志望校選びの方法から教育資金まで基本情報をカバー
志望校合格の核となる過去問演習や模試の活用方法のほか、気になる内部進学率の情報や、志望校と併願校の選び方も必読です。
内部進学率は学校によりかなり差があり、同じ系列の付属校でも内部進学率が100%の学校もあれば、他の大学へ進学する生徒が半数以上となる学校もあるのです。たとえば、早大学院、早稲田実業はほぼ100%早稲田大学へ進学。慶應も、慶應義塾、慶應志木、慶應女子、SFCの国内4校すべてでほぼすべて進学するとのこと。こうした内部進学率の情報も、学校の特性を知る指針になるでしょう。
志望校と併願校の選び方も参考になります。進学校と付属校を併願すると共倒れになる可能性がある話や、同じ系列の学校で試験日の違う学校を本番の前哨戦として受験する方法など、読んでいて「なるほど!」と納得する話がいっぱい。医学部に進学しやすい付属校の情報なども掲載されており、とても役に立ちます。
また、大学付属校のリアルな「お金事情」についても言及されています。付属校は教育資金が高いのではないかと心配してあきらめているご家庭もあるでしょうが、付属校とひとくくりで見るのではなく、学校ごとにみると、進学校と大差ない学校も多々あります。そのあたりの事情を、具体例をあげて解説してあります。
巻末には、首都圏と関西で人気の大学付属校(40校)の特徴と入試問題の傾向を分析した一覧表もついており、学校選びや入試問題の傾向分析の基礎データとしてとても役に立ちます。
大学付属校は、6年間を受験対策ではなく自分の好きな学びに利用できるという大きなメリットがあります。そうした良い環境でひとりでも多くの子に学んでほしい。そのためのテクニックはすべて開示しよう。そんな意志を本書から感じました。わが子を大学付属校に合格させたい、と願う親御さんには、ぜひご一読いただきたいと思います。
『中学受験 大学付属校 合格バイブル』
野田英夫 著 ダイヤモンド社刊 1,600円+税
人気上昇中の「大学付属校」に特化した、初の受験対策書。「早慶」をはじめとする「大学付属校」の入試問題は、簡単。「御三家」を頂点とする「進学校」の入試問題は難しい。だから、受験勉強のやり方が全く違います。
では、付属校に合格するにはどうすればいい? その方法を懇切丁寧に解説したのが本書です。著者は、早慶合格率80%、大学付属校合格率100%を誇る「早慶維新塾」の塾長。長年の経験に基づいた志望校対策を余すところなく披露しました。
「進学校」向けの大手進学塾で落ちこぼれていても、この本に紹介されている「大学付属校」に特化した勉強をすれば、逆転合格は可能となります。早慶GMARCH(早稲田・慶應・学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)や関関同立(関西大学・関西学院・同志社・立命館)などの付属中学を志望し、合格を目指しているのならば、ぜひ読んでいただきたい本です。
野田 英夫(のだ ひでお) さん
中学受験カウンセラー。株式会社MIRAINO代表取締役。4月19日、(ヨイジュク)をつくるため東京・市ヶ谷に生まれる。大手進学塾の専任講師から支部長、本社経営部門を歴任。在職中はトップ講師として5000人以上の生徒たちを難関校合格に導く。
その後、独立し、東京・四ツ谷に早慶中学受験専門塾「早慶道場」を開校。2017年、東京・御茶ノ水に早慶中学受験専門の個別指導塾「早慶維新塾」を開校し、神田駿河台校、慶應三田校も開設。早慶道場時代から、12年連続早慶合格率ナンバー1を更新中。早慶合格率80%、大学付属校合格率100%を誇る。
2020年には、早慶維新塾のDNAを受け継ぐ「早慶ゼロワン」を立ち上げる。「大学付属校はふつうの子が合格できる」を合い言葉に、付属校に特化した中学受験のノウハウを最もよく知る指導者として、メディアでも活躍。著書多数。