安易な「ほめて伸ばす」は逆効果!?大人のエゴのためではない、子どものためのほめ方・叱り方とは?(2ページ目)

子どもは自分とは異なる尊敬・尊重すべき存在!「アクティブ・リスニング」の実践を

島村さんの言うほめ方や叱り方はたしかに大切だと思うけれど、実践するのは難しいのではないかと思う人も多いでしょう。しかし、島村さんが提唱するほめ方・叱り方は、子どもに対して「絶対的な尊敬・尊重」の心を持つことを意識しさえすれば、決して難しくありません。

子どもを自分とは異なる存在、1人の独立した人間として尊敬・尊重できれば、子どもがどのような言葉をかけてほしいのか、どのようなことをしてほしいのかが自ずとわかります。結果、ご褒美としてほめたり、罰として叱ったりするような駆け引きによって子どもを思うままにコントロールしようとすることはなくなり、心の底からほめたり、子どものために叱ったりすることができるようになります。

なお、子どもを尊敬・尊重するということは、「アクティブ・リスニング」によって体現できます。
「アクティブ・リスニング」とは、話し手に対して100%の注意を向け、その人の話を無条件に聞き入れることです。「アクティブ・リスニング」を実践すれば、子どもは「自分の話を批判されず、理解してもらえている」という安心感を覚え、自分自身を振り返って自ら解決策を考えるようになります。
また、子どもは親からの無条件の愛情を実感できるため、良好な親子関係を築き上げることができるでしょう。

この他、本書には目から鱗が落ちる思いがするような教育方法がたくさん紹介されています。巻末にある島村さんの温かいメッセージも、子育てをする上で大きな励みになります。

大人のエゴのためではない、子どものためのほめ方・叱り方を心がけた教育とはどのようなものなのか、大人の期待や評価を押し付けない子育てとはどのようなものなのか、真に子どものためになる教育方法を知りたい、実践したいと強く願っている人は、ぜひ手に取ってみてください。

ほめ方叱り方表紙

「すごい!」「よくできたね!」「さすがお姉ちゃんだね!」よかれと思って、そんなほめ方をしていませんか?
「ダメって言ったでしょ!」「早くしなさい!」「どうして約束が守れないの?」しつけのために、そんな叱り方をしていませんか?

じつは、「ほめる」「叱る」の声かけ次第で、親子関係や子どもの育ち方に大きな影響が見られます。

日本人に多いとされる「自己肯定感」の低い子どもは、謙遜文化による「ほめ不足」が原因ではなく、「非効率的なほめ方や叱り方」が原因かもしれないのです。

注目が集まっているプログレッシブ教育(進歩教育、オルタナティブ教育)の代表格である「モンテッソーリ」と近年最注目の「レッジョ・エミリア」を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士による、エビデンスに基づく最先端の教育メソッドをほめ方・叱り方という「声かけ」に落とし込んだ画期的な最新子育てバイブルです。

島村華子(しまむら・はなこ) さん
オックスフォード大学 修士・博士課程修了(児童発達学)。モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者 。
上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、 オックスフォード大学にて児童発達学の修士、博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。 専門分野は動機理論、実行機能、社会性と情動の学習、幼児教育の質評価、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育法。