今回取り上げた著書:「女子校という選択」日本経済新聞出版社
社会で活躍する女性を数多く輩出し続ける女子校。「箱入りのお嬢様だらけ」「彼氏ができない?」など、様々なイメージも先行するが、その実態とは。現役教師、著名出身者などの幅広い取材を元に解き明かします。
「既存のジェンダー意識にとらわれない」女子校の良さ
インターエデュ・ドットコム(以下、インターエデュ): 女子校を知らない人たちからすると、「お嬢様っぽい」イメージをもたれがちですが、実際、多くの女子校の取材に行かれてどう感じましたか?
おおたとしまささん(以下、おおたさん): 「お嬢様っぽい」と見えるのは、TPOに合わせて外向きにはちゃんとする、という教育を受けているからでしょうね。ところが、学校の中ではむしろ逆で、女らしさというものは度外視で、女の子でもやんちゃができる。
もともと男性的なリーダーシップをもっているような女の子は、女子校だからこそ、その資質が発揮されやすい。共学では女らしくふるまったりしなくてはいけなかったかもしれないけれど、性別に関係なく自分らしさを思い切り出しても叩かれない環境が女子校にはありますよね。また、異性受けするタイプではない女の子が劣等感を感じずに、自己肯定観が高い状態で学校生活を送れるということもあります。
異性を意識しなくて済むので、表面的に自分を着飾る、文字通りお化粧やファッション、自分をどう見せるかというところに意識を奪われることが少ない。見た目を気にせず、自分らしさを育てることができる。そのときにしかできないことに時間やエネルギーを割くことができるのが、女子校の良さです。
インターエデュ: 最近の女子校の教育ですが、女性の社会進出が盛んになってきていることで、変わってきているのでしょうか。
おおたさん: 今でこそ一般的ですが、女子校は100年以上も前から「女子に教育を」ということを言ってきました。自分で道を切り開いていく、女性だからといって可能性をあきらめない、固定概念にとらわれない、というメッセージは、どの女子校も発し続けています。
そして現在、21世紀の社会においては、「女の子らしさ」といった既存のジェンダー意識にとらわれない「ジェンダーニュートラル」の考え方が大事になっていきます。女子校は、既存のジェンダー意識に影響されにくい環境だからこそ、性別にとらわれない生き方とかキャリアをイメージできるという良さがあります。それが、女の子たちのその後の人生を大きく変えるのだろうなと思います。こうして女子校は時代が求める女性像、一歩先行く女性像を実現してきたのです。