春から初夏にかけての大方針
まず、6年の春から初夏にかけての大方針は「毎週の塾のカリキュラムをきちんとこなす」ことです。
「それができれば苦労しない」というお声が聞こえてきそうですが、少なくとも「つまらない」「なんとなく気が乗らない」という理由で、塾から配信されている動画も見ずに、別の市販のテキストなどに取り組むことはあまりオススメできません。
「どうしてもオンラインでは難しい」という状況で、「やらないよりはマシ」と考えて取り組む次善の策でしたら、ある意味、問題ありません。ただ、もし「なんとなく」そういった状態になってしまっているのであれば、今からでも塾のテキストや動画に向き合われることを強くオススメします。
6年生のこの時期は、多くの進学塾で、これまでのインプット主体の学習から、夏以降のアウトプット(演習)主体の授業に移り変わっている移行期と位置づけられています。もちろん、まだまだインプットに時間を割かねばならないお子さんも少なくありません。
いずれにせよ、塾のカリキュラムをこなすこと以上に優先順位の高い勉強はなかなか見当たらない時期です。まずは配信された動画や、電話やオンラインでの質問対応などをフルに使い倒して、テキストを消化していきましょう。
特にお通いの塾が質問対応に応じてくれるというのであれば、(最低限の気を遣いつつも)できるだけ頼った方が良いでしょう。なにより、第三者とのコミュニケーション自体に貴重な価値が生じる特殊な時期に突入しています。何か困ったことがあったら、まずはこちらから連絡を入れてみましょう。
受け身になってただ塾からの連絡を待ちながら不安や不満をためるのでは、保護者の方の精神衛生上にも大きなマイナスです。そしてその影響は必ずお子さんの精神と成績にも伝播します。
「けんもほろろ」という対応をされてしまう可能性もないわけではないですが、塾業界全体としては何かしら生徒さんや保護者の方の力になりたいと願っている講師のほうが多いと信じます。
~6年生は今、何をどうやるべきか~教科別ガイド~【緊急連載Vol.2】に続く~
馬屋原吉博(うまやはら よしひろ)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校・進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。
必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりをもち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。
著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)、『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。