大学が設けている給付型奨学金も多種多様なものが
給付型奨学金を設けている団体はJASSO以外にも多数あり、運営団体も、大学、企業、公益団体、民間団体、地方自治体など多種多様です。
親が非大卒の子どものための給付型奨学金
東京工業大学は、2018年度に設立した地方出身者を対象とした「大隅良典記念奨学金」に、親が4年制の大学を卒業していない学生を対象とした「ファーストジェネレーション枠」を設けることを発表しました。
ファーストジェネレーション(第一世代)とは、両親ともに大学を卒業しておらず、自分の世代で初めて大学に進学する人のことを指します。対象は、2020年4月以降に学士課程に入学する新入生。「地方出身者枠」「ファーストジェネレーション枠」合計で20名程度、月額5万円の給付となります。世帯年収は800万円未満、最大で修士課程修了までの6年間給付されます。
「地方出身者枠」「ファーストジェネレーション枠」のある「大隅良典記念奨学金」は、入試前に申請を受け付ける、いわゆる「予約型」。申請後、学内で選考が行われ、内定者が入学した時点で正式採用になります。
入学前に大学に申請する予約型の給付型奨学金
東京工業大学の例だけでなく、予約型と呼ばれる奨学金を独自に実施する大学が増えています。
早稲田大学では、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)以外の国内高等学校出身者を対象とした「めざせ!都の西北奨学金」と、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の国内高等学校出身者を対象とした「小野梓記念奨学金(新入生予約採用型)」という2種類の奨学金がもうけられています。
「めざせ!都の西北奨学金」の対象者は、世帯年収800万円未満。半期(春学期)分の授業料相当額が入学時納入金から免除される形で、4年間継続されます。採用予定者数は計約1,200名。「小野梓記念奨学金(新入生予約採用型)」の対象者は、世帯年収400万円未満。年額40万円が4年間継続で給付されます。採用予定者数は約200名です。
また、児童養護施設やファミリーホーム入所者および出身者、または養育里親家庭で育った里子を対象とした「紺碧の空奨学金」も予約型です。支援の内容は、①入学検定料および入学金免除、②授業料、実験実習料等、その他諸経費を免除、③月額9万円を給付、④ ②・③について原則として在学中4年間の継続支援となっています。
入学後に家計状況が変化することも考えられます。そういう状況になった場合、すぐに学業継続を諦めがちになりますが、まずはJASSOだけでなく、大学にも相談してみましょう。大学は受験生に対する「予約型」以外に、入学した学生向けにも、独自のさまざまな奨学金を用意しています。