今回は、民間の給付型奨学金制度のなかから、入学前に申し込みが可能で、家計基準がなく比較的募集人数の多い奨学金をご紹介します。大学受験を控えている受験生・保護者のみなさまの参考になれば幸いです。
入学前に申し込める給付型民間企業奨学金4選!
卒業後に返済の義務がない給付型の奨学金制度。
入学前に申し込み可能な給付型民間奨学金を4つピックアップしました。
・キーエンス財団
・伊藤謝恩育英財団
・青井奨学会
・DAISO財団
これらの奨学金制度はすべて大学1年生からの4年間給付され、なかには6年間給付されるところ、月額給付とは別に入学一時金が給付されるところもあります。家庭の収入などの経済的な状況は参考とされるものの、応募条件に家計基準はありません。大学独自の給付型奨学金に応募できなかった場合も、家計基準が設けられていない民間の奨学金制度であれば応募できる可能性があるため、調べてみることをおすすめします。
また奨学生の義務として、進学後のレポート提出や奨学生交流会の参加などを設けているところもあります。民間の奨学金制度を検討する場合は、大学入学後に奨学生が果たすべき義務についても確認しておきましょう。
ここからは、4つの奨学金制度の給付金額や募集人数、選考方法などをご紹介します。
※2022年10月20日時点で各企業が公表している情報・資料をもとにインターエデュにて作成。最新の情報は各企業の公式Webサイトにてご確認ください。
「キーエンス財団」奨学金概要
キーエンス財団は、ファクトリー・オートメーション(FA)の総合メーカーである株式会社キーエンスによって設立されました。安心して学業に専念できる環境づくりへの貢献、そして自らの夢や目標に向かって頑張っている在学生を応援したいとの思いから、返済の必要のない応援給付金による経済的支援を行っています。
給付金額 | 月額8万円 |
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給付期間 | 大学1年生からの4年間 |
募集人数 | 500名程度 |
選考方法 | 学業成績、経済的な状況、小論文等 |
対象大学 | 日本国内の4年制大学 ※学部は文系・理系を問わない |
奨学生の義務 | 財団が定めるレポートや成績証明書・在学証明書などの提出 |
申請期間 | 一次選考Web登録:2023年2月1日(水)~2023年4月7日(金)午前10時 二次選考書類:2023年4月13日(木)~2023年4月26日(水)当日消印有効 二次選考Web:2023年4月13日(木)~2023年4月26日(水)午前10時 |
「伊藤謝恩育英財団」奨学金概要
伊藤謝恩育英財団は、株式会社イトーヨーカドーの創業者である伊藤雅俊氏によって設立されました。自ら学ぶ意欲を持つ若者に勉学や自己啓発の場を提供することで、有能な人材の育成に寄与したいという思いがあります。給付対象の大学は指定されているものの、学問の分野や卒業後の進路に対する制約はありません。(※2023年新入生向けは募集終了)
給付金額 | 月額7万円+入学一時金30万円 |
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給付期間 | 最長4年間 |
募集人数 | 40名予定 |
選考方法 | 書類選考、面接選考 |
対象大学 | 志望大学は以下の4年制大学に限る ※6年制(医学部、歯学部、獣医学部、薬学部など)の学部は対象外 【国立大学】 北海道大学、弘前大学、東北大学、筑波大学、埼玉大学、千葉大学、東京大学、一橋大学、 お茶の水女子大学、東京工業大学、東京外国語大学、東京学芸大学、 東京医科歯科大学、東京農工大学、東京海洋大学、電気通信大学、 横浜国立大学、新潟大学、金沢大学、信州大学、 山梨大学、静岡大学、名古屋大学、京都大学、 大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、 九州大学 【公立大学】 横浜市立大学、大阪公立大学 【私立大学】 早稲田大学、慶應義塾大学、学習院大学、上智大学、 中央大学、国際基督教大学、同志社大学、立命館大学、 関西学院大学 |
奨学生の義務 | 財団が実施する奨学生研修会への参加、学業成績証明書・生活状況報告書の提出など |
申請期間 | 2022年4月1日(金)~2022年5月16日(月)当日消印有効 |
「青井奨学会」奨学金概要
青井奨学会は、株式会社丸井グループの創業者である故青井忠治氏によって設立されました。「有為な人材を育成して社会に送り出したい」という思いから、大学・高校奨学金給付事業を中心とした交流支援事業を行っています。選考では国公立大学の志望者を優先しており、私立大学は早稲田大学と慶應義塾大学の2校のみを対象としています。(※2023年新入生向けは募集終了)
給付金額 | 月額5万円+入学一時金30万円 |
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給付期間 | 4年制学部は4年間、医学部・薬学部など6年制学部は6年間給付 |
募集人数 | 記載なし(2021年度実績:52名正式採用) |
選考方法 | 指定高校あり。学校長の推薦が必要で高校を通じて応募。青井奨学会の選考委員会にて選考 |
対象大学 | 国立大学・公立大学 私立大学は早稲田大学と慶應義塾大学の2校のみ |
奨学生の義務 | 年次報告書、成績表の提出 |
申請期間 | 2022年5月下旬~2022年7月中旬 |
「DAISO財団」奨学金概要
DAISO財団は、2020年3月に設立された新しい財団です。次世代を担う学生が経済的な理由から進学を諦めることがないように、返済不要の給付型奨学金による支援活動を行っています。給付対象の大学に制限はなく、すべての4年制大学を対象としています。(※2023年新入生向けは募集終了)
給付金額 | 月額5万円 |
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納付期間 | 4年間(最短修業年限) |
募集人数 | 50名程度 |
選考方法 | 学業成績、経済的な状況、小論文等を基に総合的に選考を行う |
対象大学 | 学校教育法に定められるすべての4年制の学部・学科 ※理系学部、文系学部を問わない |
奨学生の義務 | 成績証明書・在学証明書の提出 |
申請期間 | 2022年8月15日(月)~2022年10月17日(月) |
入学後にも申請ができる給付型の民間奨学金はある?
今回ご紹介した給付型奨学金制度は入学前の申し込みとなり、キーエンス財団以外は2023年度新入生向けの募集が終了しています。しかし、民間奨学金のなかには大学進学後に申請できるものもあります。その一つが「G-7奨学財団」です。
「G-7奨学財団」奨学金概要
G-7奨学財団は、今までになかったビジネスや技術開発、スポーツ等に情熱を持って取り組む人材への支援を目的に設立されました。給付型の奨学金事業により、優秀な人材が学業や研究、スポーツに専念できる環境を提供しています。
G-7奨学財団の奨学金制度では、応募資格として学力基準と家計基準を設けています。また、学生生活の様子や使用した奨学金の内訳については、半年ごとに書面で報告する必要があります。
支給金額 | 月額上限10万円※選考委員会での審査を踏まえ決定 |
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支給期間 | 標準修業年限を上限(審査を単年度ごとに実施) |
募集人数 | 85名程度(大学生・大学院生の各学年の合計) |
選考方法 | 書類選考、面接選考など |
応募資格 | 学力基準:高校3年間評定値4.0以上(新1年生の場合) 世帯人数、通学形態に応じた家計基準あり |
奨学生の義務 | 半年ごとに学生生活の状況を報告、成績証明書・在学証明書の提出など |
申請期間 | 新1年生:2023年3月15日(水)〜2023年4月24日(月)当日消印有効 ※在学生:2023年3月15日(水)〜2023年4月14日(金) |
ほかにも、進学先の大学が独自に入学前・入学後の給付型奨学金制度を設けている場合があります。また、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」にて国内向け奨学金制度の検索もできます(2022年10月3日時点掲載団体数:大学444校、短期大学149校、地方公共団体等737団体)。広く知られていない奨学金制度も多数あるため、大学進学にあたって奨学金を希望するご家庭は、検索してみてはいかがでしょうか。