【中学受験】算数の弱点は6年生の夏に克服しよう!夏期講習の賢い受け方、苦手単元の学習法とは?

中学受験をする6年生にとって、夏休みは学力をアップするための大事な時期。秋には模試が行われ、過去問演習の取り組みも始まります。特に算数は夏休みのうちに苦手単元を克服することが大切です。夏期講習を受けながら効率的に算数の弱点を克服するには、どのように学習をしたらよいのでしょうか。算数の戦略的な指導に定評がある富田佐織先生に教えていただきました。

夏期講習を最大限有効活用する授業の受け方

夏期講習を受ける心構え

6年生の夏期講習は拘束時間と期間が長く、夏休みの大半を、夏期講習で過ごすことになります。最初は頑張ろうと思っていたお子さまも中だるみになりがちです。夏休みの期間中、ずっと集中して授業を受けるのは不可能だと思ってください。その日に行われる授業の中で何を学んでくるのか、目的をもって参加できるよう促してあげることが大切です。力を入れる単元とそれほど力を入れなくても良い単元を事前に教えてあげるとお子さまは気が楽になりますし、ただぼんやり授業に参加するということが少なくなります。

夏期講習が始まる前に行うこと

そのためにまずご家庭で事前に行っていただきたいのは、夏期講習のカリキュラムに目を通すことです。夏期講習は中学受験で取り上げられるすべての単元を網羅してカリキュラムが組まれており、お子さまにとって、あまり重要性が高くない単元が取り上げられる日もあります。たとえば推理と論証は出題される学校もありますが、出題されない学校も多くあります。夏期講習が始まる前にカリキュラム全体を見て、力を入れる単元とそれほど重要ではない単元に印をつけていきましょう。

お子さまが力を入れる単元を決めるときには、新6年生の2月から7月までに行われた塾のテストを参考にしてください。全体の正答率が高いのにお子さまの失点率が高い単元があったらピックアップしていきます。特に7月前半に行われる組分けテストは範囲がないので、お子さまの苦手単元がわかりやすいものになります。

授業を受けるときのポイント

カリキュラムの中でお子さまに力を入れて聞いてほしい単元の授業の前には、「今日は数と性質の授業だね。数の性質の中で余りがある問題はこの夏で得意になりたいね。ここだけはしっかり聞いてこようね」といった声がけをしてあげましょう。その日の中で何をクリアしてくるかという目標をお子さまと一緒に決めておくと、意識して授業を受けることができます。授業の中でどこを重点的に聞いてくるか、目的を示してあげることはとても大切なことです。

復習するときのポイント

たくさんある問題の中で、授業の中で取り上げられたのが一部だけということもあると思います。授業で扱っていない問題も復習したほうが良いと思いがちですが、授業で取り上げられた問題をしっかり復習しましょう。6年生になると夏期講習の教材が難しくなり、授業の中ではクラスのレベルに応じて重要な問題を授業中に取り上げます。復習する範囲は広げ過ぎないことが大切です。夏期講習は他科目の宿題も多いので、復習は間違えた問題の解き直しと類題(数値替えの問題)を解くだけで十分です。

間違えた問題を解き直しするときは、先生の解き方を再現できるようになることを目指してください。夏休みの間は先生が解くときに書いた図(状況図)が書けようになることを目標にしましょう。授業中は先生の解説を聞き、図を写してくると自宅で復習しやすくなります。式よりも図のほうが大切になります。

とはいえ、板書を写してくるように伝えると写すことに集中してしまい授業の内容が耳に入ってこないお子さまがいます。図だけでいいから写してくるように伝えてあげると、お子さまの気が楽になると思います。また、授業中にどの問題を取り上げたか忘れてしまうお子さまもいます。お子さまが忘れやすいタイプなら「授業中に取り上げた問題に〇をつけてきてね」と声をかけてあげましょう。

限られた時間の中で弱点を克服するポイントは?

夏休みに克服しておきたい単元

夏休みの間に克服しておきたい単元は、「平面図形」「速さ」「比と割合」です。さらに細分化すると、「比と割合」の中では食塩水、売買損益、平均算、倍数算。「速さ」の中では旅人算は理解しておきたい内容です。平面図形は多岐にわたりますが、相似の重要形であるピラミッド型と砂時計型はしっかりと解けるようにしましょう。これらはフォーマットが決まっているため攻略しやすいものばかりです。夏の間に理解しておくと、夏以降、残りの苦手単元が理解しやすくなります。

弱点克服に充てる時間の作り方

夏休みは夏期講習に忙殺されて家で勉強する時間が少なくなります。通常、お盆休みと夏期講習終了から始業式が始まるまでの10日くらいしか苦手克服に使える時間がありません。算数が苦手で目標校の偏差値に届いていない、重要な単元について穴が多いなどの場合には、夏の志望校別特訓を割愛して弱点克服の勉強に充てるのもひとつの手です。

算数の弱点を克服する方法

実際に指導に入っている生徒さんの算数の弱点を克服する方法をご紹介します。
まず、弱点克服用のノートを単元ごとに1冊ずつ用意してください。苦手分野の問題についてコピーを取り、問題のコピーを1ページに1題ずつ貼っていきましょう。その下で問題を解きます。間違っている場合には付箋を貼り、解き直すスペースを取ります。ルーズリーフだとページが増やしやすくて便利です。問題は特に苦手な単元から着手します。特に苦手な単元がない場合には、平面図形と速さ、そのあとに食塩水と平均算を解いていくのがおすすめです。

受験を終えた保護者の方にご協力いただき、弱点克服用のノートを見せていただきました

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問題のコピーを1ページに1題ずつ貼り、その下で問題を解きます。

受験を終えた保護者の方にご協力いただき、弱点克服用のノートを見せていただきました

間違っている場合には付箋を貼り、解き直しします。

6年生の夏を迎える保護者へのアドバイス

夏休み自体は日数がたくさんあるため、弱点を克服しようと意気込んでいるご家庭が多いと思いますが、塾に行っている時間が長いので、思ったほどはできないものだと思ってください。保護者とお子さまが、ここまでできるようにしようという基準を決めて、欲張らないことが大切です。この暑い夏に夏期講習に毎日通っているお子さまをほめてあげましょう。さらに、夏期講習のためにお弁当を作ろうと思っている自分自身もほめてあげてください。夏休み以降も受験勉強は続きます。今回ご紹介したポイントを押さえて、夏休みを完走できたら合格です。体調を崩さないように気を付けて夏を乗り切ってください。

今回の回答者:富田 佐織(とみた さおり)先生

富田 佐織(とみた さおり)先生

アートオブエデュケーション関東指導部長。中学受験カウンセラーとして年間120件超の学習カウンセリングをし、的確な分析力で志望校合格に導いている。桜蔭学園卒。四谷大塚に飛び級入塾し、公開模試1位。元大手塾算数講師。著書に「中学受験算数 教え方のコツ」(PHP研究所)。朝日新聞EduAにて『親子で挑戦 ・ 中学受験算数』を連載中。プレジデントファミリー等各教育誌で取材多数。

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