家族で親しみたい小学生のための教養本(2ページ目)

正解のない問題に立ち向かう力を育てる

人が学ぶのは、何のため? こう問えば、おそらく多くの人が「賢くなるため」「幸せのため」「充実した人生のため」といった言葉が返ってくると思います。でも、それがより現実的な局面になると、「テストでいい点とるため」「入試に受かるため」というふうになってしまいますよね。

本書に、「リベラルアーツ(一般教養)」というページがあります。そこには、「『ひとつの正解』にしばられると、ものごとは解決しない。意見がちがう人とどう理解しあっていくのか、『正解のない問題』に立ち向かうには、リベラルアーツが欠かせないよ。」というメッセージとともに、リベラルアーツのすごさとして、「問いを見つける力がつく」「自分の頭で考える材料になる」ということが記されていました。

これがまさに「教養」の力であり、著者の齋藤孝先生が、本書を活用して子どもたちに身につけてほしいと願っている力なんだと思います。逆にいえば、勉強の目的を、テストや入試に限定してしまうと身につきにくいのが「教養」です。人間はすべからく、自分で関心を抱いたり面白いと感じたりしなければ、その世界に入っていくことができないものです。つまらないと思いながらの勉強では、すぐに忘れてしまいます。

それに中学入試も、難関校などを中心に、受験のためだけの勉強に専念している生徒は望まない方向に向かっています。正解がひとつではない問題も増えています。言ってみれば、難関校も「教養」の方向に舵をとっていると言えるのではないでしょうか。

今の時代、多くの子どもが「いい子」です。自分のため以上に、親が喜ぶために勉強している子がたくさんいます。でも、将来につながる知識や教養は、自分自身が興味を持ったり面白いと感じたりしなければ身についていきません。それは勉強の時間ではなく、日常生活のちょっとした場面で発見し、自ら育てていくものです。

本書は学習机の上ではなく、ご飯を食べたりテレビをみたりする日常空間の中に、さりげなく置いてほしいと思います。そして勉強としてではなく、子どもを主人公にした家族全員の楽しみとして気軽に活用してほしいと思います。

『1日1ページで身につく!小学生なら知っておきたいもっともっと教養366』

シリーズ累計38万部突破!「クイズが楽しい」「親子で盛り上がる」と評判の『教養366』第三弾の登場です。テレビ番組『世界一受けたい授業』『テレビ寺子屋』などメディアでも紹介され、話題沸騰! 第三弾は、読んだら声に出してはる「モノにした!」金ピカシールつき。

「アレクサンダー大王が行ったのは『○○遠征』?」「スフィンクスの頭は王さま、体は何?」など、1日1ページ毎日2分の教養習慣で、一生ものの知性が養われます。言葉、文学、世界、歴史、文化、芸術、自然と科学…、小学生のうちに知っておきたい7ジャンルから「言葉あそび」「ふしぎな数字」「その道を極めた日本人」など52の週テーマを厳選。1週間1テーマで点の知識が線になり、強い知識を目指します。小学生へのプレゼントとしても人気です!

今回も齋藤孝先生の気合いがつまった一冊になっています。長時間にわたる先生との打ち合わせで、私(編集者)、腰痛になったくらいです。それくらい、ワクワク感があって、子どもに知っておいてほしいと思う項目を厳選しています。私自身、編集作業をしていく中で、意外と知らないことも多く、毎回「知る喜び」を味わっています。この楽しさ、喜びを温度感そのままに編集しています。みなさんにこの喜びが届くことを祈っています!(小学館本書紹介ページより)