「エクセルお父さん」「PDCAお父さん」は要注意! 中学受験で「うまくいく」お父さんの役割とは?(2ページ目)

できるお父さんだからこそ、うまくいかない⁉

エデュ:本書の第3章「やりがちなお父さんのNG行動、どこがいけない?」では、実際にあった話をもとに、うまくいかない理由について迫っていますね。

西村先生:できるお父さんにありがちなのは、自らの成功体験を子どもに押し付けてしまうことです。それがなぜ良くないのかというと、お父さんの成功体験のほとんどは、大学受験の成功体験だからです。

特に、猛勉強をして難関大学に受かった成功体験を持ったお父さんは、「やればできる」が口ぐせ。たくさん勉強すればできるようになると思い込んでいます。

しかし、10歳から12歳の脳ではキャパオーバーとなり、むしろ成績が下がってしまうことが多いのです。

会社でのマネジメントスキルに長けている、「エクセル父さん」「PDCA父さん」も要注意。大人相手だからできることも、子どもには合わないということも知っていただきたいと思います。

親子にとって幸せな中学受験に

エデュ:最後に中学受験を目指すご家庭へのメッセージをお願いします

西村先生:今は、「ママ友情報」や「ネット情報」があふれています。それらの多くは、何をやらせれば良いのかという、「what」情報です。
ところが、みなさんが悩まれるのは、「必要だと思うことは、いろいろやらせている…にもかかわらず、伸びない」ことなのです。

足りないのは、どのように勉強するかという「how」情報なのです。

「どのような家庭の雰囲気が良いのか」
「どのように教えれば良いのか」
「どのように励ませばよいのか」…。

このような「how」情報をみなさまに知っていただくとともに、「それだったらわが家でもできそう」と感じていただくために、本書を書きました。

本書をきっかけにして、ご家庭の中でも楽しい前向きな会話が少しでも増えることを祈っています。

中学受験! 合格する子のお父さん、受からない子のお父さん

西村則康、高野健一 著 ウエッジ 1,500円+税

中学受験! 合格する子のお父さん、受からない子のお父さん

加熱する中学受験において、「お父さん」の存在の重要性が、ますます高まっています。子どもには、不確実な世界をしっかり生き抜いてほしい。だから、実社会で自分が培ってきた「成功方程式」を子どもに伝えたい……ちょっと待った! 大人の世界では抜群の効果を上げていたはずの、お父さんのその「やり方」、実は子どもの成長を妨げてしまっているかもしれません!
中学受験指導に40年以上携わってきた「プロ家庭教師集団」が見てきた「NG父さん」の実例をあげながら、中学受験というビッグプロジェクトを成功させるための「正しい父親の役割」を、懇切丁寧に指南します。

<目次>
はじめに 自分のタイプを知ろう。お父さんチェックリスト
第1章 【とくに、お父さんへ】あのころとは全く違う、中学受験の最新動向
第2章 【4年生】中学受験における、お父さんのほんとうの役割とは?
第3章 【5年生】ありがちなお父さんのNG行動、どこがいけない?
第4章 【6年生】さあラストスパート。家族一丸で受験を迎えよう!

西村則康(にしむら・のりやす) さん

中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」代表。40年以上、難関中学、高校受験指導を一筋に行う。
暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。
また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。
最難関校に2500人以上を合格させてきた実績をもつ。中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人のお母さんが参考にしている。

高野健一(たかの・けんいち)さん

名門指導会教務主任。「かしこい塾の使い方」主任相談員。東京大学理学部数学科在学中から受験数学の指導に携わり、効果的な学習法を研究。問題の解法を一方的に教えるのではなく、答案やノートから生徒の思考を読み取ったうえで、そこに立脚した指導を行う。中学受験だけでなく大学受験にも精通し、一歩先を見据えながら今、必要な内容の指導を行っている。