浪人させてもよいケース・浪人させてはいけないケース
お子さまや保護者の方の頭の中に「浪人」という選択肢がよぎった際、浪人させてよいケースと、浪人させるべきではないケースについて解説します。
浪人させてもよいケース
目標とする大学・学部に行きたい理由が明確
1年間モチベーションを維持し続けることは意外と大変です。「どうしてもこの大学(学部)に行きたい!」という強い意志がないと、コンスタントに勉強を続けるのは困難です。お子さまが、その大学・学部に行きたい理由をしっかり答えられるのであれば、応援してあげましょう。
自分が不合格になった理由を理解している
何が原因で不合格になってしまったのかが分かっていないと、漫然と受験勉強をするだけで、1年間を無駄に過ごすことになってしまいます。具体的に「数学のここの苦手を克服できなかった」「英語の基礎学力が足りていなかった」など、不合格になってしまった原因が分かっていれば勉強の道筋を立てることができます。
受験当日の不運や明らかに受験勉強の時間が足りなかったケース
受験は一発勝負です。当日に体調を崩した・電車の遅延で動揺して力を発揮できなかったなど、明らかな不運に襲われて不合格となってしまったような場合には、もう一度チャンスをあげるのもよいかもしれません。
また、高校3年の秋口まで部活に全力投球をしていて、秋以降成績が急上昇していたものの合格までは手が届かなかった…というような場合にも、まだまだ伸び代がある状態と判断して、浪人させる価値はあるかもしれません。
浪人させてはダメなケース
失敗の原因を時間のせいにしている
現役で思うような大学に合格できなかった理由を「時間が足りなかっただけ」などと言っているお子さまの場合は要注意です。確かに、毎日高校に通いながら部活に参加し、受験勉強もするという生活に比べると、浪人すれば勉強に集中できるかもしれません。しかし、同じように時間が足りないなかでも現役合格を果たした同級生はいるのです。客観的に時間以外の不合格の原因を見つけられないのでは、1年間、無為な時間を過ごしてしまう可能性があります。
苦手克服・基礎固めから逃げがち
予備校に通うと、授業は基本的には入試問題に類似した問題の演習と解説が中心となります。ここで気を付けたいのは、基礎ができていない教科・科目が残っている場合です。英単語を覚えたり、基礎問題の演習を繰り返したりというような地道な勉強も、予備校の授業と並行して行わなければなりません。基礎がない状態では、応用である受験問題に対峙できる学力は積み上げられません。
苦手から逃げてきたタイプのお子さまの場合は、ほかに合格している大学があるのなら、そちらに入学する方が確実です。
自発的に勉強できないタイプのお子さまの自宅浪人
大学入試には情報戦の側面もあります。特に今年浪人した場合、2回目の実施となる共通テストを受けることになるわけですが、その傾向分析や対策などについては、プロである予備校にまかせる方がよい結果につながるでしょう。マイペースに勉強をしたいというお子さまであっても、今年に限っては経済的に問題がなければ予備校での浪人をおすすめします。
最後に
学部によっては、将来就ける職業が決まることもあるなど、これまでの受験よりシビアなのが大学受験。できることなら多少遠回りをしてでも希望の大学に進み、お子さまに思うような人生を歩ませてあげたいのが親心ですね。
医学部や歯学部のように国家試験受験資格を得ることを目標とした学部を目指している場合などは、浪人もやむなしかもしれません。
一方で、そうではない大学・学部を目指していて、まだお子さま自身も将来の目標が明確でない場合などは、いったんご縁があった学校に入学してみるというのも、一つの考え方かもしれません。
高校までの勉強とは全く違った学びの世界が広がっている大学。そこで新たな人との出会いや知的好奇心を刺激する学問との出会いがあり、お子さまの人生がまた別の方向にひらけていく可能性もあるのです。
どのような選択をするにせよ、前向きに、そしていつか振り返ったときに「あの選択で正しかった」と思えるようにしてきたいものですね。