都内の人気男子校が集結!~男子中をつなぐ特集・第3弾~(2ページ目)

ICTの活用とリアルな体験のバランス

城北 清水先生:
タブレットやノートPCの導入が当たり前の時代になりましたが、ITリテラシーの醸成から教員の活用スキルまでを含み、各校におけるICTの位置付けを考える必要性が生じているように思います。

高輪 松崎先生:
学級閉鎖の期間に授業配信を始めたので、その準備段階に苦労したことをよく覚えています。今となっては、私たち教員が想定していなかったような「新しいタブレットの活用法」が自然に定着し、学習環境が変わっていく速さを身に染みて感じています。

都市大付属 草間先生:
本校では「BYOD(生徒個人のデバイス使用)」を現在の高1と高2で導入しており、他校のノウハウを参考にしながら進めている段階です。次年度から全学年導入を予定しており、新たなルール策定に取り組んでいます。

成城 中島先生:
確かに、ICT化が進むとバーチャルな考え方に偏る可能性があるので、毎日の授業や学校行事などを通して「本物に触れる体験」を重ねることでコミュニケーションを重視した人間関係とのバランスを取ることが大切です。

京華 町田先生:
直近の2年間で宿泊行事が中止になったため、人間関係が上手く築けないといった生徒の声もありました。このままではいけないと考え、修学旅行の直前にPCR検査車を利用してスクリーニング検査を行ったおかげで、安心・安全な旅行ができました。私たち教員も、工夫次第ではどんな問題も解決できるという姿勢を見せていくことが大事です。

城北 清水先生:
中学と高校に分けて実施した3年ぶりの体育祭では、天候不良で競技が中止になってしまいました。後日になって、生徒たちが最後までやり遂げたいと声を上げたことで、ホームルームの時間を体育祭の続きに充てました。こうした思いを実現させる男子の行動力には感心させられます。

世田谷 北原先生:
生徒主体の企画で全学年縦割りにした体育祭を、東京体育館を貸し切って実施しました(全校にどよめき!)。ここ数年来、保護者がわが子の活躍する姿を見る機会が少なかったので、広々としたスペースを利用することで来場も可能としました。生徒はもちろんですが、一番喜んでいるのは保護者の皆さんでしたね。

巣鴨 大山先生:
それでしたら今年は本校の体育祭は国立競技場を貸し切って実施します。(さらに全校にどよめき!)使うのは陸上トラックのみではありますが、60,000名以上のキャパシティがありますから、保護者の人数制限はもちろんありません。行事に関わった全員にとって、最高の思い出になるはずです。

京華 町田先生:
コロナ禍以前までの男子中フェスタは、「いずれは東京ドームで!」という話もありましたね。男子校人気をさらに盛り立てていき、いずれは実現できることを願っています。

私立男子校ならではの魅力とは

城北 清水先生:
説明会に限らず、さまざまな機会で「男子校はどんな場所?」ということを頻繁に聞かれるのですが、各校の魅力を一言で表すことはできますか。

巣鴨 大山先生:
国際教育です。研修・留学の形で生徒を送り出すだけでなく、留学生や世界の第一線で活躍する方々を海外からお呼びして交流を深めてきました。日本の既成概念を飛び越え、新たな視点で世界を舞台としたチャレンジ精神を育める点が本校の強みになっています。

世田谷 北原先生:
よく「意外性のある学校だよ」と伝えています。授業に坐禅の時間があるように、お堅い仏教校だと思われがちですが、実際には多様な生徒が通う様子は、個性のマーケットと例えることができるでしょう。海外との縁が深い仏教校だからこそ、国際交流の重要性を理解しているとも言えますね。

城北 清水先生:
確かに、私学が持つバックグラウンドには創立の由来や信仰に基づく教育哲学など、公立校には無い要素があります。それこそが私学の魅力であり、学校選びの際に「この学校に入りたい!」というポイントになります。

京華 町田先生:
勉強にせよ、クラブ活動にせよ、いずれにしても序列が付いて一番になれない悔しさを味わうのですから、好きなことに打ち込むこと自体が大切だと生徒たちに伝えてきました。そんなわけで「男子校生はみんながオタク」であって良いのではないでしょうか。本校は、何かにのめり込んだ先から自信につながる経験値を得て、ひいては主体性を身につけられる環境が自慢です。

成城 中島先生:
コロナ禍で一部制限はありますが、本校では「早弁ができる」んです。朝のホームルームが終わったらすぐに食べる、休み時間の10分間で食べるなどさまざまです。自己判断で場に合った切り替えができることは強みになります。おなかが空いて集中できないといった言い訳はせず、昼休みはさまざまな活動に時間を有効活用できます。メリハリが付いて集中できると生徒から大好評です。

都市大付属 草間先生:
2007年、中高一貫化のタイミングで導入した職業研究(キャリア・スタディ)や中期修了論文などに対して、当時は「学力に直結するのか」といった教員の意見もありましたが、今では正解の無い題材を調べて発表するプロセスが大学入試にも活かされるようになり、このような取り組みへの理解が深まりました。論文の一部は論文集としてまとめたり、ホームページに掲載しており、これから後輩が見習うべき文化に育っています。

高輪 松崎先生:
泉岳寺の門をくぐって行き来する6年間の登下校は、他校には無い思い出になることでしょう。また、専任教員の割合が高く、厚みのある教科指導に自信を持っています。生徒にとっては大変かもしれませんが、補習・再テストなどでの徹底したフォロー環境があるので、安心して通わせることのできる学校ですよ。

(前列左から)城北中学校・高等学校の清水団先生、京華中学・高等学校の町田英幸先生、高輪中学高等学校の松崎武志先生、(後列左から)世田谷学園中学校高等学校の北原透先生、巣鴨中学校・巣鴨高等学校の大山聡先生、東京都市大学付属中学校・高等学校の草間雅行先生、成城中学校・成城高等学校の中島裕幸先生

今回もまた、他所では聞けない先生方の本音や各校の魅力を知ることができました。次の連載回も、さらに多くの男子校の先生方による座談会の様子をご紹介します。目指せ、男子中フェスタの東京ドーム開催!

関連リンク:
男子校17校が集結する東京私立男子中学校フェスタ2022