「こころ」ではなく「行動」に注目!反抗期に親だからできること【反抗期を科学する・9】

反抗期の問題リスクは、家庭よりも外の世界の影響が大きいことがわかった前回。しかし、保護者の皆さまが解決したい問題があるのは家庭の中です。今回は、一緒に生活しているからこそできる反抗期の対処方法を和久田先生に教えていただきましょう。

反抗期によくある光景

反抗期によくある光景

子どもが学校から帰宅するなり、不機嫌でほとんど何も喋らない。親の言葉に、「はあ??」「何、それ?」「うざい」などと言う。場合によっては、声を荒げたり、物にあたったりする。
これらは、今回の連載のテーマである、反抗期に見られる子どもの様子です。もちろん、自室から出てこない、全く会話をしない、親を避ける、暴力を振るう、ゲームやSNSに依存する、リストカットをする、など、もっと深刻な場合もあるかもしれません。

こうした反抗期の子どもについて、「寂しいからだ」とか「甘えている」、「我慢する力がない」などと考えることが多いのですが、実はここに大きな問題があります。どんなことか、おわかりでしょうか。

問題は『こころ』の状態を指摘していること

それは、こうした「反抗期についての分析」のほとんどが、子どもの『こころ』の状態についての指摘になっているということです。

問題は『こころ』の状態を指摘していること

え? 子どもの『こころ』を考えるって、大切なことでしょ?
そう思う方が多いと思いますが、考えてみてください。『こころ』は外から見えません。客観的に明らかにすることもできません。とするならば、そうした分析をしたとしても、それが正しいかどうか、誰にも分からない、ということになります。
つまり意味のない議論になってしまうんです。

もちろん、その分析が当たっている、と思うことはあるでしょう。しかし「寂しい」など、その心の状態は、思春期に限りません。「甘えている」のは、反抗的行動を起こしていない子どもにもあることです。よって、彼らの『こころ』の状態と、反抗期を結びつけたとしても、そこにどれだけの意味があるのか、わかりません。要はエビデンスが足りないのです。