オンライン授業でどこまでできるか。受験への見通しを具体的に示すことが重要
エデュ:これだけの動画配信を続けていると、講師の方もカメラに慣れますね。
松本先生:そうですね。新型コロナで対面授業を実施できなくなった2月末からすぐに動画配信、その後はオンライン授業を組み合わせた形式にもスムーズにスライドできました。
エデュ:動画とオンラインを組み合わせるとは、具体的にどういった授業形態なのでしょうか?
松本先生:理科と社会は動画配信を主体にしました。理社に関しては、動画の方が双方向よりも学習効果が高いと考えたからです。動画ですと、画質をよくできますし、生徒が理解しやすいように編集することもできます。
算数と国語の平常授業は、もともとは動画配信でしたが、次の感染拡大期にはオンライン授業に切り替えることになっています。Zoom自体のセキュリティ面が強化され、比較的安心して使えるようになったこと、算数と国語に関しては1クラス9名の少人数制を取っていることの2つから、双方向のオンライン授業が可能だと判断しました。
6年生の日曜講座である志望校別特訓は4教科ともZoomのオンライン授業を行っています。
エデュ:オンライン授業を行う上で工夫されていることはありますか?
松本先生:2つあります。1つ目は生徒が答案を撮影してメールで送ってもらい、講師はその答案をプリントアウトして、それを見ながら授業を行うという方法です。
対面授業であれば、講師が生徒の席をまわり、今どの問題を解いているかがわかりますが、Zoomでは、手元を映さないとわかりません。生徒が1人ならそれも可能かもしれませんが、複数人だと容易ではありません。生徒の出来不出来がわからなくなってしまうのが、オンライン授業のマイナス面です。
そこで、メールで送ってもらった答案を見ながら授業を進めることで、対面授業に近い形で授業ができるようになりました。
2つ目は、画面上で採点ができる「Apple Pencil」というツールを導入したことです。
生徒から送ってもらった答案を印刷して採点し、Faxしたりスキャンして送り返したりという手間が省け、スピーディに添削をして、メール返信ができるようになりました。
エデュ:こういった授業への転換において、ジーニアスが大切にしてることは何でしょうか?
松本先生:緊急事態宣言が出されたとき、「この先受験勉強はどうなるのか…」と保護者も生徒も不安だったと思います。その不安を少しでも解消して、安心感をもっていただくために、受験までの見通しを示すことが私たちの仕事だと思っています。
たとえば、すべてオンラインでやることになれば、保護者と生徒にきちんと情報を提供することがとても大事になります。当塾は少人数制ですから、対面の授業においては、「君はこういうところが足りないね」と指摘したり、「この宿題をやりなさい」と個別に課題を出したりすることができました。しかし、オンラインではそれが難しい。
そこで、一人ひとりに、勉強する時にどういうところに注意すればよいのか、時間に余裕が出てきたときにその子がプラスアルファでやった方がよいことは何なのか?などを伝えています。
詰め込み過ぎない夏休みに。1人ひとりに合った講習を用意
エデュ:今年は夏休みが短縮され、どの塾でも夏期講習の日程調整が大変だったと聞いていますが、ジーニアスではどうですか?
松本先生:もともと教室ごとに講習の日程を作っていますし、夏休みが短いから講習日程が作りにくいということはありませんでした。
また、学校がある日の夕方に授業がある日がほとんどないようにしました。学校に行ってその後に塾なんて、子どもたちが疲弊してとてもじゃないけど復習までできないと考えていて。ですから、復習のできる日まで考えて、時間割や日程を作っています。
お盆の期間に関しては、どの学年にも平常授業を入れていません。夏休みが短いからといって、無理やりお盆に授業を詰め込んだりすると、子どもたちの夏休みがなかったということになってしまう。せめて5年生以下は小学生らしい夏休みも過ごさせてあげたいという想いがありますから、そこを考えながら日程を組みました。
志望校別特訓に関しては、他塾では10コースくらいですが、当塾は30コースあります。なぜコースを増やしているのかというと、できる限り、生徒が目指す学校に合った対策をしていくべきだと思っているからです。1人ひとりの状況に合わせて、できることを精一杯やっていきたい、一人ひとりが目指すところに寄り添い応援して行きたい、そういう受験にしたいという想いがあります。