反抗期の行動を科学的に分析!ABC分析をやってみよう【反抗期を科学する・10】(4ページ目)

大人も一緒!問題行動に潜む4つの目的

大人も一緒!問題行動に潜む4つの目的

ちなみに、ヒト(子どもに限りません)の問題となる行動(反抗期に限らず)には、1. 注意喚起、2. 要求、3. 逃避、4. 感覚のどれか、もしくは複数の目的があることが分かっています。もっとも、目的と言っても、本人はそれを意識していない場合が多々あるのですが。

では、1.から4.を詳しく説明しましょう。

  1. 注意喚起は、誰かの注意を引きたい、ということ。(例2がこれにあたります)
  2. 要求は、その行動を行うことによって、欲しい物、サービス、特権などを得ようとするもの。(例えば、小さい子どもがダダをこねて、おんぶをせがむ、お菓子を買ってもらおうとする)
  3. 逃避は、その行動を行うことによって、何かから逃げること。(例1がこれにあたります。自室に入ることにより、親の言葉、刺激を避けています)
  4. 感覚は、ちょっと難しいですが、感覚的な刺激を得ようとすること。(例えば、ビールを飲むことによって、爽快感を得ようとする、教室の外に出ることによって、涼しい空気に触れられる、など)

分析の後はポジティブな支援を!

分析の後はポジティブな支援を!

例1、例2のように、皆さんが気になる子どもの行動を記録し、ABC分析をしてみると、子どものその行動には何らかの目的があって、それが1.~4.のいずれか、もしくは複数であることに気づかされることでしょう。

そして、子どもたちの行動の目的が分かったら、その目的を「正当な方法」で達成させられるように支援することが重要になります。間違っても、我慢させようとしたり抑え込もうとしたりしないでください。
子どもが人生に積極的にかかわっていくことができるようにするために、私たちはポジティブな支援を行うことが大切だからです。

『行動』の具体的な支援方法について、さらに次回に続きます。
次回は、10月18日(月)公開予定です。

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和久田 学(わくた まなぶ)先生

和久田 学(わくた まなぶ)先生

小児発達学博士、子どもの発達科学研究所主席研究員、大阪大学大学院特任講師、日本児童青年精神医学会会員及び教育に関する委員会委員、日本LD学会会員。教員経験ののち、連合大学院で博士号を取得した稀有な経歴を持つ研究者。日本の教育、子育ての世界に科学的根拠に基づく先進的な研究やプログラムを導入。「愛と科学は両立する」を信条に、子どもたちが本来持っている能力を存分に発揮できるよう、研究・開発・社会実装に力を注いでいる。
著書に『科学的に考える子育て~エビデンスに基づく10の真実~』(緑書房)、『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)。その他論文多数。

子どもの発達科学研究所

子どもの発達科学研究所は、子育て、いじめ予防、就労支援等に関し、科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う日本では数少ない社会実装団体。なかでも脳科学、行動科学、疫学統計学による『3Ds(スリーディーズ)アプローチ』は、実効性の高いオリジナルプログラムとして注目を集めている。
また、子どもの「こころ」の発達や、子どもの「学び」に関する正しい支援・対応について学習する講座をシリーズで提供。教育関係者や保護者の方々から高い評価を得ている。幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、当研究所は研究、開発、コンサルティングなど、幅広い活動を行っている。