体験で大事なのは、子どもがその時「どう感じたか」
では、知識と体験とが繋がって記憶に残るとは具体的にどういうことなのでしょうか。
小川先生:実際にものを見ているその場で名前を教えれば、記憶に残るというものでもありません。「ものを見た」という体験とともに、お子さんなりのストーリーがあるからこそ、体験と知識とが繋がり、長きにわたって記憶に残るのです。たとえば、旅行の思い出が何年か経ってふっとよみがえるのはストーリーとして覚えているからです。
そのため、親子で一緒に何かを見ているときに、お母さんが「これ、ママが小学生のときに見たよ!」と伝えたり、お子さんがそれを見てどう感じたかを聞いて「へぇ~!おもしろい見方だね」と会話したりすることがあると、記憶に残りやすくなります。
見たものが、そのときの場面や感情とともに脳の記憶として残ることを「エピソード記憶」と言います。このエピソード記憶は長期記憶の一つです。
小川先生は「体験にはこのエピソード記憶の要素があることが魅力。知識と体験とを結びつけたいと考えるのであれば、お子さんがその時どう感じたのかを大事にしてほしい」と言います。