その大学受験は、それまでの中学受験や高校受験とは大きく異なります。
受験科目や受験の内容がバリエーションに富んでいることはもちろん、情報収集の重要性という面でも、得なければならない情報、立てるべき戦略の複雑さは桁違いです。
最近注目が集まっている医療・看護系の大学入試を例に、お子さまが幸せな進路選択をするための情報収集の重要性について考えていきたいと思います。
注目の集まる医療・看護系
AIの発達によって、人間の仕事が奪われる——そう言われるようになって久しいですが、人間でなければできない職業の一つが医療・看護の分野の仕事でしょう。確かに、体温や血圧、脈拍などの測定、投薬の量やタイミングなどの数値に関する部分では、医療の仕事もAIに取って代わられるかもしれません。しかし、患者さんに寄り添いながら心身両面で支えていくということは、生身の人間だからこそできる仕事です。
こういった医療・看護に関わる分野の仕事はまた、これからの社会に必要不可欠なものでもあります。医学の進歩によって平均寿命が延び、ますます高齢化が進む社会にあって、医療や看護に携わる人材がより多く求められるようになりました。地方自治体が地域医療の担い手を養成すべく公立の看護大学・学部を増設するなどの動きも、かなり以前から全国的に進んでいます。
一方で、進路を考える高校生や保護者にとっても、医療・看護系は魅力的な選択肢です。医療・看護系の学部・学科で学べば、看護師、理学療法士、作業療法士などといった国家試験の受験資格が得られます。先行き不透明な現代社会にあって、国家資格が得られるということは生活の安定にもつながります。例えば一般事務職と看護師との間では、派遣就労をした場合の時給で見ても1,000円近い開きがあります。人の命を預かる責任重大な仕事であるぶん、医療職は一般的な職業に比べ、待遇面でも有利な条件が用意されているといえるでしょう。
また、ワーク・ライフ・バランスの面でも医療職は魅力です。24時間体制で対応が必要な医療の現場だからこそ、逆に従来からパートタイムやシフト制などが導入されていて、柔軟な働き方が認められてきました。特に女子学生にとっては、結婚・出産・育児などでライフスタイルが変わった場合にも、柔軟に職場や働き方を変えることが可能で、かつ専門知識を活かして世の中に貢献できる医療・看護系の専門職は魅力でしょう。