尽きることのないお母さまの心配事とは?
日大豊山 田中先生:
精神面での成長がマイペースゆえに遅れがちと思われることの多い男子生徒ですから、お母さま方から心配の声が寄せられることがありますよね。
聖学院 清水先生:
以前の保護者の中には、学校に預けてからは任せきりに近い方もいたと思われますが、最近はテストの成績や模試の結果など目に見える数字が出ていないと不安を覚えるという声が多くなってきたようです。子どもは6年間をかけて育っていくのですが、その気持ちも十分に理解できます。とりわけ長男であったり一人っ子家庭であればなおさらで、分からないことだらけでしょうが、男子校であれば多様なタイプの生徒が成長している姿を見ることができます。わが子の可能性を広げてあげたいのであれば、学校で過ごす時間を増やすように背中を押してあげてほしいですね。
桐朋 河村先生:
幼稚園や保育園でのお子さんとの関係性を思い出してもらえれば分かると思いますが、男子はとても幼く、向こう見ずな行動ばかりを繰り返すものです。それは、中学生になっても大差はありません。人生経験を積み重ねてきた保護者と比べても仕方がないのですから、気長に成長を見守ってあげてほしいですね。学校は成長を促す場であり、そこでの6年間はじっくりと「待つ」時間です。クラス担任として保護者と会話をする中で、生徒が部活動や行事で活躍している様子をお伝えすると「息子の話ですか?」と驚かれることが多々あります。それはつまり、家庭では寡黙なお子さんでも学校の様子とは大きく異なるという意味合いです。どちらも素のままの姿で間違いはありませんが、家庭と学校での過ごし方が異なっても心配いらないことをお母さま方にはご理解いただきたいですね。
足立 相澤先生:
わが子の成長を待てないという声が多いのは分かります。思春期ならではの素っ気なさが見られても、保護者はとことん信じて支えてあげる姿勢が求められるでしょう。わが子だからこそ、そういった思いは伝わりにくいのでしょうが、一方的な考え方を押し付けることはおすすめしません。学校への期待や意見を寄せられる場合がありますが、逆に何をしてほしいのかをお聞きすることもあります。そうすると例えばスマートフォンの家での使い方や、家庭での過ごし方が出てきます。親子関係が一筋縄ではいかない時代と感じていますが、保護者が持つわが子への理想像を実現させようとせず、親子で向き合う時間を増やしていただければと思います。
芝 池之上先生:
男子はある程度の年齢になると保護者とは一定の距離を空けたがるようになるものですが、お弁当箱のやり取りだけでもお母さまへの感謝の気持ちが伝わってくるという声から、学校行事に取り組む写真を見て「こんなに楽しそうに笑っているんだ」と驚く声まで聞いています。さらに成長すれば必ず親心を理解してくれるはずですから、もう少しの辛抱と考えて見守ってあげてください。
日大豊山 田中先生:
保護者も大局的な視点に立ってどっしりと構えてもらい、大概の心配事は学校側に任せてもらいたいと思います。本校では部活動にも保護者会があり、学年の異なる保護者同士が意見交換をすることで安心感が増しています。心配事を家庭内にため込むのではなく、いっそのこと感情を吐き出してしまうくらいの環境があっても良いと思います。
東京私立男子中学校フェスタ開催のお知らせ
芝 池之上先生:
今回で20周年を迎える東京私立男子中学校フェスタは、6月12日(日)の午前・午後に分けて各1,000組限定で東京タワーのふもとにある芝中学校で開催されます。首都圏の小学生男子が集まる様子だけでも十分に刺激的だと思われますが、ひとつの会場でたくさんの学校を知ることができて良かったと思っていただけるよう、参加全校を挙げて来場をお待ちしております。学校ごとに校風や雰囲気は異なるので、なるべく多くの説明会に参加して受験校選びの参考にしてくださいね。
次回6月28日公開の「男子中をつなぐ特集・第2弾」では、男子の精神的な成長に欠かすことのできないジェンダー教育、各校に持たれがちなイメージと実際の違い、東京私立男子中学校フェスタ開催時の様子などをより深くご紹介します。お楽しみに!
関連リンク:
■男子校17校が集結する東京私立男子中学校フェスタ2022