そこで、株式会社スタジオキャンパスの代表、矢野耕平先生に、男子校・女子校についてお話をうかがいました。
男子校・女子校の最大の魅力は、自分のやりたいことに“素直”に打ち込める環境
別学校の良さとして最初に挙げられるのは、「異性に気を遣う必要がない」という点です。
たとえば、鉄道が好きな男子が、中学校で鉄道好きを極めたいと思っているとします。男子校では、「鉄道研究会」がある学校も多く、堂々と「オタク」でいられます。一方共学校では、鉄道好きの男子は、女子から「キモい」という目で見られることもあります。それが理由で、自分のやりたいことを自ら抑えてしまうことも。思春期ですから、女子から「キモい」と思われたくないという気持ちが働くのでしょう。
この点、男子だけ、女子だけなら、異性に対して格好をつける必要がありません。自分のやりたいことに素直に取り組める環境が、別学校の魅力です。
さらに、男子校では、たとえばスポーツが得意な子、爬虫類の研究を極める子、将棋が得意な子も同じ土俵にいて、「彼はああいうすごいところがあるんだ」とお互いを認め合えるような雰囲気があります。男子校出身の方は、「好きなことに打ち込んでいて、それを極めている子は尊敬される存在」だと異口同音に言いますね。
それは勉強にも通じています。
共学校では、勉強ばかりに打ち込んでいて休み時間にも勉強する姿というのは、異性の目に「格好悪い」と映ってしまうところがあります。休み時間はみんなと和気あいあいとしているのがよいという価値観です。本当は休み時間も勉強したいけれど、異性の目が気になるからみんなと過ごす、そういう自分を演じてしまうのです。中高生というのは、異性を意識する多感な時期だからでしょう。
さらに、異性がいる空間では、「みんな一緒でなければダメだ」という同調圧力がかかりやすく、そういった空気が醸し出されやすいのかもしれません。
一方で、別学校、特に男子校では、勉強を一生懸命やることはむしろ格好がよくて、賞賛されるべきことだと思う節があります。勉強もスポーツや研究と同じで、やりたいことに打ち込む姿を尊重し合う空気があるのでしょう。
男子校の割合は全国でたったの2%強です。にもかかわらず、東京大学の合格者数トップ30校中18校が男子校という驚くべき数字となっています。男子校が学ぶことに思う存分打ち込める環境であることを示唆しているのではないでしょうか。
男子校・女子校で得られる財産は「友人」。一生付き合える濃い人間関係ができる
30代、40代…となっても、普段から親しくしている人は中高時代の友人、という方は、別学出身者が多いようです。その理由は、中高6年間で濃い人間関係が生まれるからです。
男子校、女子校出身者は、中高時代のことを思い出して、「こういうところはダメだよね」と平気でスバズバいい合ったと語ります。異性の目がないため、遠慮する必要がないためでしょう。
異性がいない環境では、男であること、女であることを意識しなくなります。つまり、男でも女でもない「人間」としていられるからこそ、裸の付き合いができ、その分人間関係も濃くなります。
このように中高6年間を過ごすことで、一生付き合える友人ができるのです。