そこで、エデュナビに「2023年の中学入試に向けた時事問題予想」を提供いただいているスタディアップ代表の野村恵祐先生に、ボリュームゾーンの受験生によくある社会の学習方法のお悩みにお答えいただきました。
中学受験の社会は暗記がマスト!「1冊を決めて8割覚える」とは?
A1:地理、歴史、公民が一緒になった、一問一答形式のテキストを1冊、まず8割できるようにしましょう。
偏差値40~50くらいの受験生を想定してお答えします。
秋以降は塾の授業も演習中心となり、模試や過去問でできなかった問題の解き直しが重要となる時期ではあります。しかし、社会が苦手で点が取れない受験生は、基礎知識がないことが原因なので、まずは知識を入れることを最優先にしましょう。
たとえば、サピックスの「社会コアプラス」や日能研の「社会メモリーチェック」といった暗記のための教材を一冊、徹底的に覚えます。塾の教材でなくても、地理・歴史・公民が1冊にまとまった重要単元が網羅された市販の教材でも大丈夫です。
暗記が苦手なお子さまの場合、虫食いタイプの問題よりも一問一答タイプの方が、1つの情報ごとに覚えられるので有効な学習方法となるケースが多いです。
また、これまでの2、3年間を塾で学習してきたにも関わらず、社会への苦手意識が強くなってしまった受験生は、塾のテキストが合っていない可能性もあります。合っている場合でも、塾の社会のテキストを全部引っ張り出すとなると10冊以上にもなりますし、その中から重要知識だけを抜き出すのはとても大変です。
覚えるべき最重要キーワードを一冊にまとめられたものが少ないということもあり、スタディアップでは、地理、歴史、公民の絶対に覚えるべき777問を一問一答形式に厳選した「プラチナインプット」というテキストをご用意しています。
お子さまに合う1冊を決めて、まずは「8割」覚えることを目指しましょう。8割方覚えてはじめて、過去問に取り組める段階になります。
知識を固めていく方法は「ペンキを薄く塗り重ねる」イメージ!?
Q2:暗記が苦手なようで、やっているつもりが全然覚えていないことがよくあります。暗記を確実にするためにはどういった学習方法がよいでしょうか?
A2:覚えていないのは、1度やったらそれっきりという学習方法の場合が多いです。覚えたら時間を空けずに確認をし、知識を固め直しましょう。
たとえば、前日暗記したページをその翌日に目で追って、覚えた重要キーワードがどれくらい頭に残っているか確認をしましょう。一日の家庭学習の時間の中で、社会に30分の時間を毎日割けるのであれば、翌日はその前日覚えたキーワードの確認に10分ほどかけます。ペンキを塗るときのように、薄く塗り重ねるようなイメージで知識を固めていきます。確認するときは親が問題を読み上げて答えさせる方法も有効です。
2週目以降は覚える重要キーワードの量を増やしていき、そのサイクルで1か月間暗記をやってみます。その結果、どれくらい覚えられるかを受験生と保護者で一緒に確認しましょう。1か月でやってきたことの8割方覚えていれば順調、そうでなければ、1日に覚える量を調整しましょう。
暗記が苦手なお子さまは、時間を空けずに確認することで覚えられるという感覚を持っていないことが多いので、繰り返しながら肌感覚で「覚え慣れ」をしてほしいと思います。
過去問演習で点数が取れない…問題慣れしていないから?
Q3:過去問で、出来事を古い順に並べなさいといった問題や、正しいものを選びなさいといった選択問題ができません。どのように対策したらよいでしょうか?
A3:問題が解けないのは知識があやふやなためです。固め直しましょう。
中学受験の場合、出来事を古い順に並べる問題は複雑ではありません。年号を覚えていないだけなのです。正しいものを選ぶ記号問題も同じで、そもそも知識が頭に入っていないから迷います。先ほど述べた「1冊を決めて8割覚える」で知識を固めましょう。
過去問演習での弱点補強の方法もお伝えします。
過去問の丸つけをしたあと、間違えた問題の確認をすると思います。加えて重要なのは、正解した問題も完璧に知識の土台があって自信をもって正解したのか、あいまいで正解したのかをチェックすることです。
記号問題は、正しいもの、正しくないものもすべて過去問の解説を読みます。解説を読んでも「あー!そうか」という納得感がなければ、暗記用の教材で「照らし合わせ」をします。
この「照らし合わせ」という作業がとても重要で、お子さまが自分で調べると記憶に残るのでぜひやってほしいと思います。
社会が苦手なお子さまは「照らし合わせ」も難しい場合もあるので、保護者が「ここに載っていたね」とサポートしてあげると少しずつやり方がわかってくるでしょう。
時間がない、社会が苦手な受験生の時事問題対策の方針は?
Q4:時事問題に取り組む時間がなかなか取れません。最低限覚えておいた方がよい内容と、効率よく学習を進める方法を教えてください。
A4:一問一答式の問題が載っている教材を、書店でお子さまと一緒に選んで取り組んでみましょう。
時事問題対策は、市販の問題集の中から1冊を選ぶことがセオリーです。お子さまが自分に合ったもの、使いやすそうなものを書店で選んでください。保護者が確認するポイントは、各章のまとめなどで、「一問一答の問題」があるかどうかです。
どの教材もキーワードの解説があってかなりボリュームがありますが、一問一答をやっておくだけでも十分な対策となります。難関校志望でなければ、時事問題は「総理大臣の名前は?」「新たに登録された世界遺産は?」といった、重要キーワードだけを問われるケースが多いからです。
社会の入試問題の出題傾向は学校によって異なるものの、おおむね地理:歴史:公民の割合が4:4:2です。公民の問題に絡めて時事問題が出題されやすい傾向にあります。割合としては低いですが、たとえば志望校の過去問で時事問題が2問出題されていた場合、配点は4点ぐらいになるので、まったく対策をしないのは危険です。
どうしてもまとまった時間が取れない場合でも、1問1答で最低限の暗記をしておくと良いでしょう。
エデュナビにも予想問題を連載しているので、ぜひ挑戦してみてください!
※予想問題は記事下の関連記事をご参照ください。
野村 恵祐(のむら けいすけ)さん
群馬県生まれ、広島県育ち。愛光高校、慶應義塾大学商学部卒業。
中学受験 社会科専門塾「スタディアップ」代表。家庭学習で社会全分野の効率の良い授業がたった13時間でマスターできるCD教材「コンプリートマスター」や、社会の最重要キーワードをまとめた一問一答問題集「プラチナインプット」、最新の時事問題を収録した「時事問題ターゲット」などの教材開発を行い、通販を通じて年間に3,000名以上の受験生、及びその父兄と関わっている。
主な著書に『中学受験は社会で合格が決まる』(講談社)や、『中学受験 社会 合格への家庭内戦略』(小学館)、『中学受験 第一志望に合格したいなら“社会”の後回しは危険です』(学研プラス)などがある。
また、「あなたが探す中学受験情報の答えがここにある!」をコンセプトに掲げたメディアである「中学受験アンサー」も運営しており、中学受験生の保護者のために情報提供も行っている。
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Q1:社会に苦手意識があり後回しにしてしまった結果、覚えなければならないことがたくさんありすぎて、どこから手を付けたらよいか、どのくらいの時間をかけてやったらよいかがわかりません。