自己規制を外して自由に発想するから面白い!
エデュ:廣瀬先生は世の中にないものを形にすることで、社会貢献をされていますが、新しい発想というのはどこから生まれるのでしょうか。
廣瀬先生:逆の考えからいうと、発想が出てこない最大の原因は「自己規制」です。
ドイツの心理学者がある実験をしました。二つの学生のグループに、釘を壁に打ち付けて、そこに紐を垂らして振り子を作るというテーマを与えました。一つのグループには、釘、紐、重りを別々に渡し、もう一方のグループには重りに紐をつけた振り子と釘を渡しました。
すると、前者のグループでは全員が重りをハンマー代わりにして、釘を壁に打ち付けて振り子を作ったのに対し、後者のグループでは、そのグループのうちの何人かがハンマーがないからできないと言ったということです。
この人たちは、重りと紐がつながったものは「振り子」であって、ハンマーにはならないと考えてしまったからです。ものを言葉としてとらえるか、ものをそのものの物性で認識するかで行動が異なってくるのです。
つまり、そういった類の「自己規制」が我々の頭の中に常にあります。振り子は振り子にしないといけないことに囚われて、考え方を規制してしまいます。その規制を解いて自由に考えるとよい発想ができる。
私は創造性育成のセミナーを行っていますが、そこで、自分の中にある「自己規制」に気づくチャンスは、自分自身で何か問題解決をしようとして、なかなかいいアイデアが浮かばないけど、やっと問題解決ができた時だと言っています。
その時に、喜んでそのまま問題解決に進んでしまうのではなく、一旦立ち止まって、なぜ、そのようなよいアイデアにすぐに到達できなかったかを考えてみるべきなんです。
そうすると、例外なしに自分の中に何らかの思い込みや「自己規制」があり、それが障害になって長い間よいアイデアが出せなかったことに気付きます。
こうして、「自己規制」の回避法が体感的に体得できるのです。
edu’s point
「面白い!」と思い自由に発想するメカニズムが少しわかった気がしました。廣瀬先生がお話される内容は、すべてご自身の体験・体感を伴っているので、生きた言葉として伝わります。考える力、面白いと思う力を養うには、知識だけでなく「体で考える」ことが大事なのでしょう。
今もなお、社会に役立つものづくりを行っている廣瀬先生が直々に携わっているのが、瀧野川女子学園中学高等学校の「創造性教育」です。
廣瀬先生のマインドを肌で感じ、お子さまの「面白い!」を開花させるチャンスがあるかもしれません。興味を持った方は、説明会等で同校の教育方針に触れてみてはいかがでしょうか。