お弁当づくり不要!保護者が気になるスクールランチ事情

東京家政大学附属女子中学校・高等学校
私立の中学校ではお弁当持参の学校も多いなか、3年間スクールランチ(完全給食)を実施している東京家政大学附属女子中学校。進学理由としても挙げられることの多いスクールランチは、食の大切さや、食に関するさまざまな知識と判断力を培う食育の場となっています。今回は、そんなスクールランチの魅力や食育の重要性について、栄養教諭(管理栄養士)の村上まさ子先生にお話をうかがいました。

管理栄養士監修の完全給食で中学生の健康と保護者の安心をサポート

取材日には、インターエデュ編集部もスクールランチを体験。下記の献立を大変おいしくいただきました。その後、栄養教諭(管理栄養士)の村上まさ子先生にランチルーム内を案内していただきながらお話をうかがいました。

■当日の献立
・玄米入りご飯
・鰯のサルサソースかけ
・ほうれん草ともやしの磯辺和え
・さつまいもの蜂蜜レモン
・中華風揚げなす
・冷静かぼちゃのミルクスープ
・乳酸菌飲料

完全給食制のメリットを教えてください。

栄養教諭 村上まさ子 先生

村上先生 栄養バランスが整っている点や、さまざまな食事経験を積める点がメリットです。スクールランチでは、子どもたちが好きなものだけではなく、季節に合った行事食や旬の食材を取り入れながら、成長期にある生徒たちにふさわしい食事を提供しています。

また、当校のスクールランチは、カウンター越しに調理スタッフから料理を直接受け取って、クラスごとの席について食べるスタイルです。調理施設とランチルームが一体化しているため、調理から食べるまでの時間を短縮でき、提供カウンターでは温蔵庫やホットスタンドなどの適温機器設備も整っているため、おいしい給食を適温で食べられる点もメリットです。

献立作りでこだわっていることはありますか?

村上先生 食欲が出るよう、彩り豊かな見た目にすることです。具体的には、必ず赤と緑の食材は入れ、できる限り黄色の食材も取り入れています。また、1日の野菜摂取量の目標と言われるのは350gなので、約3分の1となる120gは摂れるような献立を作ります。

また、旬の食材を使うことも意識している点です。その際は食育メモをテーブルに置いて、生徒たちに旬の食材に関する知識をつけてもらうようにしています。

生徒から人気の高いメニューはありますか?

村上先生 よく食べられるのはカレーライスやハンバーグ、スパゲッティといった、ファミリーレストランなどでも出てくる食べ慣れたメニューが多いです。子どもは、食べ慣れないものに対して警戒心が出てしまうのですが、経験を積むことで、多様な美味しさに気づいていきます。その点、スクールランチは嫌いなものを食べる機会も作れるため、食事の幅を広げることに貢献していると思います。

苦手とされることが多い食材を食べてもらうための工夫はありますか?

村上先生 魚が苦手な子は多いですが、油で揚げる調理法にするなど工夫をしています。日常的に家庭で体験できない食事はスクールランチで経験してもらい、将来的に好きなものを増やしてあげられたらと思っています。

季節のメニューとしてはどのようなものが人気でしたか?

村上先生 七夕メニューとして、「夏香味ポークソテーと星のコロッケ」を出しました。また、付け合わせのすまし汁ではオクラと素麺を使って天の川を表現しました。かわいらしい見た目のメニューが好きな生徒も多いので、喜んでもらえたと思います。

ランチを楽しむ生徒たち
スクールランチを楽しむ生徒たち

心と体の成長に欠かせない食育

貴校では各学年ごとに食育教室を実施していますね。その実施背景や食育に対する思いを教えてください。

村上先生 食育が重要となった背景は、2005年に制定された食育基本法です。女性の社会進出などによって、家族で揃って食事をする機会が減り、孤食(個食)や偏食、また朝ごはんを食べずに登校するなど、子どもたちの食の乱れが問題視されるようになりました。その流れで、子どもたちがしっかりと食事を摂って、心も体も健全になれるような食生活を教育する役割が学校に求められるようになり、栄養教諭の配置も全国的に進んでいきました。

食事は体づくりや心の育成に欠かせませんので、私のような栄養教諭・管理栄養士の立場から、理想的な食事を教えていく必要があると思います。現在は若者の間でも生活習慣病が増加していますが、日本の健康寿命を伸ばすためにも、子どもの頃からきちんとした食生活を教えることが重要です。

当校のスクールランチでは理想的な食事となるように献立を設定していますが、それと紐づけて、どうして正しい食事を摂る必要があるのかを理解してもらえるように食育授業を実施しています。

具体的な実施内容を教えてください。

村上先生 各学年、1学期と2学期で1回ずつ、計6回の授業を実施しています。具体的には下記授業を開催しています。

・中学1年7月:和食文化と食事マナー
・中学1年12月:朝食摂取の重要性について
・中学2年7月:見直そう日本型食生活
・中学2年12月:丈夫な骨を作るための食事と生活習慣
・中学3年7月:栄養バランスのコツをつかもう!
・中学3年12月:健康的な食習慣とダイエットの正しい知識

ホワイトボードと文章
日々の献立についての解説

生徒からはどのような反響がありましたか。

村上先生 正しいダイエットの知識を教える授業では、「私がやろうとしていたダイエット方法は間違っていたんだ…」といった感想が複数届きました。昨今、メディアでさまざまなダイエット法が紹介されていますが、ただ食べる量を減らせばいいというわけではなく、食べるバランスや食習慣・生活習慣を大切にしてほしいと伝えています。ダイエットは思春期の女子生徒の関心が高いテーマだと思いますので、女子中学校ならではの授業かもしれませんね。

食と健康について学べる東京家政大学の栄養学部

東京家政大学の栄養学部について教えてください。

村上先生 併設の東京家政大学には、栄養学部(栄養学科・管理栄養学科)が設置されており、食と健康について学ぶことができます。2025年から「内部推薦制度」の推薦枠が大幅に拡大される予定(127名→211名)で、また第一志望でなくても推薦入学が認められる「推薦併願制度」もあります。2024年度の管理栄養士国家試験の現役合格率は92.6%、食に関わる分野で活躍している卒業生が多いです。

身近な話だと、中学校でスクールランチを食べて育ち、栄養士になるために栄養学科に進学した生徒がいます。またランチを食べて、食に関心を持ってくれる生徒もいますね。

食事
実際のスクールランチ

最後に、受験生と保護者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

村上先生 遠方から通われる生徒さんも多いですが、通学に合わせて親御さんが朝早くお弁当を作るのは大変なことだと思います。スクールランチが理由の1つとなって、東京家政中高に入学いただく生徒も多いです。食育の観点でぜひ安心してお任せいただければと思います!

編集後記

取材日にはスクールランチを楽しむ生徒数名にインタビューしたところ、入学前のランチ体験会で食べた給食がおいしかったことが入学理由になっている生徒も複数見られました。また、「普段はあまり食べない野菜をパクパク食べられる」「アレルギーがあるけど、一人ひとり個別メニューを出してくれるので助かる」などポジティブな声も多かったです。興味がある方は、ぜひ学校説明会やランチ体験会に足を運んでみてください。

2名の女学生
インタビューに答えてくれた生徒さん

イベント日程

※すべての説明会は予約が必要です

イベント名 日時 備考
緑苑祭(文化祭) 2024年10月26日(土) 9:30~16:00、10月27日(日) 9:00~16:00 入試相談室を開室します。
第4回 オープンスクール 2024年11月2日(土) 14:00~ 部活動や授業を体験できるプログラムです。
第4回 学校説明会 2024年11月10日(日) 10:00~  
ミニ学校説明会 2024年11月16日(土) 10:00~  
第5回 学校説明会 2024年12月15日(日) 10:00~ 入試体験プログラムを実施します。
第2回 在校生による学校説明会 2024年12月22日(日) 10:00~ 生徒が企画・運営する説明会です。
第6回 学校説明会 2025年1月12日 (日) 10:00~ 入試直前アドバイスがあります。