「スタート場所を決めるのが中学受験」2023年受験終了組へのメッセージ
エデュ:2023年も昨年同様に、厳しい中学入試となり、思ったような結果とならなかったご家庭も少なくなかったと思います。前向きになれるようなメッセージをお願いします。
後藤さん:親として、「この学校にわが子をどうしても行かせたかった」と引きずる気持ちはよく分かります。しかしながら、お子さまは、意外に早くに気持ちを切り替え、受かった学校で楽しく学校生活を送れるものです。ですから、引きずる気持ちがあったとしても、それは胸の中に収め、線を引いて欲しいと思います。
中学受験は、スタートの場所を決める機会です。後ろ向きの気持ちでスタートを切るよりも、前向きな気持ちでスタートしたほうが、その後上手くいくことが多いのではないでしょうか。
また、中学受験は親の希望として始めたご家庭も多いでしょう。お子さまは親の気持ちに応えようと、一生懸命チャレンジしたのではないでしょうか。お子さまに対して「ありがとう」という気持ちをもって、一緒に前を向いていただきたいと思います。
「第二・第三志望も第一志望の雰囲気を」2024年受験組へのアドバイス
どの学校に受かっても「良かった」と思えるような学校選びを
エデュ:入試結果を踏まえて、2024年の受験家庭に向けたアドバイスをお願いします。
後藤さん:来年の入試まで1年を切り、受験勉強が本格的になります。過酷な勉強を最後まで諦めずにやり続けるには、受験生本人の「この学校に絶対行きたい」という気持ちが大事です。本人が希望しない学校を受けて不合格だった場合、言い訳をし、逃げる気持ちが大きくなります。
しかしながら、お子さま自身が行きたい学校を決めることは難しく、親の希望もあることでしょう。そこで、親が5校ぐらいをピックアップし、どの学校も良い学校だという演出をするのです。第二志望校、第三志望校も、第一志望校と同じくらいの学校だという雰囲気づくりをしてください。
お子さまが“押さえ”の学校に行くことになったとしても、その学校を第一志望として入学するお子さまもいます。とある学校の先生は、「入試の成績は、6年間後の学力とはあまり関係ない」と言います。つまり、その学校に入って良かったと思って、前向きにスタートを切ることが、学校生活を意欲的に送ることにもつながり、その先の進路にも影響するのです。
持ち偏差値より上の学校>持ち偏差値及び下の偏差値の高倍率校!?
後藤さん:中堅の学校でも倍率が高いと、難度が上がり、たとえ実力相応の学校や偏差値を下げた学校でも、合格をもらうのが難しくなります。一方で、持ち偏差値よりも少し上の学校で、倍率がさほど高くない学校のほうが、合格しやすいということも起こり得ます。
2024年の受験生はこれから1年あります。過去問から入試の傾向をしっかりとつかみ、十分に対策をすれば、上の学校も狙えます。志望校選びの際に、過去の倍率をチェックすることも重要なポイントです。
取材協力:株式会社声の教育社