女子校という環境が、女の子の人生を大きく変えていく!(2ページ目)

運動会に象徴される女子校特有の集団形成

運動会に象徴される女子校特有の集団形成

インターエデュ: 女子校にはスクールカーストがあって、いじめも多いのではというイメージもありますが、実際のところどうなのでしょうか?

おおたさん: 女の子の大きなヒエラルキーというのは、共学における男の子の価値観から形成されるもので、女の子だけの集団では、そういった露骨なヒエラルキーは形成されず、いくつもの小集団ができます。小集団間は、並列・対等でそれぞれの趣味・好みだよねと、価値観の多様性が認められやすい雰囲気です。

しかし一方で、別集団の人をよく知らないがために、相手に対する勝手な印象を作り上げてしまい、いがみ合いは起こりやすいとも言えます。その点は女子校のネガティブな部分です。先生もそれをよく分かっていて、集団がシャッフルするようなグループワークを取り入れたり、席替えを行ったりします。すると、「なんだ、普通に話せばいい子じゃん。」となるんですよね。そこでお互いを認め合えるようになって、人はそれぞれ違っていいんだということを知る。その成功体験を得られるのが、女子校の良さでもあります。

インターエデュ: 集団形成の仕方は、運動会にも表れているとのことですが、詳しく教えてください。

おおたさん: 何か一つの目標に向かって集団を形成するとき、自然発生的に、男性は、上に立つ人の言ったことは絶対、という命令系統による「縦型の組織」を作ります。一方女性の場合は、共感をベースにした「横型の組織」を作る傾向にあります。大変興味深いことに、男子校、女子校の運動会のチームも同じように集団が形成されます。男子校では学年横断の縦割りのチーム対抗、女子校においては、かなりの確率で学年対抗なんです。

女子校の運動会では、毎年高校3年生がだいたい優勝します。それでは面白くないだろうと、縦割りを試みた学校もありましたが、生徒たちには不評でした。なぜかというと、女の子にとって、運動会は勝ち負けではなく、チームワークをどれだけ高めることができたかどうかに喜びを感じるからなんです。「わたしたち負けちゃったけど、いつもの集団でここまでできたよね!」ということが女の子にとって、大事なんですよね。

運動会において何に喜びを感じるかは、ハイライトにも象徴されています。男子校では、チームの勝敗を決める騎馬戦や棒倒し、リレーになりますが、女子校の多くは、最高学年である高校3年生が全員で作り上げたダンスや伝統舞踊の披露なんです。

女子校の運動会でハイライトのダンスを観たのですが、みんな泣きながら踊っているんですよね。女の子たちが共鳴し合う感受性の強さには感動しました。それと、200人という大集団の一体感を目にしたとき、「曼荼羅」を見ているような気持ちになったんですよね。言葉にするのは難しいのですが、広い意味での「母性」や「輪廻」を感じたんです。