36タイトル中24タイトルは2021・2020年に発売された新刊!
2022年入試速報掲載校の中から、男子校・女子校・共学校計21校の国語の出典、36タイトル(著者名、発売日含)をまとめました。
なんと全体の約67%が2021・2020年に発売された新しい本からの出典で、さらに2021年のみでみると14タイトル、約39%になることがわかりました。
開成・麻布・武蔵ほか、男子10校の国語入試問題出典一覧
男子校で出題された13タイトルの中で最も新しい書籍は、2021年7月9日発売のくどうれいん著『氷柱の声』。麻布中学校と海城中学校で出題されました。
開成・麻布・武蔵・海城・駒場東邦は、1タイトルにて問題が構成されています。4校ともに小説からの出典です。同じストーリーの長文を読ませることで、物語の展開や登場人物の心情の変化を捉える力を見ているのでしょう。
桜蔭・女子学院・豊島岡女子学園ほか、女子7校の国語入試問題出典一覧
女子校で取り上げられた14タイトルの中で最も新しい書籍は、2021年9月24日発売、森田真生著『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』です。
桜蔭中学校で出題されましたが、さらにもう一つのタイトル、高柳克弘著『そらのことばが降ってくる: 保健室の俳句会』も同年9月の発売です。
中学入試の問題は、夏休みに作られるというのが通説です。桜蔭が9月以降の発売の本を取り上げたことに、驚かれた方もいたのではないでしょうか。
開智・市川・東邦大東邦ほか、共学4校の国語入試問題出典一覧
9タイトルの中で最も新しい書籍は、2021年1月28日発売、前崎信也著『アートがわかると世の中が見えてくる』です。
昭和学院秀英中学校で出題の『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著者、伊藤亜紗の作品は、男子校の武蔵中学校にて『記憶する体』が取り上げられました。
さらに、女子校の淑徳与野中学校で出題された、中島兵志著「利他はどこからやってくるのか?」所収の『「利他」とは何か』には、伊藤亜紗の作品も収められています。
他者理解、多様性、コロナ禍の共生…人とのつながりに関するテーマも多数
多様性や境遇の違う他者への理解といったテーマも近年よく取り上げられるテーマです。
障害を持った方、他民族、家庭環境が複雑であったり、貧困家庭だったりと、多くの中学受験生とは異なる人々への想いを汲み取れるかどうかを問いているようにも思えます。
では、よく出されるテーマの本を読むと、入試対策になるのでしょうか。
スタジオキャンパスの矢野耕平先生にうかがいました。
「〇〇のテーマがよく出題されるからとか、頻出の作家だからとか、入試問題の対策として読書を押し付けるのはかえってわが子が「読書嫌い」になりかねません。そもそもそんな動機は『つまらない読書』でしょう。たとえば塾の授業の問題で出た文章に、お子さんが『おもしろい!!』と興味を示したら、関連図書を一緒に探して読むというのがおすすめです。これからも本との付き合いは続きますし、良書との出会いがお子さんの心を育みます。親御さんは入試のためとは考えず、お子さんにとって『楽しい読書』ができるように導いてほしいですね。」
入試問題のためではなく、入試問題の出題をきっかけに『楽しい読書』ができるように、親御さんも一緒に本を読んでみるのはいかがでしょうか。