男子校で男子が伸びる本当の訳【男子校の先生座談会・前編】(2ページ目)

一人ひとりが活躍できる環境で、潜在的な力がぐんと伸ばせる!

エデュ: 男子校の良さとして、たとえば鉄道好きの子が堂々と趣味を追求でき、まわりからもリスペクトされるということをよく聞きますが、その良さというのはどういうところに生きてくるのでしょうか?

高輪中学高等学校 入試広報部長 真壁亨先生
高輪中学高等学校 入試広報部長 真壁亨先生

高輪中高・真壁先生: 去年の男子中フェスタで、参加校による鉄道クイズ王選手権をやったんです。本校の鉄研の子たちが優勝したのですが、その中に一人、ものすごく詳しい子がいて、誰も絶対わからない問題を一人だけスラスラ書いて答えていました。まわりからも「あいつなら答えられる」っていう期待とか尊敬みたいなものがあるんですよね。実は私はその子を中学3年間ずっと見ていたんですけど、あんなに凄い子だとは思っていなくて、心の中で「あの力を勉強に使えばいいのにな」と思っていたんです。学校に帰って確認したら今高校の選抜クラスにいて、「使っていたんだ!」と思いました。
やはり凄く得意なものがあって、それがまわりから認められるというのは子どもにとって凄い自信になっていて、違う面でも伸びていくのかなというのは感じますね。

日大豊山中高・上沢先生: 文化祭では生物部が学校で飼っているヘビ、トカゲ、イモリ、カメを展示していたんですけど、生物好きな子が集まっているだけあって、フクロウやニワトリを家から持ってきた子もいたんです。いつもはおとなしい子なんですが、文化祭で人が来るこの機会に、自分の好きなものを一生懸命説明できて、この子が活躍できる場なんだろうなと思いました。

京華中高・町田先生: ヘビが好きだなんて、すべての学校がそうではないにしろ、共学だったら女の子にキモいと言われることもある。その女の子に追随する男子があいつキモいよねってなることもあります。そうすると、その子はずっと自分の趣味の中でしか生きていけない。ところが男子校だと次の日からヘビ博士になる。「何でそういうこと知ってるの?」とまわりから認められると、彼はその道で生きていこうとなる。それがきっかけで大学の生物学部に入る。そういう効用は絶対にあると思います。

エデュ:男子校には、どんなタイプの子でも一人ひとりが活躍できる場というのがあるように感じますが、たとえばクラスや委員会の役割などで配慮したりするのでしょうか?

高輪中高・真壁先生: いろいろなフィールドが多数用意されているので、子どもが自分で選んでいることも多いですね。

京華中高・町田先生: そうですね。全部の行事を毎回同じ子がということはないので、リーダータイプではないような子でも何かのきっかけで上に立つ、というケースもあります。 子どもだけで役割が決まることもあれば、教員が「誰かやってくれ」と言うこともあります。「今回お前どうだ?」みたいにこっそり言う教員もいます。そこは様子見ながらですね。

日大豊山中高・上沢先生: 教員がその子のことを見込んで、「ちょっとやってみて」とお願いする時もあったり、ちょっとやんちゃな男子をリーダーにしたら、意外に盛り上がりクラスのみんなが「お前凄いじゃん」となって自信を持つ子もいますね。

高輪中高・真壁先生: そこは担任の見立てにかかってきますね。その子が与えられた役にはまると本当に一生懸命やります。そこで今までにない才能が出てくるんです。