子どもにとっては新しい世界へのとびら
齋藤孝先生のベストセラー第三弾も、第一弾、第二弾と同じく、7ジャンル(言葉、文学、世界、歴史、文化、芸術、自然と科学)から、52の週テーマが厳選されています。1日1ページ、毎日約2分親しむだけで、新しい知識を得て教養が身につくというわけです。
1冊で366、3冊だと合計1,000以上の知識を獲得することになりますが、大事なのは知識の数ではありません。一人ひとりの子どもの中で、知識と知識がその子独自のつながりを形成して深い教養になることこそ、この本の狙いです。
「まえがき」に斎藤先生からの小学生への大事なメッセージがあります。その冒頭をご紹介しましょう。
「キミが生きているこの世界はとてつもなく広い。もし、いまキミのいる場所がつまらなかったとしても、そこが世界のすべてではないよ。
まずは、世界と出会おう。この本は世界へのとびらになっているよ。教養とは、世界につながるとびらでもあるんだ。」
知ることが楽しいと思える子に
「まずは、世界と出会おう」というフレーズを読んで「なるほどなぁ」と思いました。大人目線でこの本を見ると、つい各分野の知識について知っているか知らないかのチェックになってしまいますが、子どもにとっては、それって何? どうなっているの?という新しい世界との出会いになります。そしてそれが、まだ大人のようには固まっていない、無限の可能性を秘めた柔らかな脳に浸透していきます。
日常生活だけでは知り得ないことに関心を持つことは、教養を身につけるスタート地点です。興味を持ったことはすぐに覚えてしまい、一生忘れることがない脳のゴールデンエイジ期の子どもには、1日1ページ、たった2分の体験が、世界を広げる大きなチャンスとなっていきます。
この本の特設サイトには、「小学生がこの本を完全に使いこなす方法」として、「まず興味あるページを1ページ読む」→「大人にクイズを出す」→「1分ぐらいで手短に解説する」というスタイルが提案されていました。なるほど、これはいいですね。大人(ママやパパなど)が正解したら、やっぱり大人は違うと敬意を感じるでしょうし、大人が知らなかった時は知っている優越感と相まって、人に説明することにより知識がしっかり身についていきます。
また、クイズが出題されていないページには、「声に出して読んでみよう」というメッセージがあります(「言葉あそび」「生活のオノマトペ」「心に残る言葉」など)。音読が学びに効果的なことは、中学受験に取り組んでいる親御さんはよくご存知のはず。親子一緒に楽しく音読することで、ひとつの知識がより豊かな広がりを持って、次の知識へとつながっていきます。