2021年入試に向けた公立中高一貫校の入試と対策(2ページ目)

公立中高一貫校受検対策、絶対外せないポイントとは?

適性検査の作文は「文章力」より問いに「正対」すること

3種類ある適性検査の中でも特に受検生が苦戦するのが「適性検査I」です。その作文の評価ポイントと対策について青木先生にうかがいました。

【評価ポイント】
読書感想文など、小学校で宿題として出される作文では、内容より文章力があるかないかで評価が相当左右されます。しかし、適性検査の記述問題はそういう観点では採点されません。たとえば「本文の内容を踏まえて、あなたの意見を自身の体験を踏まえて書きなさい」という問いだったとしたら、

・本文の内容の要旨を正確に捉えているかどうか
・自分の意見がちゃんとその要旨の方向性に従ったものになっているかどうか
・それを具体化したものとして適切な例が挙げられているかどうか
という部分で採点されるのが適性検査の作文なのです。

問題文で問われていることに対して、その答えとして適切なものを、適切な形で答える。それを、都立中の先生方は『正対する』とおっしゃいます。

【対策】
適性検査は45分間で行われます。その限られた時間の中でいかに表現したいことをまとめて書けるかということが重要になってきます。考えながら手を動かせるぐらいでないと、最後の問題までたどり着きません。時間内に書き終わらない、書くことがまとめられないというお子さんには「書写」が有効です。過去問の模範解答を写す、入手できるのであれば優れた文章を書く小学生の作文を写すとよいでしょう。写すことで書くスピードも身につきますし、文節でのまとめ方、表現の仕方が体得できます。

対策の大前提は、小学校の勉強を理解していること

作文以外の適性検査対策については、次のようなアドバイスがありました。

「共同作成の導入以降は同じコンセプトで問題を作成しているので出題傾向は例年共通です。つまり、過去問を初見で解いて点数を取れるようだったら合格できる試験になると思ってよいでしょう。

私立中の受験では、公立の小学校で習う範囲の算・国・理・社の入試にしてしまうと差が出ないため、難易度を上げた問題が出されます。一方、公立中高一貫校の適性検査の問題は、小学校の学習指導要領の範囲内で作られています。さらに適性検査という教科横断型のものにすることで、算・国・理・社の基礎的な力が身についているかどうかを測れるように作られています。

よって、大前提として小学校の勉強を理解していること。言ってしまえば当たり前ですが、これが最重要ポイントなのです。その上で、適性検査の独特な出題方式に合わせた解法を練習していきましょう」(青木先生)。

中学受験生に伝えたい! 塾講師からのメッセージ

中学受験生に伝えたい! 塾講師からのメッセージ

最後に青木先生から私立、公立中高一貫問わず、中学受験に取り組むすべての子どもたちに向けた温かいメッセージをいただきました。

「中学受験は、人生の中でも最も特殊な試験、受けなくてもよい試験です。でも、わざわざハードルを越える道を選んでいる。そこが一番重要だと思います。ハードルを越えようとする限りは、当然しっかり助走をしなければいけなくて、トレーニングをしなければならない。その上で、結果的にそのハードルを越えられても、越えられなくても、そこでトレーニングをしてきたことがとても大事なのです。そして、他の子が遊んでいるときに勉強しているっていう、精神的にも辛い局面を耐え抜き入試を迎えたこと。そこからくる成長がすごく大きいものだと思っています。

やるからにはちゃんと準備をして、本気で立ち向かってもらいたいなと思います。本気で立ち向かった経験であれば、それが合格につながろうと不合格につながろうと、そこで成長したことはなくなりません。未来がどういう形になったにしてもちゃんと成長につながるような試験にしてもらいたいなと思います」。

公立中高一貫校を目指そうかなと思った方も、私立中高一貫校を受検するけど公立も気になる…といった方も、情報収集することで新しい発見があるかもしれません。エデュナビではさまざまな学校情報や受験対策をご紹介していますので、ぜひ記事を参考にしてお子さまの進路選択にお役立てください。