女子校出身者の結婚観「結婚を男性とセットで考えない」
インターエデュ: 女子校出身者の結婚観は、異性がいない環境で過ごしたことで、共学出身者との違いはあるのでしょうか。
おおたさん: 個人差はかなりあるでしょうが、女子校出身の女性と共学出身の女性の間には、男性に求めているものに多少のズレがあるのではないかと思います。女子校出身者には、男が稼いで当たり前というような、性的役割に対する固定概念というのが薄いので、結婚相手に求めるものが多様だろうなと感じます。
たとえば、女子校出身者が稼ぎが少ない男性と結婚すると、共学出身者は「男の見る目がない」と思ってしまいます。しかし、それは男性に対する、あるべき姿というものが異なるという価値観のズレです。また、女子校出身者は結婚相手に求めるものが多様であるから、結婚できる確率は高いと感じる一方で、私は、離婚率も高い傾向にあるのではと思っています。これは男子校出身者も同じでしょう。
それは、お付き合いの回数や、異性とのコミュニケーション能力といったことは関係ありません。異性がどういう風に成長してきたのか、自分と異質な部分があることを知らずにいるため、結婚後そこに初めて気づいてショックを受けてしまうということが理由と思われます。
夫婦、男女のパートナーというのをどういう風にとらえるのかは時代によって変わりますが、今の風潮としては、それぞれが自立した二人の大人が同じ方向を向いて、歩んでいく。そっちのほうが推奨されている世の中です。別学出身者の方が、性別によって自分の役割を規定しないので、一人でもやっていけるけど、一緒にいたいから結婚するという純粋な気持ちが強いかもしれません。
編集部からのひとこと
男女共同参画社会を目指す時代だからこそ、女子校という環境で培われる、ジェンダーにとらわれない生き方が大事になってくると思いました。しかし、社会における男女差別は未だ根強く、性別による役割を押しつけ合う風潮はなかなか変わりません。特に結婚・出産・子育てに関して、女性にはさまざまな壁が立ちはだかります。その解決の糸口を探るべく、次回はおおたとしまささんの著書「ルポ東大女子」を取り上げ、ジェンダーギャップについて考えていきたいと思います。
■次回の記事
女子校の集団力・共感力が社会を変える力に
おおたとしまささん
教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中学・高校卒業、東京外国語大学英米語学科中退、上智大学英語学科卒業。株式会社リクルートから独立後、数々の育児誌・教育誌の編集にかかわる。教育や育児の現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。心理カウンセラーの資格、中高の教員免許を持ち、私立小学校での教員経験もある。著書は『名門校とは何か?』(朝日新書)、『ルポ塾歴社会』(幻冬舎新書)、『追いつめる親』(毎日新聞出版)など50冊以上。