私立中高トップクラス! 海城の「新理科館」は大学並みの実験設備

教育業界で声高に叫ばれている「探求的な学び」。生徒自らが能動的に学ぶ姿勢を育てるには、教育方針だけでなく設備などのハード面を充実させていくことも重要課題です。
海城中学高等学校の「新理科館」は、まさに時代の最先端を行く学びの場として2021年9月に始動しました。注目の新校舎を取材します。

建物自体が「教材」!あらゆる学びの機会

海城中学高等学校は、JR高田馬場駅・新大久保駅、副都心線西早稲田駅を最寄りとする都心にある学校です。しかし校門をくぐると、街中の賑やかな雰囲気とは打って変わり、視界が開け、広々とした空間に建つ「新理科館」が目に飛び込んできます。

木目調の外壁(木材ではなく、ガラス繊維で補強されたコンクリート)と広く張られたガラスが美しい建築デザイン的にも優れた校舎。
木目調の外壁(木材ではなく、ガラス繊維で補強されたコンクリート)と広く張られたガラスが美しい建築デザイン的にも優れた校舎。

建物に一歩入ると吹き抜けの階段が目に入り解放感が。
落ち着いた空間で学ぶ意欲も高まりそう。
建物に一歩入ると吹き抜けの階段が目に入り解放感が。
落ち着いた空間で学ぶ意欲も高まりそう。

理科は、扱うものや現象、アプローチの仕方などの違いから物理・化学・生物・地学の4科目に分かれます。3階建ての新理科館には、地学1部屋、物理2部屋、生物2部屋、化学2部屋、共同実験室2部屋と合計9つの実験室があり、海城ではそれぞれを専門とする教員が授業を行います。実験室の数が大幅に増えたことで、各科とも実験を計画しやすくなったとのこと。

ちなみに海城中学の入試にも「物化生地」それぞれを大切にする姿勢が表れており、理科の問題は毎年、物理・化学・生物・地学の4つの分野からまんべんなく出題されます。

さて、新理科館の魅力は実験室の数だけではありません。

配管やエレベーターの構造が見えるよう透明パネルにしたり、環境配慮手法を導入した建物の仕組みを学べるような展示をしたりと、実際に目で見て体験し、考察できる機会を建物全体に散りばめています。建物自体が教材なのです。

建物1階の床には建物地下の「はぎとり標本」が埋め込まれている。
建物1階の床には建物地下の「はぎとり標本」が埋め込まれている。

学びの機会となる「気づきサイン」と「わかるサイン」のプレートが校舎内にいくつも貼られている。
学びの機会となる「気づきサイン」と「わかるサイン」のプレートが校舎内にいくつも貼られている。

ほかにも、実験室前や室内に展示スペースを設け、博物館さながらの標本を見ることができます。

地学実験室内の展示。アンモナイトのスライス断面を手に
取ったり、鉱物を直接触ったりすることができる。
地学実験室内の展示。アンモナイトのスライス断面を手に
取ったり、鉱物を直接触ったりすることができる。

生物実験室横の展示。はく製や骨格標本などが並ぶ。
中には生徒が作成したものも。
生物実験室横の展示。はく製や骨格標本などが並ぶ。
中には生徒が作成したものも。