【男子中をつなぐ特集2023】男子中の先生が本音をぶつけ合う座談会~第1弾~

いつの世もお母さまにとって未知の世界である男子校。その魅力を誰よりも知る現場の先生をお呼びして、男子校について語り尽くしていただく「男子中をつなぐ特集」。今年度も全5回の連載でお届けします。

2023年度の座談会スタート!

初回の座談会には、都内男子校6校の先生がお越しくださいました。

第1弾座談会参加校(50音順)

京華中学・高等学校(以下、京華)
巣鴨中学校・巣鴨高等学校(以下、巣鴨)
高輪中学高等学校(以下、高輪)
獨協中学校・獨協高等学校(以下、獨協)
日本大学豊山高等学校・中学校(以下、日大豊山)
本郷中学校・高等学校(以下、本郷)

男子中の先生方
後列左から京華の石井秀征先生、日大豊山の梅田雄一先生、獨協の新井優太先生。 前列左から本郷の横尾朗大先生、巣鴨の酒井雅巳先生、高輪の荒堀茂之先生

男子校の魅力とは

ーーー先生方が実感している男子校ならではの魅力とは何ですか。

日大豊山 梅田先生:私は共学校の出身で、思い返してみると共学校は運動部の生徒のほうが目立ったり活躍したりすることが多い気がします。しかし男子校では、そもそも運動部と文化部の分け隔てがない。私が受け持ったクラスでいえば、鉄道部や音楽部の生徒が学級委員をしてクラスを引っ張ってくれているし、クラスでは生徒たちが共通する好きなものを見つけて、部活の垣根を越えてその仲間同士で仲睦まじく過ごしているんですよね。共学校出身者としては、そうした文化が最初は衝撃的でしたし、羨ましかったです。

巣鴨 酒井先生:6年間持ち上がりで担当した学年の生徒に、とてもゆっくり成長する子がいました。何をするにものんびりで、テストではいつも赤点を取っていて。ところが高校生になると少しずつ周りに追いつくようになって、高2・高3でさらに成長して現役で大学に合格し、昨年、「教師になりたい」と教育実習生として本校に戻って来てくれたんです。中学では彼のようにじわじわ成長していく男の子が多く、男子校はそうした生徒を根気強く見守り、寄り添って育てる環境があります。

日大豊山の梅田雄一先生
日大豊山の梅田雄一先生。バレーボール部の顧問で趣味はサッカー観戦

巣鴨の酒井雅巳先生
巣鴨の酒井雅巳先生。国語科で生徒会ご担当

獨協 新井先生:私が初めて担任を持った学年の生徒たちが、この春卒業しました。その中に、中1の頃は自分から話しかけられない内気な生徒がいました。彼が高校生になって私が学年担当から離れ、しばらくしたある日、文化祭実行委員を務める私のところに、その彼が「文化祭の装飾部門の部門長になりました」と挨拶に来たんです。中学時代の彼を知る私としては「大丈夫か?」と心配していましたが、彼は堂々と役割を果たしていて。中3までは可愛らしかったのに、高校の1~2年で急激に成長したんでしょうね。こうした成長は、引っ込み思案の子でも伸び伸び過ごせて、誰にでも活躍できる場所がある男子校という環境が影響していると思います。

校外学習・部活・体育祭…男子を大きくする行事

ーーー男子校という環境で、さらに行事や部活動を通して生徒は大きく成長するようですね。

京華 石井先生:京華は校外学習が豊富で、高1は特に行事の数が多いんです。入学式の翌日には宿泊型のオリエンテーションで湯河原へ行き、6月には体験旅行で水上へ。そして夏休みは勉強合宿! 勉強漬けではありますが、クラスのメンバーと同じ釜の飯を食いながら努力するので、達成感は大きいようです。ともかく宿泊行事があると一貫生や高校から入学した生徒がすぐに打ち解けて、年度初めの良いスタートが切れますね。

獨協の新井優太先生
獨協の新井優太先生。社会科でサッカー部顧問

京華の石井秀征先生
京華の石井秀征先生。 社会科で吹奏楽部顧問。男子校出身

高輪 荒堀先生:高輪では共通の趣味を持つ4~5人くらいの活動をサークルとして認め、公式な活動ができるようにしています。その輪が学年をまたいでだんだん広がって、同好会になり、やがて部に昇格することもあります。今あるダーツ部やマジック部はサークル活動から発展した団体なんですよ。そういう”好きなこと”で関係性を広く深く築いていけるところが男子校の良さでしょうね。新しいものでいえば、マケドニアサークルが「マケドニア研究同好会」になり、マケドニアの文化やキリル文字を学び、マケドニア大使館を訪れて話を聞き、文化祭ではマケドニア料理を出す…そんな活動をしています。

本郷 横尾先生:中高合同の体育祭が盛り上がります。本郷では中学と高校で騎馬戦があるのですが、同じ競技なのに随分様相が異なります。中学では相手の帽子を取ったら勝負がつくのですが、高校では相手の騎馬が崩れないと終わらない(笑)。中1生からすると、高校生は大人で、自分たちとは違う存在なんですよね。体育祭はそうした“先輩の凄さ”を後輩が肌で感じられる行事であり、中高一貫校だからこそ味わえることだと思います。4年ぶりの中高合同の体育祭では応援合戦も復活します。応援団の監督として、とても嬉しいですね。

巣鴨 酒井先生:巣鴨の文化祭では、中1生が行う学校説明会が人気です。「中1だけに任せられないだろう」と隣に教員が説明するブースも設けたところ、全く人が来ない(笑)。片や生徒のブースには長蛇の列が。生徒は「自分たちの学校にはいいところがたくさんある」と一生懸命あれこれ話してくれるので、受験生や保護者は生徒の生の声が聞けて満足されています。