聖塾で聴講できるテーマとは?
「たまひじ」では、さまざまなメディアで単刀直入なメッセージを発信し続けてきた石飛一吉校長自らが講師となり、保護者に寄り添いつつウィットに富んだ講義が開催されています。そのテーマは、思春期を迎えた子どもとの接し方や、時代によって変化する教育の在り方など多岐にわたり、多様な視点から世の中を紐解く内容です。いずれにしても、子育てのために必要なことを家庭内で話し合うきっかけにしてほしいという願いが込められています。
取材で訪れた講義には180名超の保護者が参加しており、講堂の席数が足りなくなるほどの賑わいとなりました。今回のテーマは『激変する大学にどう立ち向かうか』というものでした。以下に、石飛校長の談話を簡潔にまとめました。
石飛校長 談話趣意
大学入試には運営側の戦略がありつつも、女子大は定員割れのピンチに面しています。そうした状況下で、一般入試に代わって総合型選抜入試が主流になり、塾業界の新方針も相まって、年内に合格を得るという動きが強まっています。こうした動きは中堅以上の「大学グルーピング(日東駒専など)」が破綻する可能性を含んでおり、今後はネームバリューではなく本物の学習を実践できる大学を選ぶようになっていきます。
このように、進学する意味自体が問われる時代になりましたが、大前提として大学は就職の予備校ではなく、大学教授は学術の未来を継いでくれる学生を育てているという点を忘れてはいけません。以前から文科省は停滞した状況に風穴を開けるためにSSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)を立ち上げましたが、それらの対象校は総合型選抜入試にしか対応していない場合が多く見られます。今や大学入試を見据えて探究学習中心にシフトしましたが、安易な調べ学習に終始してはいけないと述べておきましょう。本校では多摩市と連携して体験重視の学びを実践しており、その結果として女子の約2割が理系学部に進学するようになりました。
私自身が長年進路指導に当たってきましたが、そもそも高校生に職業を決めろというのは無理があります。一生涯を同じ会社で勤める時代ではなく、その意味では大学側が学部学科を細分化したのは失敗だったと考えています。また、イノベーションが生まれにくい『PDCAサイクル』から疑問や意見を議論する『文化(多様性)』の時代になったと言われています。
本校は以前までの古い考えを刷新し、私たち教員を超える生徒に育ってほしいと願っており、そのためには国が定めた基準以上の指導法や教材を開発しなければいけません。基礎学習と探究学習の両輪で、生徒たちに『追い風』を送るといった裏方としてのサポートも忘れてはいけません。子育てにおける家庭の役割は、成長段階を経て子どもとの距離を徐々に取っていきつつ、最終的は自立を促すというものです。学校もそうあるべきだと考えています。
編集部の視点から見た聖塾の人気の理由
石飛校長のお言葉には「目を離して心を離すな(子どもの前に立たず傍目で見守る)」「家庭内の言葉を選ぶ(丁寧に伝えることが子どもの意思疎通力に直結する)」といった名言があり、そのたびに参加者の皆さんが大きくうなずくといった様子が多々見られました。 最後におっしゃった「お子さんが幸せになるためには親も幸せになりましょう」というお言葉に、たまひじの立ち位置が見えたように感じました。
壇上に立つ石飛校長に視線を向けて傾聴する保護者が、ときには笑い声を上げるようなリラックスした雰囲気が流れていました。最初から最後まで、校長自らのお言葉で保護者目線の大切なメッセージを伝えている点が、聖塾の人気を集める理由であることを納得できたレポート取材となりました。