自立した女性が自然と育つ環境
エデュ:桜蔭で過ごした6年間の環境と、実社会の環境にギャップを感じ、戸惑うこともあるのでしょうか。
王先生:多かれ少なかれあるとは思います。しかし、桜蔭生はしなやかな面ももっているので、みなさん、冷静にまわりを見ながら対応していると思います。自分の生き方で示していると感じる同窓生が多いです。
エデュ:自立した女性になることも、何かから学ぶということでなく、自然と自立できる環境があるように感じます。
王先生:そうですね。頑張り屋の生徒が多いことが、関係しているかもしれません。努力が評価される学校ですし、自分の能力や適性を生かして、どうしたら社会に貢献できるかということを考える学校なので、自然と自立した女性になるのではないかと思います。
左:創立から昭和24年までの制服
右:昭和24年から現在の制服
リボンは、袴の帯揚げを模しています
意見をぶつけ合い、人と人との信頼関係を築いていける環境
エデュ:先生やご友人、先輩との関係を通して、お互いに影響し合う環境も関係がありそうですね。
王先生:切磋琢磨する環境はありますが、必要以上に干渉しないというところも本校のよいところだと思います。 相手はこういう人、自分はこういう人という意識があるので、同調圧力も高くない学校ですし、相手をどうにかしようという気持ちよりも、お互いによいところを認めてうまくやっていこうという気持ちの強い学校なのだと思います。個性が強い生徒が多いので、自然とそういう形になるのかもしれません。
エデュ:自分の意思や意見をしっかりと持っている生徒が多いのでしょうか。
王先生:自分の意見を持っている生徒は確かに多いですが、わたしは意見を口に出せる環境のほうがより大事だと思っています。
在学中のことですが、クラブ(英語劇部)の話し合いでは、劇の方針をめぐって侃々諤々の議論になることもしばしばありました。しかしそのときに、自分の意見をきちんと主張しながら、相手の意見にも丁寧に耳を傾け、議論をし、より良い方向に結論を持っていくという貴重な体験ができました。
意見をぶつけ合って、信頼関係を築いていく中で得られた経験と友人は、一生の財産です。
edu’s point
王先生のお話の中に出てきた「無意識」と「自然」という言葉が大変印象に残りました。桜蔭という環境の中で生きているうちに、自然と形作られる「何か」があるのでしょう。それは言葉にはできない、桜蔭生の生き方であり、心の支えみたいなものだと感じました。
第3回(最終回)では、「新しいステージへ!桜蔭のICTへの取り組み」と題し、桜蔭のオンライン化の取り組みについてご紹介していきます。