いずれもハイレベルな国語力が要求される出題
各校の入試問題の概要
学校名 | 試験時間 | 満点 | 問題構成ほか |
---|---|---|---|
開成中学校 | 50分 | 85点 | 大問2題(一小説/二説明文) 全設問数:14問(知識問題7問) 二問一の漢字の書き取り7問以外は全て記述式の問題。 |
渋谷教育学園渋谷中学校 | 50分 | 100点 | 大問2題(一小説/二説明文) 全設問数:23問(知識問題8問) 選択問題や抜き出し問題が中心。 |
桜蔭中学校 | 50分 | 100点 | 大問2題(一随筆/二小説) 全設問数:16問(知識問題9問) 知識問題は少なく、ほとんどが記述式の問題。 |
女子学院中学校 | 40分 | 100点 | 大問3題(一随筆/二説明文/三漢字) 全設問数:28問(知識問題8問) 選択問題が中心。短時間での判断が求められる。 |
雙葉中学校 | 50分 | 100点 | 大問3題(一説明文/二語彙問題/三漢字) 全設問数:36問(知識問題19問) じっくりと読み込み、考察する力が必要。100字以上の論述(作文)問題あり。 |
各校の入試問題を整理すると、上記のようになりました。
いずれも、難易度はかなり高めで、特に設問に「あなたはどう思いますか。具体例を挙げて、一〇〇字以上一二〇以内で述べなさい。」と明記された雙葉の記述(作文)問題をはじめ、設問に字数の明示はないものの、求められる要素を盛り込むと明らかに100字以上の記述となるであろう開成、桜蔭の問題などは、大学入試レベルといっても過言ではない内容です。
現に、結果的に見送りとなりましたが、大学入学共通テストで大学受験生に課される予定だった国語の記述式問題も、文字数の設定は120字程度とされていました。
この3校はまた、漢字の書き取りや語の知識など、問題を見て即座に答えを出せる知識問題の比重が低く、単なる詰め込み学習のみでは太刀打ちすることが難しい出題でもありました。
難関校だからこその基礎の大切さ
漢字の問題は、いずれの学校でもオーソドックスなレベルの出題でした。多くの入試対策用問題集で「頻出」にランクされている「領域」の書き取り問題が、桜蔭中学校と渋谷教育学園渋谷中学校で出題されたことも、難関校を目指しているとはいえ、基礎・基本を疎かにしてはいけないということを示す好例でしょう。
言葉の意味や慣用句、故事成語などの知識が求められる、語彙に関する問題も、開成中学以外の4校で出題されました。ただ単に辞書に載っている意味を覚えているだけでなく、文脈の中での意味を考えなければならない問題など、付け焼き刃では対応が難しい問題が多く見られました。
後述しますが、これらの難関校では、設問で与えられる文章の文字量も多く、それを読み取ったり記述式の答案を考えたりするのにも相応の時間が取られます。だからこそ、勉強してきたことがそのまま解答に結びつく知識問題は、反射的に解けるくらいの準備をしておくことが望ましいでしょう。