受験は2月で終わりではない!?入試結果が「じぶんごと」になった日【future vol.11】(2ページ目)

絶対に着れない第一志望の制服。そのとき長男は…

お天気に恵まれた入学式、家から学校まで通学路の確認も兼ねて一緒に登校しました。「バスはこれね! 帰りはあっちに着くからね!」通塾はずっと車だったのでバスも電車も不慣れです。まるで初めてのおつかいに子どもを出すように、細かく伝える私と、返事だけはしっかりしつつ絶対聞き流しているだろう長男と乗り換えの駅に着いたとき、ちょうど目の前にブカブカの制服に、形の崩れていない第一志望校の指定鞄を持った男の子が立っていました。

思わず私の小言もストップ…。少しの沈黙の後、その男の子が私たちの進行方向とは違う方向に進んで行ったときに、「あっちの道は完璧に覚えてるよ。何度もシミュレーションしたし、道だって簡単だった」「うん。そうだね」としか言えないでいると、「制服って残酷だよね。一目でどこの学校か分かっちゃう。なんか自分に点数をつけられているような気持ちになる。あの制服を着ている子はみんな自分より頭が良いってことじゃん。それに、もう絶対第一志望の学校の制服は着れないんだね」。入試結果が出た後、一度も涙を見せなかった長男が初めてシクシク静かに涙を流したのは入学式へ向かう電車の中でした。うれし泣き用にと準備していた私のハンカチもまさかこんな形で使うことになるとは…と思いながら私も一緒に涙。何か言わなきゃ、何か声をかけてあげなきゃ、と思っていても、私は2月の頭に結果を受け止め、気持ちを切り替えて今日という日を待ちわびていたけれど、長男にとっては今日、入試結果が「じぶんごと」になった日入試結果を理解した日なんだと思うと、そっとしておくことしかできずにいました。

下車する一つ前の駅に着くというアナウンスが車内に流れたとき「ママ、安心して。不登校になったりしないから。第二志望の学校、めっちゃ好きだしすごいワクワクしてるから。ちょっと急に悔しくなっただけ。でもゴメン。あっちの入学式に連れていけなくて…ママまでみじめな思いさせてる」とまた泣きそうになる長男に、「ママは保護者として通うなら第二志望の学校が一番好きだったの! 言い方変えるとママの第一志望は今から向かう学校! PTAでいろいろな企画をしていてね、すごく楽しそうなの! 役員決めだってみんなやりたがるから小学校みたいに押し付け合いにならないんだって! それに、イケメン揃いらしいよ?」って言ったら、ようやく長男は顔を持ち上げて回りをキョロキョロ見だしたのです。

人目を気にしてかなり端の車両に乗ってしまったから、同じ学校の生徒は一人しかいませんでした。無言で目を合わせて「イケメンか?」と失礼なことを思いながら、二人でクスクス。そうこうしている間に最寄り駅に到着。駅をそそくさと出て学校に向かう道でも「ママ、噂は噂に過ぎないんだよ」と、まだイケメンネタを引きずる長男に、「もう分かったから~」と目で返答をしていると、門の近くで誘導係をしてくれている高校生の先輩や、写真部の腕章をつけて「撮影のお手伝いをします!」とにこやかに声をかけてくれる先輩たちが高身長のイケメン! 長男と思わず目を合わせてうなずきました(笑)。「ママ、俺はここに来るべくして来たんだね。俺の未来は明るい!」と、通うだけでイケメンになれるわけでもないのに、ドヤ顔をしている長男に、「そうですね~」と、のっておきました。

泣けたならもう大丈夫。結果を受け止めて前進!

保護者と別れるポイントに着いたときに、「ここに連れてきてくれてありがとう。これから6年間しっかり楽しんで!」と前日から伝えると決めていた言葉を伝えると、「やっぱり俺は親孝行息子でしょ?」と、いつものニヤニヤ顔をするので「はいはい。早く自分のクラスに行っておいで~」と送り出したのでした。

式典が始まるまで体育館で待つ間、家で待機している夫に登校中の出来事をLINEで送りました。入学式にはコロナ対策のため保護者一人しか参列できず、たまたま私が参列することになったけど、夫は「一緒にいたのがママだったから泣けたんだろう。俺だったら強がっていたに違いない。泣けたならもう大丈夫な気がするな。第一志望の不合格を受け入れて、第二志望の学校で頑張ることに口だけじゃなくてやっと脳と気持ちが理解したんだと思うよ」と、返信が来ました。

夫のあのときの言葉通り、もう長男は第一志望のことを特に何も言わなくなったし、何より毎日楽しそうに学校に通学中。部活がない日も最終下校時間まで友達と校内で遊んで帰宅しているし、朝は7時から7時半の間に登校していつも職員室に教室のカギを取りに行っています。英単語テストが合格点に満たなくて放課後補習になった日、落ちこんでいるのかと思いきや、むしろ元気で「英語の先生怖いかと思ってたけどめっちゃ優しくて面白い先生だった! 補習のおかげで仲良くなれたわ!」と、すっかり最近は補習の常連に…(オイッ!)。

中学受験は結果が出て終わりじゃない。結果を受け止めて前に進んでやっと終わるんだと感じた長男の受験でした。

次女はいよいよ小学6年生に。受験生になりました。長男とは全くタイプの違う性格で、2月早々「私こんな偏差値じゃどこも行けないかも」と、発言する始末…。それでもピアノは毎日練習したいし、3月にはプログラミング検定も受けることに。6月の英検も受けたいと言い出したけど、さすがにそれは…(英語塾に通っているわけでもなく、前回の英検も独学で合格できたので今回も自分でテキストを解くと言っています)。とにかくすべて手を抜きたくない。真面目な次女とこれからどんな1年が待っているのか楽しみです。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

futureさん

futureさんのプロフィール

啓明館に通塾する5年生女の子(2024年中学受験予定)のママ。中学1年生になる男の子も小3から啓明館に通塾。4月から中高一貫校に進学しています。

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