【奨学金最新事情】第3回:志望校決めたら要チェック!大学独自の給付型奨学金

奨学金には大きく分けると「公的なもの」と「民間のもの」があります。公的なものは、国や地方自治体が行っている奨学金。民間のものは、企業や資産家の出資、善意の寄付金などで運営されている奨学金のことです。このほかに、大学等が独自で設けている学内奨学金もあります。学内奨学金は返済の必要がない「給付型」の制度が多いのも特徴です。詳細は大学によって異なりますので、志望校が決まったら奨学金の有無についても確認してみましょう。(2019年12月25日公開の記事に追記)

学内奨学金は3種類「予約型」「スカラシップ型」「在学生向け」

学内奨学金は3種類「予約型」「スカラシップ型」「在学生向け」

学内奨学金は、主に「入学前に決定するもの」と「入学後に決定するもの」に分けられます。入学前に決定するものには「予約型」と「スカラシップ型」があり、「予約型」は成績に左右されないもの、「スカラシップ型」は成績上位者に給付されるものです。なかでも近年、成績に左右されない「予約型」で、なおかつ「給付型」の奨学金を設ける大学が増えています。

給付までのおおよその流れは、受験前に申し込み→受験前に採用内定者決定→受験→合格者に給付となるので、経済的な面で不安の少ない進学を可能にしています。「スカラシップ型」は、成績優秀者に給付されるもので、「給費生」「特待生」とも呼ばれるものです。事前に申請する場合と、成績上位者から自動的に選ばれる場合があります。狭き門ですが、4年間学費が支給されるケースもあり、チャレンジする価値はあります。

早稲田大学が独自に設置している学内奨学金はすべて給付型奨学金で、約100種類。慶應義塾大学の独自奨学金は約110種類で、2018年度は延べ2,600名に支給されています。その多くは、入学後に申請する「在学生向け」奨学金です。大学は、私たちが思う以上に給付型奨学金を用意しています。詳細を調べ、まずは躊躇なく申請してみましょう。

以下に特徴的な奨学金を設置している大学についていくつかご紹介します。

予約型の奨学金

早稲田大学「めざせ!都の西北奨学金」

予約型の代表的なものに、早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」があります。対象は首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)以外の国内高等学校出身者。地方の学生を対象にしています。入学前に奨学金を申請。審査の結果採用候補者となった人に、入学後の奨学金給付が約束されます。採用候補者数は約1,200名。別途、高校を通じて申請する指定校推薦型もあります。いずれも父母の合算所得金額の上限が指定されていますが、奨学金の申請・選考は、入学試験の合否には影響しません。採用されれば、半期(春学期)分授業料相当額(入学時納入金から免除)が4年間継続で支給されます。

首都圏の学生を対象にした予約型には、「小野梓記念奨学金」があります。こちらの給付額は年額40万円で4年間継続。採用予定者は約200名となっています。いずれも年に4回の申請期間があります。

また大学では珍しい、児童養護施設やファミリーホーム入所者および出身者、または養育里親家庭で育った里子対象の「紺碧の空奨学金」という予約型奨学金も用意されています。

早稲田大学 めざせ!都の西北奨学金

実質無料で慶應義塾大学に入学できる可能性も

慶應義塾大学の予約型は、「学問のすゝめ奨学金」です。こちらも首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)以外の高等学校等出身者を対象とする奨学金です。奨学金額は年額60万円(医学部は90万円、薬学部は80万円)。給付期間は、入学後最長4年間(医学部・薬学部薬学科は最長6年間)で、入学初年度には、別途入学金相当額(20万円)が支給されます。採用候補者数は550名以上。父母の合算所得金額の上限が指定されていますが、給与・年金収入1,000万円未満(税込)、事業所得金額514万円未満(税込)と比較的高額に設定されているのが特徴です。国の「高等教育の修学支援新制度」の対象となっている場合、給付額の上限は、学校納付金から「高等教育の修学支援新制度」による減免額を差し引いた金額となるため、「学問のすゝめ奨学金」と「高等教育の修学支援新制度」との併用により、学部や支援区分によっては自己負担なく慶應義塾大学に入学できる可能性も出てきました。

慶應義塾大学 学問のすゝめ奨学金

青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」

青山学院大学も、首都圏(東京都(島しょ部を除く)、神奈川県、埼玉県、千葉県)以外の出身者を対象とした予約型奨学金「地の塩、世の光奨学金」を用意しています。国の「高等教育の修学支援新制度」と「地の塩、世の光奨学金」との併願は不可とのことですので、どちらを申請するかは判断が必要です。父母の合算所得金額の上限指定があり、採用候補者数は約350名。年額50万円の4年間継続支給となっています。

青山学院大学 地の塩、世の光奨学金

関西学院大学「ランバス支給奨学金」

関西地域で予約型奨学金を設けている大学に関西学院大学「ランバス支給奨学金」があります。対象者は、全学日程・学部個別日程・関学独自方式日程および大学入試センター試験を利用する入学試験を受験予定で、高等学校等での評定平均値が「4.0以上」の者。父母の合算所得金額の上限が指定されています。支給額は学部によりまちまち(30万円~45万円)ですが、全学部4年間継続支給されます。採用候補者数は約150名です。

関西学院大学 ランバス支給奨学金