地理が得意に!世界中の家がおもしろいドラえもんの本(3ページ目)

監修の先生が子どもたちに贈る深いメッセージ

もうひとつ、本書をおすすめしたい理由があります。本書を監修した一級建築士にして工学博士の藤木庸介さん(滋賀県立大学教授)が、あと書きに記されたメッセージです。その一部を紹介します。

「居心地の良い住まい」とは、どのような住まいのことでしょう?(中略)
「便利で快適な住まい」は、住まいに関する技術を、お金で買うことによってもたらされていると言えます。
一方、「居心地の良い住まい」は、お金があっても、手にいれることができるとは限りません。では、どうすれば「居心地の良い住まい」を手にいれることができるのでしょう。
私は、「居心地の良い住まい」は、多分、「人」が何かを感じること、さらには「人と人のつながり」と、そこにおける「思いやり」や「やさしさ」に関係しているのではないかと思っています。
でも、やはりまだ、ハッキリとした答えは出せずにいます。(中略)
私はこれからも、この「問い」について考えていこうと思います。みなさんもぜひ、この「問い」について、引き続き考えてみてください。

小学生を対象とした本書に、こんな深いメッセージがあるとは! 監修者である藤木さんが、未来を担う子どもたちに敬意と期待を抱いていることの証でしょう。親御さんも、ぜひ一緒に考えてみてください。

テストの点をあげることや入試に合格することだけに特化した学習では決して得られない「考える力」や「生きる力」。それらをどんなふうに育んでいったらいいのか? 子どもとともに本書を楽しんでみることで、きっと大きなヒントが見つかると思います。

ドラえもん探究ワールド 地理が学べる世界の家づくり

まんが/藤子・F・不二雄、監修/藤子プロ、藤木庸介、小学館刊、935円(税込)

ドラえもん探究ワールド 地理が学べる世界の家づくり

その土地に適応した家づくりのひみつを知る。暑かったり、寒かったりすると、服を脱ぎ着して調節しますが、家も同じように、雨、風、雪、暑さ、寒さ、乾燥など、その土地の気候風土に合わせてさまざまなくふうがこらされてきました。逆に、その見事なくふうを見ると、その土地の気候風土がわかります。そんな伝統的なすまいを日本と世界の各地域からピックアップ。ユニークな家を見るうちに、日本や世界の地理が楽しく学べます。


日本では、豪雪に負けない家、洪水に備えた家、台風をやりすごす家、暑さを和らげる家など、地方の気候に合わせた家のくふうを紹介。世界では、分解して持ち運べる家(モンゴルなど)、土の中に住む家(中国)、植物でつくった浮島に住む(ペルー)、屋根も壁も全部葉っぱの家(カメルーン)、雪のブロックでできた家(カナダ)、竹かごみたいな家(エチオピア)などバラエティーに富んだ家があります。気候風土に適した家を通すと、その土地のくらしに理解が深まり、もっと地理が好きになれます。