中学受験、低・中学年の夏休みの「身になる体験」とは?

6年生の夏休みは受験勉強で忙しくなります。そのため、子どもが低学年・中学年の夏休みは歴史的建造物を見に行ったり、博物館に行ったりと、受験に出る単元の知識に繋がるような体験をした方がよいという話も聞きます。しかし、今はコロナ禍。現地での体験は難しい状況です。では、自宅でどんな工夫ができるのでしょうか。教育家の小川大介先生にお話をうかがいました。

「中学受験のため」と前のめりになっていませんか?

中学受験塾で学ぶ知識量は多く、高校受験、大学受験レベルの内容もあります。また、難関校の入試問題は、丸暗記では太刀打ちできず、因果関係を正確に捉えていないと正解が難しいといった点もあります。

つまり、小学生の段階でかなり難しいことをやっているというのが中学受験です。そのため低・中学年のうちは、「知識を積み上げていけるような実体験をたくさんしましょう」ということも言われています。
たとえば、塾の授業で習ったことが「そういえば、家族で旅行したときに見た!」と繋がれば、その体験と知識とが結びつき記憶に残りやすいといったことがあるからです。

しかし、「中学受験のために」子どもに「体験をさせる」という打算的な考えは少し横においてほしいと小川先生は言います。

小川先生:子どもにとっての「身になる体験」とは、大人の思惑通りに生まれるものではありません。たとえば、博物館を訪れる際も、親が連れ回して展示を見せていくだけでは体験とはなりません。子ども自身がはく製を見た時にそのサイズ感に驚いたり、なぜこの生き物とこの生き物が同じフロアに展示されているのかと疑問に思ったりなど、子どもが自ら何かを発見することが体験として重要なのです。

中学受験のためと思うと、子どもに説明をしたり、教えたりしたくもなります。しかし、それではお子さん自身が受け身になってしまうので、「身になる体験」にはなりにくいのでしょう。