東大理三では2018年に面接が復活。面接を重視する傾向に
はじめに、医学部受験の面接事情を見てみましょう。
東京大学理科三類の入学試験では、1999年~2007年まで面接があり、その後廃止されました。しかし、2018年には面接が復活しています。
2022年度の東京大学入学者選抜要項によると、 「面接試験の結果を含めて総合的に判定し、将来、医療や医学研究に従事するのにふさわしい資質を持った受験者を、合格者とします。したがって、学力試験の得点にかかわらず不合格となることがあります。なお、面接試験では、受験者の人間的成熟度、医学部への適性、コミュニケーション能力等を評価します。」とあり、面接を重視していることがうかがえます。
医学部の受験には必ず面接がある
九州大学医学部の入試では、2020年にはじめて面接試験を導入しました。現在面接を課さない医学部はありません。
京都大学においても、2016年度の入試より配点(50点)での面接の評価を廃止しました。現在は、「学科試験の成績の如何にかかわらず不合格となることがあります。」と、一般選抜入学者選抜要項(2022年)にあるように、東大同様に、面接での人物評価に重きを置いています。
こういったことからも、医学部受験において面接が合否を分ける重要ポイントであることがわかります。
決して特殊ではない、医学部へ入学するために兼ね備えておくべき人間性
次に、東大理三の募集要項に記載されている「受験者の人間的成熟度、医学部への適性、コミュニケーション能力」とは、具体的にどのような内容なのか確認していきましょう。
文部科学省のWebサイト、「21世紀医学・医療懇談会」での教育部会報告として掲載された「期待される医療人の育成方策」に、
「医療人には、幅広い教養を持った感性豊かな人間性、人間性への深い洞察力、社会ルールについての理解、論理的思考力、コミュニケーション能力、自己問題提起能力や自己問題解決能力などを持つことが求められている。」
とあります。
これらは決して特殊な力ではなく、社会人としても求められる資質です。しかし、医療に携わる人物としてより高度な力が求められます。それは、一朝一夕では身につきません。日々の生活や保護者との関わりの中で会得できるものでしょう。
プレゼン・ディベートの授業が多い私立中高一貫校は有利?
たとえ、面接で評価される力がすべて身についていたとしても、言葉にしなければ面接官には伝わりません。そのため、自分の考えを表現する機会が多いと面接試験に有利となります。
最近の面接では、「MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)」という形式を採用している大学がいくつかあります。面接の中で、ある場面設定をした課題が与えられ、「自分ならどう判断し行動するか」をプレゼンテーションするといった内容。面接でよく質問される内容の回答を予め用意し、丸暗記して臨むといった対策では太刀打ちできない面接です。
私立中高一貫校では、アクティブ・ラーニングが公教育で推進される以前から、主体的で対話的な深い学びが行われています。こうした学びの姿勢が校風として根付いているため、プレゼンやディベートの力が自然と育まれやすい環境です。また、私学は施設も充実しているため、大学並みの蔵書に触れることができたり、理科の実験を行う授業が多くあり、深く学べる環境もあります。
そういったことからも、私立中高一貫校への進学は、医学部受験に有利と言えます。
医学部受験の面接事情からも、早いうちから医学部を目指す心構えや、目指せる環境が重要だとわかります。保護者が医者でなければなおのこと、積極的に情報収集を行い医学部受験への知識をアップデートすることが大切です。
■参照元
・令和4年度東京大学入学者選抜要項
・令和4年度一般選抜学生募集要項 | 京都大学
・文部科学省:「21世紀医学・医療懇談会『期待される医療人の育成方策』」
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