者の良いところを引き出すことに長けています。高校の創造性教育でグループワークをしたとき、一貫生の生徒がSさんの得意分野を活かすようにアドバイスして、グループの取り組みが成功したことがありました。そうした経験から、Sさんの視野が広がっていき、人間味もどんどん増していったことを覚えています。
Sさんに物理の面白さを目覚めさせたのは明石先生だと聞いています。明石先生はSさんにどんな印象がありますか。
明石先生 本人は理系が苦手だと言っていましたが、物理や数学の理解力は非常に高かったです。ですから授業では、より掘り下げた内容をSさんには伝えていましたね。それにより、周りの子たちも「そうなんだ!」と影響されていきました。
芝辻先生 本校の教員は専門性を活かした授業を行うので、勉強が苦にならず、理解することに喜びを見出すSさんのような生徒には刺激的だと思います。明石先生はオリジナルの実験をしますし。
明石先生 やってみて面白くない実験は、あまりやらないようにしています。
どんな実験をしたことがあるのですか。
明石先生 教室内で2つの音源を離れた場所に置いて、同じ音量にしてその間を行ったり来たりすると、音が大きく聞こえたり小さく聞こえたりするんです。これにはドップラー効果とうなりだという解釈と、音波の“干渉”だという解釈があり、1つの現象に対して2つの解釈の仕方があるんです。これが東大の入試で出たことがあるので、実際に体感してみることにしました。物理の授業で公式が登場するときは、「普段の生活で体感していることは、この公式に当てはまっていることだよ」と、生徒が実感しやすいことに例えて説明しています。
授業ではできない学びを!ゼミ制度と特別講座
芝辻先生は、担任として進路指導するとき、どのようなことを意識していますか。
芝辻先生 本校の方針は「好きなことを思いっきりやる」ですが、“ただ単純に好き”で終わらせず、なぜ好きなのか、どういうところが好きなのかを考えさせて言語化できるようにしています。保育士になりたいという夢があったとして、理由を「子どもが好きだから」と言うなら、ほかにもいろいろな職業が該当するはず。そのとき、「子どものどんなところが好きなのか」「子どもと何をするのが好きなのか」をとことん考えさせるんです。すると、その生徒だけの理由を導き出すことができ、大学入試の面接で志望理由を尋ねられても、回答が周囲の意見に埋没しません。そうした思考のプロセスは、個人で進めることが非常に難しいので、私たち教員がサポートしていきます。
瀧野川女子の進路指導のプログラムにはどういったものがありますか。
明石先生 高校にはゼミ制度があり、生徒が好きなことをより深く学べます。実践的な内容が多いので、学んだ内容でポートフォリオを作成し、大学入試で活用できます。また、高3の3学期には特別講座を開講します。ゼミ同様、教員がそれぞれ持つスキルを活かし、生徒のためになる内容を講座にします。物理で例えると、理学療法士を目指す生徒がいたとして、進学先で人体の構造を必ず学ぶことになるので、生体力学という講座を開いて大学の学びをイメージできるようにする。一般選抜に挑む生徒がいれば、受験用の物理の講座を開きます。
芝辻先生 いま明石先生が話したゼミと特別講座は、Sさんも受講していました。彼女は建築学科に進学しましたが、もともと文学が大好きで、早稲田大学にある国際文学館(村上春樹ライブラリー)を見て触発され、建築と文学が融合する面白さに目覚めたんです。ゼミでは好きな作家や作品を深掘りする「文学講読」を受講し、村上春樹について研究しながら、大学では建築を学びたいという思いを膨らませていきました。一方、特別講座には、建築に関心の高いネイティブ教員による、実際に建築物を見に行く講座があります。Sさんはこれを受講してメンバーと東京駅を見に行ったりしていました。文系や理系に関係なく、ゼミや特別講座を受講できるところは本校の良さだと思います。
Sさんは授業やゼミ、特別講座などで興味や関心の幅を広げ、好きなことを深く学んでいたのですね。先生同士の連携はいかがですか。
芝辻先生 長年、学年主任を務めるなかで意識していることは、教員同士が積極的に話すことです。生徒の進路の悩みもそうですし、どんな生徒でどういった受験形式を選択するかなど、Sさんの学年を担当したときも職員室でたくさん話しました。Sさんは東京理科大を志望していましたが、「東工大を挑戦させるのはどうだろう」と理系の明石先生に相談したこともあります。
先生方が感じる瀧野川女子の良いところを教えてください。
明石先生 生徒の人柄の良さです。説明会では、受験生や保護者に対する言葉遣いや接し方が丁寧で、安心して運営の手伝いを任せられます。本校で育つなかで、初対面の方に対しても動じずに自分のことを話せるようになるので、総合型選抜や学校推薦型選抜の面接を突破していくんだろうと感じます。
先生方ご自慢の生徒に会えるイベントといえば、あかつき祭(文化祭)があります。見どころを教えてください。
芝辻先生 オープニングです。毎年レベルアップしていて、まるで一つのショーのようなので、ぜひ見ていただきたいです。
明石先生 例年、高2生が創造性教育の一環でオリジナルの商品を販売します。生徒は4月に会社をつくり、商品の企画から製作までを担当し、試行錯誤して生み出した商品をあかつき祭でお披露目します。商品はもちろん、生徒が販売する様子や店のレイアウトなど、いろいろなところを見ていただきたいです。
編集後記
芝辻先生は、「今年、高校から入学して大学4年生になった卒業生5名が教育実習で戻ってきました。中学で実習をしてもよいはずなので、どうして本校を選んだのか聞いてみたら『先生方がいるから』と言ってくれて、本当にうれしかったです。教員と生徒が互いを大切に思い、ときに教員は厳しいことを言いますが、生徒はその意味をきちんと理解してくれる。そういう関係性を築けるところも本校の強みです」と語ってくださいました。あかつき祭では、そうした先生と生徒の関係性を感じることもできるはずです。
イベント日程
イベント名 | 日時、備考 |
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学校説明会&相談会 | 2023年7月29日(土)9:30〜11:00 対象:小学3年生〜6年生 |
学校見学会・クラブ体験会 | 2023年9月9日(土) |
学校説明会&見学会 | 2023年9月16日(土) |
あかつき祭 | 2023年9月23日(土)、24日(日) |
学校説明会&見学会 | 2023年10月14日(土) |
英検面接対策講座② | 2023年10月21日(土) |