都内男子校6校の先生
座談会参加校(50音順)
佼成学園中学校・高等学校(以下、佼成学園)
芝中学校・芝高等学校(以下、芝)
城北中学校・高等学校(以下、城北)
世田谷学園中学校高等学校(以下、世田谷学園)
東京都市大学付属中学校・高等学校(以下、都市大付属)
明治大学付属中野中学・高等学校(以下、明大中野)
男子の友情
明大中野 沼田先生
運動部のなかでもラグビー部や水泳(水球)部などの生徒はムキムキの体格で、いっぽうで大人しくて線の細い生徒もたくさんいます。男子校では一見タイプの違う生徒がすごく仲良くしているんですよね。全然体格が違う2人が休日一緒に遊びに行っているというので、どうして仲良くなったのか聞いたら、好きなアイドルが一緒だったんです。好きなアイドルの写真をクリアファイルに入れて堂々と教室に持ってきていました。
芝 石塚先生
かっこつけないで好きなもの好きだと言える環境があるからこその光景であり、そんな男子校だからこそ生まれる交流がありますよね。料理が得意だったり、バレンタインのときチョコを作ってくる生徒がいたり。高3の冬になって、受験で登校しなくなるとき「今年はあいつのトリュフが食べられないのか…」と周りの生徒を悲しませるほどの腕前を持った子もいました。
都市大付属 田中先生
運動部と文化部に優劣が全くないところが男子校の良さですよね。私が担任を務めていたクラスに、野球部員で、真面目な性格で野球も一生懸命やっていて、だからこそ思うように上達しないときに思い悩んで泣いてしまうような生徒がいました。彼は悩んだとき、信頼している文化部の友達に話を聞いてもらうそうで、友達のことを人生の先生だと言っていました。そういったつながりが男子校では多々あって、面談で保護者に話すと、「うちの子があの子と仲良くしているんですか」と驚きつつ、「ありがたいです」と喜ばれますね。
世田谷学園 山岸先生
男子校の生徒には、根底に優しさがあると思います。かつて担任を務めたクラスに、ケガをして一定期間松葉杖で生活していた生徒がいました。掃除のとき、ゴミ箱を別のところへ運ぶ“ゴミ捨てじゃんけん”をする際、生徒たちは松葉杖の子を特別扱いせず仲間にいれるんです。そして、その彼が負けたら「じゃあ俺が持っていくよ」と別の生徒がゴミ箱を運ぶ。結果、その彼は不自由な生活のなかでも周りに支えられて生活できました。
佼成学園 南井先生
佼成学園には、大学合格発表を自宅ではなく学校で見るという文化があります。周りには仲間やチューターや教員がいて、受かるとみんなで喜んで、残念な結果のときは本人と一緒にみんなで悔しがり、涙することもある。その場にいる仲間には、まるで家族のような距離の近さを感じますね。
城北 伊藤先生
去年と一昨年、2年続けて高3の担任をしていて気づいたのですが、卒業してからも生徒たちはよく会っているんですよね。地方の大学に進学した卒業生がいれば、その子のところへ旅行に行ったり。文化祭や体育祭で本気でバカをしたり盛り上がったりして、気持ちを切り替えて受験に集中して、進路はそれぞれ違っても、同じ経験をしたという仲間意識は残ってつながっているんでしょうね。野球部の試合があれば吹奏楽部が応援に行き、吹奏楽部が演奏会をやるといえば野球部の部員が演奏を聞きに行ったりと、いろいろな交流を経て団結していくようです。
明大中野 沼田先生
卒業生がちょくちょく遊びに来たり、卒業しても生徒の仲が良かったりと、やはり男子校はどこも同じだなと聞いていて感じました。卒業生が一人遊びにくると、その一人から同じ学年の生徒の情報がほぼ入手できるくらい、横のつながりがあるんですよね。
芝 石塚先生
そう!「あいつ、この前あそこ行きましたよ」とか「あいつはどこで何をしてますよ」とか、どうしてそんなに知っているんだ? と思いますよね。