生徒達による株式会社とは?
今年度の日大中高の文化祭「桜苑祭(おうえんさい)」は9月14日(土)・15日(日)の2日間に渡り開催。残暑が厳しい中、校門では暑さ対策のため来場者に水を配布する光景も見られました。
同校にて今年度よりスタートした中学3年生総合進学プレコースでは、知識・探究力・課題解決力の育成を目的としたカリキュラムが組まれ、今回生徒たちが設立した“株式会社”は起業体験プログラムの一環として行われています。同コースは3クラス編成。1クラスにつき1つの事業を検討し、株式会社として模擬店を出します。
模擬投資発表会当日は、生徒たちが発表した事業内容について、プログラムを実施しているJPX社(東京証券取引所・大阪証券取引所)の担当者より、課題点の指摘を受けることもありました。事業開始本番に向けてどのようにブラッシュアップしてきたのか、ワクワクした気持ちで会場に向かいました。
模擬投資発表会の様子
「初開催!中学3年生総合進学プレコースの「模擬投資発表会」【エデュスタッフ訪問記】」
まごころクリーム株式会社
模擬投資発表会での模擬投資で最も多くの投資額を集めた「まごころクリーム株式会社」。事業内容は、来店者によるオリジナルハンドクリームの製作体験です。
会場となる教室に入ると、ハンドクリームで使用するアロマオイルの香りが漂います。室内に設けられた2つの製作スペースは、製作指導役の生徒を取り囲むように机が並べられ、指導しやすい導線が確保されていました。
11時30分を過ぎた頃には、100人近くが来場し売り上げも約34,000円に。この日の目標額が40,000円という設定だったそうですが、午前中だけで達成しそうな勢いです。1人あたりの単価設定が400円と比較的高いこともありますが、難しい作業もなく、自分好みのハンドクリームが作れることに注目を集めたのでしょう。桜苑祭の良いお土産にもなったようです。
GOLDEN RIVER株式会社
能登半島地震の復興支援にもつながるような事業にしたい、という思いで設立された同社。さまざまなゲームやアトラクションを体験し、景品には同県の特産品である「うちわせんべい」がもらえるというものです。
教室内には生徒たちが考えた石川県に関するクイズや的当てゲームなどが用意。クイズに参加していたご家族からは、「これは知らなかったなぁ!」といった感想が聞かれました。石川県の復興支援という目的ですが、同県のことに関心を寄せる機会にもなっているようです。
同社の目標は1日100人の参加を目指しているとのこと。一般客の来場が始まる10時時点で35名のお客さまがあったそうで、こちらも順調に1日の目標を達成しそうです。
さんしー株式会社
着せ替えアプリを利用し、日大中高の制服や部活のユニフォームが“着られる”、バーチャル制服体験ができる同社。トラブルにも臨機応変に対応し、待ち時間用にフォトスポットを設置するなど工夫をしたとのことです。
制服のバーチャル着せ替えはこれまでにない取り組みなだけに、見学に訪れていた先生方からも、「これは画期的!」、「自分もやってみたいな」という声が聞かれました。
受験生にとっても、憧れの学校の制服を着た自分の姿を見ることができて満足だったのではないでしょうか。さて、人気の着せ替え体験ですが、制服が人気と思いきや、野球部のユニフォームが人気とのこと。当日は野球部の交流試合があったため、野球部員のお母さまたちが多く訪れたからでは?とのことでした。
そのほかのプレコースでは?
中学3年のプレコースにはほかにも特別進学プレコース(特進コース)、総合進学プレコーススーパーグローバルクラス(SGクラス)があります。両コースの展示も見学しました。
特進コース
同コースでは10月に台湾へ海外研修に行きます。会場となった教室には、台湾の歴史、文化、食などについて、生徒達が調べた結果をまとめたポスターが展示されていました。
どの項目も細かく丁寧に調査され、展示物を熱心に見学していた来場者は、「とてもよく調べているよね」と口々に感想を言い合っていました。
SGクラス
SGクラスも10月に海外研修へ行きます。行き先はニュージーランド。約2週間の日程でホームステイをしながら現地校に通います。
展示ではニュージーランドについて調べた内容や独自に作成したガイドブックの展示、さらに事前学習として調べた同国の文化や歴史、スポーツに関するプレゼンテーションも行われました。
編集後記
総合進学プレコースの3社はどこも多くの来場者が訪れ、大変な賑わいでした。
模擬投資発表会から3か月間で、より良い内容にしようと生徒たちが試行錯誤した様子がよく分かりました。今年度からスタートした取り組みでしたが、先生方も手応えを感じていたようです。
11月7日(木)には「株主総会」が開かれ、各会社それぞれの事業結果報告が行われました。簡易的な貸借対照表や損益決算書を作成し、模式的に国へ収める税金も含めた利益を発表しました。利益は本来ならば株主へ還元されますが、今回は各会社それぞれが自分たちで選んだ寄付先へ「寄付」という形を取りました。最後に社長から解散の決議が提案され、株主に承認されました。
東京証券取引所による「JPX賞」は、ROE(自己資本利益率)が最も高かった「まごころクリーム株式会社」が受賞しました。
今回の経験が生徒たちにどのような成長をもたらしたのか、生徒もそして先生もワクワクするような取り組みは今後も続きます。