男の子は育ち方が不規則で、ある日突然ステップアップする
インターエデュ: 中1の男の子のお母さまから、男子校は同学年の共学校と比べるとクラス全体が幼い感じで、共学校に行かせればよかったかしら…という話を聞きました。
おおたとしまささん: あくまで個人的な感覚ですが、取材で男子校、女子校を訪れると、子どもたちが素の自分でいるように感じます。一方、共学校では、なんとなく精神的緊張感を感じることがあります。
おそらく男子校の1年生が本来の12歳の男の子の姿なんでしょうね。共学校の男の子がしっかりしていると見えるのは、もしかしたら、女の子に合わせてしっかりしないとと、一生懸命背伸びしているのかもしれない。背伸びすることで伸びることは否定できないけれど、四六時中だとつらいですよね。
インターエデュ: その幼い時期がずっと続くわけではないと思いますが、成長を待っていていいのでしょうか?
おおたとしまささん: 男の子は育ち方が不規則で、ある日突然ステップアップするのだと、男子校の先生たちは口を揃えます。こつこつはやらないんですね。だからといっておしりを叩いたってしょうがない。野放しにしていつかやる気になるのを待つしかない。男子校の伝統校はよく「面倒見が悪い」といわれますが、まさにこういうことなんですよね。
保護者に対しても、男子校では、男の子ってそういうものだと先生は説明しますし、「本人が気づくまで待ちましょう」ということを言いやすい。男の子の親しかいないからです。先輩のお母さんからも話を聞ける。男の子の育ち方というものを100%肯定してあげられる環境が男子校にはあります。でもそれが共学校だと、男の子だから大目に見てあげましょうとはなかなか言いづらい。そこは男女の基準を統一せざるを得ないんだろうなと思います。
そうはいっても、大方の子どもたちは、男子校・女子校に行こうが、共学校に行こうが、それぞれの学校に適応して、そこでしか学べないことを糧に成長できます。一方で、共学校では窮屈な思いをしやすく、男子校のほうが伸びやすい子もいるはずです。その負荷がどれだけかかるか、かからないかは子どもによって異なります。それこそ個性。
男子校が減ってしまうと、男子校で伸びやすい子が、男子校を選べなくなるという問題が生じます。さまざまな個性をもつ子どもたちが自分に合った環境を選べることが、本当の意味での教育の機会の平等ですよね。